« 2006年02月 | メイン | 2006年04月 »

2006年03月22日

a000043

「協同労働の協同組合」法制化を求める市民のつどい

316speakers.jpg 3月16日(土)午後5時半から、明治大学駿河台校舎リバティーホールにおいて、『「協同労働の協同組合」法制化を求める市民のつどい』が約300人の参加者の下、開催されました。この集会は「協同労働の協同組合」(=ワーカーズコープ)を位置づける法律を日本で制定することを目指す「協同労働法制化市民会議(永戸祐三会長代行)」が主催したものです。この集会はまた、世界中で約100カ国、200以上の組織と約8億人にものぼる組合員を組織している国際組織(ICA:国際協同組合同盟)の会長、I・バルベリーニさんを迎えて、世界中でのワーカーズコープの歴史と現状、可能性を学び、日本における法制化の促進を内外にアピールすることを目的として企画されました。

060316fujiki.jpg 最初に、日本におけるワーカーズコープや同様の働き方(=協同労働)を目指す現場からの発言がありました。まず、生協の組合員が中心となってつくられた、ワーカーズ・コレクティブのネットワーク組織であるワーカーズ・コレクティブ・ネットワーク・ジャパン(WNJ)代表の藤木千夏さんから活動報告と、WNJの「ワーカーズ・コレクティブ法」制定の運動についての紹介がありました。藤木さんは、現在進んでいる国の公益法人制度改革が、結局ワーカーズが望む法制にはなりえなかったと述べ、今後「法制化について共に考えていきましょう」と締めくくられました。

060316saito.jpg 次に、障害のある人もない人も共に働く場づくりの運動を進めている「共同連」の斎藤縣三事務局長より発言がありました。斎藤さんは、これまで日本の障害者福祉が、「働く」ことを意味づけて来なかった歴史を振り返り、今回成立した障害者自立支援法では、障害者の就労がよりいい加減な扱いになっていることを批判。改めて、障害者が社会の中で働くための法制化に参加していきたいと述べられました。

060316tanaka.jpg 現場報告の最後は、「労協センター事業団」の田中羊子専務から、失業者の運動から始まった労働者協同組合が、介護保険制度を契機に福祉サービスの分野に広がり、今、公共分野の民営化が進む中でそれを市民化する担い手として発展してきている、と発言がありました。060316sagara.jpg
また、センター事業団事務局の相良孝雄さんからは、指定管理者などで広がる児童館の仕事の中で、若い組合員が協同労働を実践しているとの報告がありました。

060316barberini.jpg 第2部は、バルベリーニICA会長より、「世界の労働者協同組合―文化的基礎、現状と趨勢―」と題して報告があり、協同組合の歴史とその中でのワーカーズコープの発展、そして特に近年イタリアや欧州各国で広がっている「社会的協同組合」の事例が紹介されました。会長は特に、協同組合企業のアイデンティティが「資本の集中によってではなく、ニーズの集中によって生まれ、働く場の最大限の保障など、利潤以外の利益を追求する」と強調されました。

060316sasamori.jpg 報告を受け、「連合」前会長で現在労働者福祉中央協議会会長の笹森清さんはコメントとして、数字の現実として日本の会社270万社の内、労働組合がある会社は6.5万社にとどまり、97%の会社では労働組合はない実体の中で、労働者がいかに連携を取れるか、これまでのグループやイデオロギーを超えて取り組まなければならないと話され、戦後60年が過ぎ、高齢者、女性、障害者、新卒者、移民、現役の6つの労働をどうしていくか、均等待遇など、働くことを通じた新しい社会システムをつくろうと呼びかけました。

060316ikegami.jpg
 また、京都大学名誉教授の池上惇さんからは、経済学の立場から創造性のある労働とそれを担う労働者の意味づけを行い、協同労働の果たす役割の積極的な評価のコメントがありました。

 最後に、バルベリーニ会長は、イタリアの経験にも触れながら、研究者や労働組合、さまざまな協同組合が連携して、人間らしく生きられる社会をいかにつくるか、本物の経済をいかにつくるかが課題であり、ICAと連携をとりながら法制化を推進してほしいと提起され、集会を締めくくりました。

 2000年11月に設立された「法制化市民会議」は翌01年6月に最初の大きな市民集会を開催し、その時にもWNJや共同連の方にご報告を頂き、利潤追求ではなく協同で働くことを目的とする協同組合の法律を一刻も早く制定しようと呼びかけました。以来5年が経過しましたが、日本の中では、「協同労働」を求める声は、市民社会の中でまだ大きなものとなっておらず、法制化運動はまだ道半ばです。むしろ日本の働く現場はより競争を強いられ、個人が分断される方向に進んでいます。ただ、この日のバルベリーニ会長の報告にもあったように、世界的に見れば、G8諸国の中でも、ワーカーズコープの法制がないのは日本のみであり、欧州でも南米でも、北米でさえも利潤追求のみを目的とした経済のあり方への批判と対案としての協同組合企業や協同の働き方が広く存在しています。久しぶりに一堂に会した各団体の方々と共に、1日も早く「協同労働」の法制化を実現したいとの思いを新たにした集会でした。(菊地)

2006年03月15日

a000042

協同労働法制のニュー・バージョンの必要性

報告者の石見尚さん日本における第3セクターの研究と交流を目指し、協同組合、労働組合、NPOなどの研究所が中心となって昨年発足した「社会的企業研究会」の第11回の研究会で、協同総研顧問でもある石見尚さん(写真)が、「協同労働法制のニュー・バージョンの必要性」と題して報告を行います。

 ご興味のある方は、主催者にご連絡の上、是非ご参加ください。

  • と き   4月10日(月) 13:30~15:30
  • ところ   東京労働会館7F 「ラパスホール」
          東京都豊島区南大塚2-33-10  JR山手線・大塚駅(南口)下車、徒歩5分。
  • 報告者  石 見 尚 氏(日本ルネッサンス研究所)
  • 講演テーマ 協同労働法制のニュー・バージョンの必要性
  • 報告と討議  資料代  500円
    《共同事務局連絡先》
    ・連合総合生活開発研究所 TEL03-5210-0851 FAX 5210-0852
    ・市民セクター政策機構 TEL03-3325-7861 FAX3325-7955
  • 【以下は石見尚さんからのメッセージです】

     経済のグロ→バリゼーションにたいする日本の企業の生き残り対策はほぼ完了しつつあるようである。
    ICAはグローバリゼーションにたいする対抗策に苦しんできたが、モンドラゴン協同組合は現実対応策として、119のうち18の基幹工場は、中国、ブラジル、インド、メキシコ、英,独、仏、タイ、チェッコ、アルゼンチンなどに国際展開し、アンブレラ組織として、全従事者7万人のうち、海外従事者は9,000人になり、売上高も就業者数も上昇している。
    *Anjel Mari Amozarrian :Mondragon Cooperatives and Globalisation

     今日、社会的企業は「新自由主義」の動向に対抗戦略を採らざるをえない。日本の協同組合界は「新自由主義」の構造改革とそれが進めるグローバリゼーションにたいして出遅れ、守りの姿勢に終始し、将来について明るい展望を描けないでいる。それは、対抗戦略を構築する上で必須である強力なワーカーズ・コープ(コレクティブ)を欠いているからではなかろうか。

     新自由主義による経済のグローバリゼーションにたいする対抗戦略と方策については、すでに下記の刊行物で提起してあるので、それを前提にして報告する。

    • J.ロバートソン著、石見尚、森田邦彦訳「21世紀の経済システム展望」(1999)
    • J.ロバートソン著、石見尚、高安健一訳「新しい貨幣の創造」(2001)
    • 石見 尚、野村かつ子著「WTO-シアトル以後」(2004)

     標記の論題は、新自由主義に対する対抗戦略として協同労働の社会システムを強化し、ひいては日本の協同組合が社会的企業として第4世代に深化するための問題提起である。そのためには、理論だけではなく、現場の体制整備が必要となる。そのため、3つのプロセスを考えざるをえない。今回はPARTIに止める。

    • PART I ワーカーズ・コープ(コレクティブ)の現状(自己)評価(「協同の発見」162号、拙稿と関西地域会員研究集会ポスターセッションも参考のこと)
    • PART Ⅱ 地域協同組合の事業と組織の構想
    • PART Ⅲ 協同労働の新法制

    2006年03月14日

    a000041

    『イタリア社会的協同組合調査報告』増刷しました!

    italia_report06.jpg約2年前の2004年6月に、2003年のイタリア調査をまとめた冊子(『協同の發見』別冊)を発行しましたが、おかげさまで、全て売り切れたため、このたび増刷をしました。
     それに伴い、誤字・脱字・編集ミスの修正を行いました。また、同時に佛教大学の鈴木勉先生の報告で、初版発行時に十分書いていただけなかった点についても、今回内容を増補していただきました。
     定価は変わらず500円(税込み、送料別)ですので、まだの方は是非お求めください。

    ※ご注文いただく際は、このブログのコメント欄ではなく、協同総研までメール、FAX、電話等で直接ご連絡下さい。

    <注文先>
    協同総合研究所
    kyodoken@jicr.org TEL:03-6907-8033 FAX:03-6907-8034

    『イタリア社会的協同組合調査報告』
    編集・発行 協同総合研究所
    66P 2006.3.15 増補版発行 定価 500円

    【目次】

    ■発刊にあたって (中川雄一郎)

    ■イタリア社会的協同組合の形成過程と現況、課題      (田中夏子)
     ――市場の再構築の担い手となる協同側の取り組みとは――

    1 イタリア社会的協同組合とは何か
    2 調査枠組みの概要と視点
    3 調査結果および若干の考察①-事業連合の機能をめぐって
    4 調査結果および若干の考察②-新たな視点の開拓
    5 まとめにかえて

    ■地域の普遍的利益を追求する協同組合    (岡安喜三郎)

    [Ⅰ] 研修概要
    1 訪問期間、参加者等
    2 研修訪問地
    [Ⅱ] 要約レポート
    1 「公益」を担う社会的協同組合で働くということ
    2 社会的協同組合と自治体の共同プロジェクト、国、EU
    3 社会的協同組合とアソシエーション、コムニタ、ボランティア
    4 コンソルツィオと単協の期待
    5 「国法(L.381/91)に基づいた社会的協同組合制度」の普及
    6 社会的協同組合をめぐる経営環境について
    [Ⅲ]まとめ

    ■人間発達に適合的な福祉供給主体像を求めて   (鈴木 勉)
     ――イタリアの社会的協同組合を対象に――

    1 問題意識の所在――人間発達に適合性をもつ供給主体像の探求
    2 福祉の要求運動と事業運動
    3 福祉サービスの特質と供給主体像
    4 イタリア社会的協同組合の成立と発展
    5 社会的協同組合とコンソルチオ(事業連合)
    6 イタリア社会的協同組合のミッションと組織構成上の特徴

    ■協同労働の現場から見たイタリアの協同組合・社会的協同組合                                 (現田友明)

    1 はじめに
    2 参加者、日程
    3 研修の内容
    4 【参加者の感想】

    ○(資料)ISTAT発表「イタリアの社会的協同組合2001」
              訳 岡安喜三郎
    調査のあらまし
    地域別に見た社会的協同組合
    社会的協同組合の「存続」
    組合員の社会的基礎と多元性
    人的資源(人材)
    労働者の規模
    経済規模
    活動、サービス、利用

    2006年03月02日

    a000040

    バルベリーニICA会長 世界の協同組合を語る

    協同集会のプレ企画として、3月18日に国際協同組合同盟(ICA)のバルベリーニ会長をお迎えし、神戸国際会館で下記の集会を開催します。どなたでもお気軽にご参加ください。

    「バルベリーニICA会長 世界の協同組合を語る
     ―21世紀の国際協同組合運動と市民がひらく新しい公共性―」

    ○日時:2006年3月18日午後1時30分~4時30分
    ○会場:神戸国際会館(〒651-0087兵庫県神戸市中央区御幸通8-1-6)
    ○第1部:I・バルベリーニICA会長と池上惇京大名誉教授の講演
    ○第2部:参加者からのコメント・質問とバルベリーニ会長からの応答

    詳細はこちら>>>

    ●主催・問い合せ:協同総合研究所 03-3903-3688

    a000039

    協同集会 第1回実行委員会

    協同総研などが呼びかけて、今年11月に開催する「いま協同を拓く2006全国集会in兵庫」の第1回実行委員会が下記のように開催されます。

    どなたでもご参加いただけますので、ご興味のある方はぜひどうぞ。

    各位

    実行委員会の呼びかけ」にもとづき「いま『協同』を拓く2006年全国集会in兵庫」第1回実行委員会を下記のように開催しますので、ご案内いたします。


    日 時 2006年3月4日(土) 13:30より

    場 所 神戸市勤労会館 403号室
        (神戸市中央区雲井通5丁目1-2  TEL 078(232)1881)

    議 題 ①実行委員会の結成、役員、事務局体制、予算について
         ②協同集会の基本的内容について
         ③集会準備のスケジュールについて
         ④その他

    2006年2月吉日

    いま「協同」を拓く2006年全国集会in兵庫・準備会
    « 2006年03月 »
    Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
    1 2 3 4
    5 6 7 8 9 10 11
    12 13 14 15 16 17 18
    19 20 21 22 23 24 25
    26 27 28 29 30 31

    カテゴリー