障がいのある人と共に働く~家電リサイクル~
6月28日、労協センター事業団東関東事業本部の方々と、千葉県で家電リサイクル事業で障がいのある人たちを積極的に雇用している共進グループを訪問しました。
家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)とは、2001年に施行された法律で、現在のところ一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)の4品目から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。
基本的には、小売店を通じてメーカーが責任を持ってリサイクルすることが定められており、エアコン60%、テレビ55%、洗濯機50%、冷蔵庫50%というリサイクル率も決まっています。
共進グループでは、家電4品目にパソコンを加えた5品目の処理を、小売店などを通さず一般家庭や事業所から直接受託し、手分解によってほとんどの品目で90%以上のリサイクル率(冷蔵庫は75%)を実現しています。
今回は、共進グループの事業所のうち千葉県八千代市で小規模な事業を行っている(有)光和と、本埜村でより大きな規模の事業を行っている(有)本埜共進にお邪魔しました。
先に訪問した光和では、石川さん(上の写真前列右端)にお話を伺いました。光和は開設して2年、現在障がい者が4名と健常者が3名で、月200台の家電を分解しています。元自動車修理工場だった場所で約100坪。家電リサイクルを事業としてやるには最小の単位だと言います。働いている人は、20歳から35歳と比較的若いのですが、別の事業所も含め7、8年の経験を持つベテランもいます。労働時間は1日5時間で週5日勤務が基本。沢山の仕事がこなせるベテランになると、給料が月12万円にもなっているそうです。手分解によって約40種類の鉄、非鉄金属、プラスチック等が再資源化され、リサイクル率も非常に高いということで、非常に社会的に有用な仕事に思えました。また、働く人たちにとっても、手順を覚えていけば、自分ひとりの力でやり遂げることの出来、また自分のペースで進められる仕事でもあり、向いている人にとっては最高の仕事ではないかと思いました。
午後から訪問した(有)本埜共進は、98年から事業を開始しており、グループの家電リサイクル事業の中核になっている事業所です。若手の指導員鈴木さん(右の写真の後列左から2人目)からお話を伺いました。
現在、家電リサイクル部門では、8人の障がいを持つ人と4人の健常者が働いています。事業所の規模としては、光和の数倍は大きく、家電の他にも事業所から出る産廃の中間処理も行っているとのこと。光和ではスペース的に難しい、廃プラスチックの破砕作業(破砕機によるチップ化)も行っていました。
本埜共進では広いスペースを生かして、鶏の平飼い事業も行っており、成田のホテルの残菜を回収して飼料にして、生まれた卵をまたホテルに販売するという取り組みを行っていましたが、鳥インフルエンザのリスクもあり、6月末を持って終了するそうです。
いずれにしても、社会的に意義があり、障害のある人々の就労を生み出すすぐれた取り組みだと思います。ただ、いずれにしても一般廃棄物の中間処理および収集運搬業の許可が必要であり、それらの許可を地元市町村から受けられるかという問題と、事業を行うのに必要な場所の確保(廃棄物処理法との関係で、住宅地などで許可を取るのはまず難しい)の問題があるでしょう。(左の写真は光和のWebサイトから借用)
このような取り組みが日本中でどんどん広がると、障がいのある人の雇用とともにリサイクル者問題にももっと行政や市民の関心が高まるのではないでしょうか。