« 2006年06月21日 | メイン | 2006年07月06日 »

2006年06月30日

a000056

障がいのある人と共に働く~家電リサイクル~

yachiyo.jpg 6月28日、労協センター事業団東関東事業本部の方々と、千葉県で家電リサイクル事業で障がいのある人たちを積極的に雇用している共進グループを訪問しました。
  家電リサイクル法(特定家庭用機器再商品化法)とは、2001年に施行された法律で、現在のところ一般家庭や事務所から排出された家電製品(エアコン・テレビ・冷蔵庫・洗濯機)の4品目から、有用な部分や材料をリサイクルし、廃棄物を減量するとともに、資源の有効利用を推進するための法律です。
 基本的には、小売店を通じてメーカーが責任を持ってリサイクルすることが定められており、エアコン60%、テレビ55%、洗濯機50%、冷蔵庫50%というリサイクル率も決まっています。
 共進グループでは、家電4品目にパソコンを加えた5品目の処理を、小売店などを通さず一般家庭や事業所から直接受託し、手分解によってほとんどの品目で90%以上のリサイクル率(冷蔵庫は75%)を実現しています。

 今回は、共進グループの事業所のうち千葉県八千代市で小規模な事業を行っている(有)光和と、本埜村でより大きな規模の事業を行っている(有)本埜共進にお邪魔しました。
 先に訪問した光和では、石川さん(上の写真前列右端)にお話を伺いました。光和は開設して2年、現在障がい者が4名と健常者が3名で、月200台の家電を分解しています。元自動車修理工場だった場所で約100坪。家電リサイクルを事業としてやるには最小の単位だと言います。働いている人は、20歳から35歳と比較的若いのですが、別の事業所も含め7、8年の経験を持つベテランもいます。労働時間は1日5時間で週5日勤務が基本。沢山の仕事がこなせるベテランになると、給料が月12万円にもなっているそうです。手分解によって約40種類の鉄、非鉄金属、プラスチック等が再資源化され、リサイクル率も非常に高いということで、非常に社会的に有用な仕事に思えました。また、働く人たちにとっても、手順を覚えていけば、自分ひとりの力でやり遂げることの出来、また自分のペースで進められる仕事でもあり、向いている人にとっては最高の仕事ではないかと思いました。

motono.jpg 午後から訪問した(有)本埜共進は、98年から事業を開始しており、グループの家電リサイクル事業の中核になっている事業所です。若手の指導員鈴木さん(右の写真の後列左から2人目)からお話を伺いました。
 現在、家電リサイクル部門では、8人の障がいを持つ人と4人の健常者が働いています。事業所の規模としては、光和の数倍は大きく、家電の他にも事業所から出る産廃の中間処理も行っているとのこと。光和ではスペース的に難しい、廃プラスチックの破砕作業(破砕機によるチップ化)も行っていました。
 本埜共進では広いスペースを生かして、鶏の平飼い事業も行っており、成田のホテルの残菜を回収して飼料にして、生まれた卵をまたホテルに販売するという取り組みを行っていましたが、鳥インフルエンザのリスクもあり、6月末を持って終了するそうです。

sagyou7.jpg いずれにしても、社会的に意義があり、障害のある人々の就労を生み出すすぐれた取り組みだと思います。ただ、いずれにしても一般廃棄物の中間処理および収集運搬業の許可が必要であり、それらの許可を地元市町村から受けられるかという問題と、事業を行うのに必要な場所の確保(廃棄物処理法との関係で、住宅地などで許可を取るのはまず難しい)の問題があるでしょう。(左の写真は光和のWebサイトから借用)

 このような取り組みが日本中でどんどん広がると、障がいのある人の雇用とともにリサイクル者問題にももっと行政や市民の関心が高まるのではないでしょうか。

(菊地)
a000055

第16回総会&記念シンポが行われました

06AGM-01.jpg6月24日(土)、明治大学駿河台校舎研究棟2F第9会議室にて、協同総合研究所第16回総会と記念シンポジウム「協同労働の協同組合法~その歴史的意義と現代的意味~」が約50名の会員が参加して開かれました。

 総会では、中川雄一郎理事長(明治大学教授)の開会の挨拶に続いて、日本労協連の古村専務より、今秋に兵庫で予定されている協同集会への参加の呼びかけ、また、労協の発展の中で、介護や子育て、若者支援などさまざまな分野で教育と研究が求められており、協同総研の役割に期待する旨のご挨拶をいただきました。
 
 昨年度の活動報告では、一年間の研究やシンポジウム、センター事業団と共同で行った調査、イギリスとイタリアへの海外調査、台北や上海で行われた国際会議での発表などについて報告があり、新年度の活動方針では、協同労働への社会的関心が高まり、指定管理者制度など労協の事業・運動がこれまでの枠を超え大きく飛躍する中で、実践者・研究者・専門家が協同する組織として、大学と連携しての講座の支援、定期的な学習会を地域レベルで開催するなど協同労働で働く人々の学びや成長を支援することを協同総研の中心課題としていくことを提起されました。
 最後に、欠員補充として前神奈川県職員の横井博さんの理事就任を岡安専務が提案し、すべての議案が承認されました。

06AGM-02.jpg 総会後の記念シンポジウムでは、まず協同総研の島村主任研究員が「協同労働の協同組合法~その歴史的意義と現代的意味~」と題して基調報告を行いました。報告では、日本の法人制度にも大きな影響を与えた19世紀のドイツにおける法人法制の研究から、一般社団(結社)法の原則は協同組合法によって導かれたことが指摘され、これまでの協同組合法制における共益・非営利といった概念を超えて、結社=アソシエーションの時代にふさわしい、社会連帯の原理を織り込んだ法制の必要性が提起されました。
 これに対し、コメンテーターの法政大学大学院の渡辺光子さんからは、現在の公益法人制度改革についての評価をした上で、地域コミュニティやアソシエーションの課題にどう対応するかが法制度にも求められているコメントがあり、また協同労働法制運動の今後の方向性について質問がありました。また、同じくコメンテーターの協同総研顧問の石見尚さんは、公務員制度、公益法人制度、会社法などの改革の中で、特にコミュニケーションの手段としての労働のあり方が問われなければならないと発言されました。
 会場からの活発な質疑もあり、法制化運動の新たな段階に向け、充実したシンポジウムとなりました。

« 2006年06月 »
Sun Mon Tue Wed Thu Fri Sat
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

カテゴリー