日本社会は景気回復が叫ばれる中、そんな状況に浴することなく、地域と社会が
困難にあえいでいる。
年間自殺者9年連続3万人、地域・生活などの格差の拡大と固定化、ワーキングプア、
非正規雇用の増大と日雇い派遣労働の問題など、「貧困」にかかる問題が、これ
までにないほどクローズアップされている。
また、それらの課題を“自立支援・自己責任”というキーワードによって“個人”の
努力が全てであるかのような議論も一方で展開されている。
3度にわたってNHKスペシャルで放映された「ワーキングプア(働いても働いても、
生活保護水準以下の生活を余儀なくされている層)」は、多くの人々の共感を呼び、
問題の所在を考える機会になるとともに、若年ホームレス、母子家庭、生活保護、
地方の崩壊など、身近にありながらも見えにくい課題を鮮明にした。
その一方で、貧困の連鎖が進むイギリスでの、子どもから大人まで手厚い保護
(公共政策)の網を張り、国を挙げて貧困の撲滅に乗り出している取り組みと比較して、
わが国との制度や施策の遅れが指摘されている。
最後のセーフティネットと言われ、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する
ために創られた「生活保護制度」の運用を巡って、北九州では「水際作戦」と称し
申請書類も手渡されないまま、孤独死や餓死が相次いで起きている。
昨年6月、病気療養中で生活保護を受けていたにもかかわらず、保護の辞退を強要
された男性が辞退届に署名したために、保護を打ち切られ、その3カ月後にミイラ化
した状態で発見された事件は記憶に新しい。
死の直前まで書き綴った日記には、福祉事務所が辞退届を強要したことへの怒りの
他に、10日以上も食事をしていなかった様子とともに、「オニギリ食いたい」という
悲痛な叫びが記されていた。
『貧困に陥った人々の生活を安定させ、生活の立て直しの支援をすることは、社会に
とって必要不可欠なことであり、すべての人々の生存権が守られることによって社会の
安定が図られる』と、杉村宏先生は著書で述べている。
今回の研究会では、貧困問題研究の第一人者である杉村 宏先生を講師にお迎えし、
現代日本の貧困と不平等についてお話いただくとともに、真の公共のあり方について
一緒に考えていきます。多くの人の参加をお待ちしております。
■日時 2008年4月19日(土)13:30~16:30
■会場 日本労働者協同組合連合会 6階会議室
■講師 杉村 宏氏(法政大学 現代福祉学部 教授)
主な著書 『公的扶助ー生存権のセーフティネットー』(放送大学教育振興会、2002)
『貧困・不平等と社会福祉』(編著、有斐閣、1997)
『現代の貧困と不平等』(共編著、明石書店、2007)、
『格差・貧困と生活保護-「最後のセーフティネット」の再生に向けて』(編著、明石書店、2007)
■参加費:会費500円 (協同総研会員・学生は無料)
■主 催:協同総合研究所
■共 催:日本労働者協同組合連合会
■問合先:協同総合研究所
東京都豊島区池袋3-1-2 光文社ビル6階
TEL 03-6907-8033 FAX 03-6907-8034
E-Mail: kyodoken@jicr.org
★お申し込みは、協同総合研究所まで!(定員40名)