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『持続可能な福祉社会』とコミュニティ-創造的定常経済システムの構想-

■講師   広井 良典さん (千葉大学 法経学部 教授)
■日時   2009年9月28日(月) 14:00~17:00
■会場   日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会 大会議室
       東京都豊島区池袋3-1-2 光文社ビル6階
       JR池袋駅 歩10分/地下鉄要町駅 歩3分
■参加費  会費1,000円 (協同総研会員・学生は500円)
■共催   日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会
■主催・問合先:協同総合研究所 TEL 03-6907-8033 E-Mail: kyodoken@jicr.org

<講師からのメッセージ>
戦後の日本社会で人々は、会社や家族という「共同体」を築き、生活の基盤としてきた。しかし、そうした「関係性」のあり方を可能にした経済成長の時代が終わるとともに、個人の社会的孤立は深刻化している。「個人」がしっかりと独立しつつ、いかにして新たなコミュニティを創造するか-この問いの探求こそが、わが国の未来、そして地球社会の今後を展望する上での中心課題となろう。今回の研究会では、そうしたコミュニティをめぐる課題を視野に入れつつ、福祉・環境・経済が調和した「持続可能な福祉社会」、そして人々の創造性が真に実現していく「創造的定常経済システム」とも呼ぶべき社会のビジョンについて幅広い角度から考えてみたいと思います。

■講師プロフィール(ひろい よしのり)
1961年岡山市生まれ。東京大学大学院修士課程修了後、厚生省勤務を経て、2003年より千葉大学法経学部教授。この間、マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。社会保障や環境、医療に関する政策研究から、時間、ケアなどを巡る哲学的考察まで、幅広い活動を行っている。現在、協同総合研究所の理事に就任いただいている。
主な著著に、『持続可能な福祉社会』『死生観を問いなおす』『ケアを問いなおす』(以上、ちくま新書)、『日本の社会保障』『定常型社会』(以上、岩波新書)、『グローバル定常型社会』『生命の政治学』(以上、岩波書店)、『ケア学』(医学書院)など多数。

■著書「コミュニティを問い直す-つながり・都市・日本社会の未来」(2009年8月、ちくま新書)より
『経済全体のパイが拡大する経済成長の時代には、カイシャや家族の利益を追求することが(パイの拡大を通じて)社会全体の利益にもつながり、また個人のパイの取り分の増大にもつながるという意味で一定の好循環を造っていた。しかし経済が成熟化し、そうした好循環の前提が崩れるとともに、カイシャや家族のあり方が大きく流動化・多様化する現代のような時代においては、それはかえって個人の孤立を招き、「いきづらい」社会や関係性を生み出す基底的な背景になっている。…そこで、あらためて「コミュニティ」やその再生のありかたに関して、どのような展望や政策対応が重要となってゆくのだろうか。…こうした点を「経済システムの進化とコミュニテイ」という視点でとらえるならば、…私たちは市場化・産業化という、いわば地域や自然からの“離陸”の時代から、ポスト産業化(ひいては筆者のいう「定常型社会」の時代という、“着陸”の時代を迎えつつあるといえようが、いまだにそれがどのようなものとなるかは大方明らかでない。』