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日本職業リハビリテーション学会に参加

kanno060908.jpg協同総研では今年1月に研究会「イタリア協同組合調査報告」を行ったのですが、その際日本職業リハビリテーション学会の松井亮輔先生(法政大学)、松為信雄先生(東京福祉大学)にご参加いただきました(松井先生はその後研究所の会員にご加入いただきました)。そのお二方が実行委員(松井先生が大会長)となって開催された「日本職業リハビリテーション学会第34回大会(9月8日:神奈川工科大)の大会企画シンポジウム『多様な雇用・就労形態の実現に向けて』に、日本労協連の菅野理事長がシンポジストとして参加し、報告を行いました。

シンポに先立つ松井亮輔先生の基調講演では、『地域に根ざしたインクルーシブな雇用・就労の展開』と題して、ご自身の職業リハビリテーション分野とのかかわりを振り返りながら、日本での障害者の福祉から就労への支援施策の展開を跡付け、最後に地域に根ざした多様な働く場の整備について展望と課題を述べられました。特に、現在常用雇用されている身体・知的障害者の約6割は雇用率制度の対象となっていない(56人以下の)民間企業で雇用されており、さらに小規模作業所などで就労する18万人の障害者や職安に求職登録しながら就職しえていない15万人の障害者の受け皿足りえるのは、そのような(雇用率対象外の)小規模企業であること。しかし、それにも限界があるので、障害者の就労機会を拡大するには、一般の民間企業以外に「近年各地でひろがってきている、労働者協同組合(社会的協同組合)、社会企業、「(昨年滋賀県で制度化された)社会的事業所」やNPOなどでの雇用、ならびに独立行政法人等も含む、公的機関などでの雇用、および起業や在宅就労など、多様な働く場づくりが積極的に進められなければならない。」と述べられました(引用はレジュメより)。

シンポでは、菅野さんが労働者協同組合やイタリアの社会的協同組合についての紹介をした他、滋賀県のねっこ共働作業所の白杉滋朗さん(昨年協同総研の関西会員集会でもご報告いただきました)から、滋賀の社会的事業所制度についての報告などもありました。

学会シンポ全体の報告は、また別の機会に譲りますが、障害者自立支援法の制定など障害者の就労を取り巻くさまざまな状況が変化する中で、菅野さんが発言したように日本ではいまだ「企業は営利企業、労働は雇用労働、にきわめて狭く限定した政策になっている」のが実態です。さまざまな分野の方々と交流する中で「協同労働」の裾野を広げていければと思います。