ワーカーズコープアスランの総会報告
8月1日の夜、ワーカーズコープ・アスランの第7回総会が千代田区和泉橋区民館で行われました。
アスランは、2000年8月に、5年半にわたる編集プロダクションの争議を経て、その解決後にワーカーズコープとして立ち上がりました(詳しくは『協同の發見』2000年10月号No.101、「はじめまして。編集ワーカーズコープ・アスランを立ち上げました」参照)。
アスランは設立総会において以下の4つの目的を掲げました。
- 解雇争議を支援するため、被解雇者の当面の就労の場、または協同での仕事の創出を目指します。
- 出版関連のフリーランスのネットワーク化による仕事の創出を目指すとともに、納得できる仕事を追求します。
- 失業者の雇用の創出を目指します。行政に失業対策・雇用促進事業などの実施を要請します。
- 組合員の相互扶助の精神に基づき、協同して事業を行い、組合員の経済的地位の向上を図ります。
今年の総会で討議された大きなテーマのひとつは、「常勤組合員とフリーランス組合員のバランス」の問題でした。設立目的にもあるように、アスランは、出版業界の中でつねに不安定な立場に置かれるフリーランスのライター、デザイナー、編集者、イラストレーターなどを組合員として組織し、実際に仕事を発注しながら協同で新しい仕事おこしも行い、さらにはその地位向上のための活動も行うことをめざしています。
ただ、事業としてみた場合、全体の仕事量の内、一定の管理費を取ってフリーランス組合員に発注する部分をどの程度にするかは非常に難しい判断になります。特に現状の管理費の設定でいくと、これ以上フリーランス組合員への発注部分を増やすと、常勤組合員の負担も増え、経営的にも厳しいため、来期は仕事量全体も含めやや抑制することが方針として提起されました。
それに対し、総会に出席した何人かのフリーランス組合員からは、フリーランスの取り分を減らしてでも仕事量を増やし、アスランが発展できる条件をつくっていく方が重要ではないか、という意見から出され、個々の利害ということより、アスランという存在が出版業界の中で大切なのだという認識が示されました。
これまで理事会の議論でもなかなか結論が出なかった問題なのですが、組合員と直接意見交換をすることでひとつの方向性が出てきたのではないかと思います。今期の総会ではフリーランス組合員から1名の理事を選出し、さらに連携を強めていくことが確認されました。(菊地も協同総研からの理事としてもう1期お手伝いすることになりました。)
総会後の懇談会で、何人かの組合員の方とお話をさせていただきましたが、アスランには専門的なテーマを持って著作を出されているライターや編集者の組合員がたくさんいます。彼ら彼女らとの連携をより強めていく中で、新しいワーカーズコープのモデルを切り拓いていくことができるのではないか、と強く感じました。