イタリア視察ツアー現地報告 その5
【2005年10月21日】
朝からタクシーでボローニャの北にあるサッソ・マルコーニ市の山の上にあるコーパップス(COpAPS)という社会的協同組合を訪問しました。
なぜか約束が伝わっておらず、代表のロレンツォ・サンドリ(Lorenzo Sandri)さんは1時間ほどかけてほかの用事を人に頼んで駆けつけてくれました。
COpAPSは、日本でも多くの研究者の方が紹介されていますし、昨年、代表のサンドリさんは日本に招待されて、各地で講演をされているので、ご存知の方も多いかも知れません。
COpAPSは、精神障害者を中心に問題を抱える子供たちも対象としたB型社会的協同組合です。現在職員が40名ほどいて、B型の社会的協同組合としては、比較的大きい部類に入ります。1975年から活動を開始し、障害者の学校が廃止される中で、問題を抱える人々を社会に挿入していくのには農業分野が適しているということで、始まったとのことです。81年にサッソ・マルコーニの町に職業教育の学校を作り、88年にアグリツーリズムを中心に自活能力と経済的な力をを身につけるための施設として山の上の土地を借りて建物を改修し、ハーブなどの栽培を行う施設をつくりました。当時、失業率は今よりもっと高く、障害者にとってはより厳しかったそうですが、実際に仕事をつくり、仕事を通じて社会に参加していくことを目指してきました。
91年に社会的協同組合が法制化されましたが、それまでは「連帯協同組合」や「社会的目的を持った農業協同組合」と名乗って活動してきました。主な活動としては1)清掃事業2)緑化事業3)リサイクル事業の3分野で、仕事を起こしながら働く場を広げてきました。14年経って、自分たちの戦略は正しかったと感じており、社会的協同組合はかつてないほど発展してきているということです。
実際の仕事の作り方としては、自治体からの委託がありますが、入札にも1)一般競争入札2)法第381号による社会性を認める入札、があり、当然2)を活用しています。また、200,000ユーロまでの随意契約という方法もありますが、ボローニャでは少ないそうです。ボローニャ市はメンテナンスなどを「グローバル・サービス」として一括して委託する方針なので、コンソルツィオ(事業連合)に参加しています。また、グローバル・サービスの対象として除外されている分野(墓の清掃管理など)を受託しているということでした。
山の上で説明を受けたあと、ふもとの施設の食堂で、職業訓練の若者たちと一緒に昼食をとりました。取りたての野菜を使った食事は美味でした。