労協連 環境・気候非常事態宣言を表明 2020.02.03
日本労働者協同組合連合会は1月31日、「環境・気候非常事態宣言」を発しました。
「環境・気候非常事態宣言」
世界は今、人類史・地球史的な危機が連鎖的に迫り来る只中にある。産業革命以来、社会の構造は激変し、人間の社会文化は一変した。その結果、この社会は持続可能性が危ぶまれる、大きな転換期を迎えている。
とりわけ気候危機は、このままのペースでは、2030年にも産業革命以前から気温が1・5度上昇し、破局が避けられない事態に至ると危惧され、この10年が人類史・地球史の未来を決する、という認識が国連を始めとする国際的な場において共有されてきた。
にもかかわらず、それを防ぐ抜本的な行動はとられておらず、世界の若者・子どもたちの、厳しい糾弾の行動が広がっている。私たちは、彼らのアクションに心からの賛同と連帯の意思を表明する。
環境と気候の危機は、平和・福祉・教育・地域などの危機と不可分に関わっている。紛争や戦争の危機が再び高まり、とくに日本社会では、酷暑や暖冬、巨大台風と豪雨などに加え、世界に類を見ない少子高齢・人口減少という事態に直面し、社会の存立基盤が問われている。
これらの危機は何によってもたらされたのか。問われるものは何なのか。
化石燃料に依存した大量生産・大量消費・大量廃棄という経済システム。経済の成長こそが豊かさであるとし、人々を分断し、対立させ、格差と貧困・孤立を蔓延させてきた社会。その根源に、人や自然のつながりと共生を破壊してきた「欲望の暴走」と民主主義の危機がある。
人間の協同性と共生の文化を、全ての人々の手によって再構築すること抜きに、この危機は乗り越えられない。
私たちの文化と社会のあり方、そして、これを維持・発展させるための産業・経済の抜本的な転換が迫られている。
この中にあって、私たち労働者協同組合は、「労働」のあり方から、仕事と地域、人間と自然を見直し、「協同」の関係と一人ひとりの「主体性」の発揮を両輪とする職場づくり・仕事づくり・そして持続可能な地域づくりを探求してきた。
こうした自治と協同・共生を育む仕組みを規定する労働者協同組合法が制定されようとしている。
人間の根源的な生存条件としての「協同の関係」を社会の隅々に波及させ、「協同労働」の文化を深め広げるために立ち上がるときである。
危機から脱却し、新しい価値観を構築するために、私たちは問題のすり替えと先送りを許さず、社会の大転換を多くの人々に呼びかけ、とくに若者や子どもたちと共に行動することを誓う。
SDGsの主体者・推進者としてここに宣言する。
一、社会のあり方の抜本的な転換を追求し、自らの事業・経営と組合員の生活の中から、地球環境と生態系を守るための行動と、持続可能な地域と社会の実現に全力を尽くす。
二、パリ協定の「産業革命以前に比べて1・5度未満に気温上昇を抑える」「CO2排出ゼロ」を基本目標とした事業・産業・経済のあり方を追求する。
三、「環境・気候非常事態宣言」を、国及び地方公共団体など多くの人々に呼びかけ、共有し、パリ協定に基づく意欲的な目標を設定し、共に行動する。
四、「協同の関係」づくりを、「協同労働」の普及を通して、あらゆる分野とテーマの中で創造し、対立と排除のない、平和と共存・共生の文化を広げる。
五、本宣言を内外に発し、行動を開始し、具体的な行動計画を6月の本連合会総会で確定する。
2020年1月31日 日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会