非営利・協同労働を推進するシンクタンク
協同総合研究所は、労働者、市民が自らの力で自律的に仕事と生活の豊かさを求める活動を支援するシンクタンクです。わが国にも「大量失業の時代」が到来する中で、労働者、市民が自主的に仕事おこしをする労働者協同組合(ワーカーズコープ)への注目が増しています。研究所は、わが国唯一の「労働者協同組合」に関する専門研究機関です。
1991年の設立以来、各地域での非営利・協同の運動の発見と交流から、働く人が資本や権力に反対するだけでなく、自らが主人公となる決意と対案をもって、地域と企業を変革し、社会を変革する理論と政策を研究し蓄積してきました。特に、京都(92年)、名古屋(94年)、仙台(96年)、広島(98年)、東京(00年)、千葉・九州(02年)、長野(04年)、兵庫(06年)と行われてきた「協同集会」では、広い意味での「教育」「福祉」「農林漁業」「環境」「生産・サービス」といった分野での様々な非営利・協同の実践を素材として「地域おこし」「仕事おこし」といった問題を考えてきました。
働くことが巨大な市場の中で賃金のみを求める苦役と考えられているのに対して、私たちは働くことの価値を問い直し、自らが自己決定を行い、よい仕事を通じて自己と社会を変革してゆこうという「労働者協同組合」の役割を理論政策面で支援すると同時に、新しく始まった「高齢者協同組合」の価値に着目し、運動の前進に貢献しています。また、世界の協同組合運動も視野にいれ、ヨーロッパやアメリカ、アジアの労働者協同組合運動に関する調査研究を続けています。
研究所は協同組合として運営され、組合員総会で活動方針を決めます。現在は
(1)「労働者協同組合法」の実現
(2)「高齢者協同組合」の推進および「地域福祉事業所」の立ち上げ
を研究・実践活動の中心に据えています。特に政策づくりでは実践と深く結びついた研究活動が特徴で、会員として加入している多くの実践家が研究活動に関わっています。会員は、関心を持つテーマに沿って協同総合研究所という場を利用し、理論研究や学習、具体的な政策づくりに取り組むことになります。そのため会員の研究活動をネットワークし、蓄積された情報を資源として支援するのが研究所の第2の役割です。交流誌としての「協同の發見」が毎月会員に送られる他、各種の研究会が開かれています。
研究所はインターネットの活用にも積極的に取り組んでいます。99年11月にはJICR.ORG(「じっくりオルグ」と覚えて下さい)という国際ドメイン名を取得し、サイバー空間を利用した交流を本格的に進める体制を強化しました。
所報『協同の發見』のバックナンバーもネット上で公開しています。