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  6/2 FORMACION 教育訓練部門


 マドリードの連合会の1部門である、[FORMACION]についての説明を聞く。

 余談であるが、マドリードの連合会には若い女性が多い。スタッフ12人のうち半数以上が女性である。以前アナさんが盛んに日本の女性はもっと闘わなければならない、と言っていた意味が少し分かった(片山さん嫉妬しないように)。一応聞いたけど未婚者は少ない。 FORMACIONの担当者もセシリアさんという女性で、理事会付の秘書のアリシアさんが通訳をしてくれた。

  FORMACIONは、教育、訓練の講座セクションで対象者としては、@労働者A失業者の2種類がある。@に対する教育は、COCETAとUCMTA(マドリード労協連)が協力して行っているプロジェクトである。また、FORCEMという機関があって、すべての労働者はそこに給料の0.7%を拠出し、そこに行政と企業、労組がお金を出しており、そこからの援助があるらしい。Aに対しては、職業訓練や教育の料金は無料で、これもCEPESとUCMTAの共同プロジェクトになっている。ここへは、CEEとINEM(国の失業対策機関)が援助をしている。Aに向けた職業訓練講座は、秘書や会計など様々あり、その他にも短期講座やセミナーなども企画している。

 講師は、実際に企業や協同組合の実践家がほとんどだそうである。先日訪ねた法律家協同組合のハビュエル・ブランコ氏も講師のひとりだそうだ。ちなみに秘書クラスに少しだけ参加させてもらったが、20歳から25歳くらいの女性ばかりで、500時間の授業があるそうである(その時は英語のクラスでした)。

  これらの講座の大きな目的は、1)講座終了者が仕事を得ること2)講座修了者が協同組合をつくること、でありすべての講座の講義の半分は社会的経済や協同組合の歴史、意義等についてに当てられている。卒業生には公認の終了証書が与えられる。

 スペインの失業率は平均で25%ほどで大きな社会問題である。若者は大学を卒業しても就職先がなく、ピザ屋などで働いたりする。大学は概ね理論教育が中心なので、職業訓練の場としてこれらの講座が利用されることもある。INEMは職業紹介も行っているが、実績はほとんど無く、ふつうは、民間の就職情報紙(新聞)や労働者派遣エージェントに頼ることになる。パートタイムの労働者派遣は最近始まった制度で、2人ともあまりよく知らないとのことであるが、コミッションを取られるのでよくないと思っているそうだ。それ以外は家族や知り合いの紹介ということになる。セシリアさんもアリシアさんもいわゆる「コネ」で紹介され、面接を受けたそうである。 結構いろいろ聞いたが、こんなところであろうか。後でもっと聞いてみる必要があるかもしれない。

 質問がある方はどうぞ。


  

  6/3 SERYES 保険部門


 今日はSERYESという保険代理店について。 話をしてくれたのは、ルイス・マルチャンド・プラドスさんで、この組織の創立メンバーの一人であるが、約半年前に専任者として戻ってきた。それまでは生協、貿易会社、銀行など様々な職歴を経てきた人である。49歳。

 SERYESは協同組合ではない。アソシエーションというから何らかの法人なんだろうが、スペインでは、この形態以外での保険業務は許されていない。それで便宜的にやっている。出資者は、マドリード労協連が15%、CES(歯科の協同組合)が15%、コンスエラ、コピメという協力組織がそれぞれ15%、学校の協同組合が10%といった割合。

 内容は私の聞く限り保険代理店で、顧客はほとんどが協同組合や協同組合人。労協に限らず、学校協同組合や住宅協同組合などいろいろな協同組合と協定を結んでおり、内容的には損保的な物が多いようだ。(よく分からないが)例えば、歯科クリニックで患者との間でトラブルがあった場合の損害賠償保険や、建設の協同組合が労働者にかける保険、出来上がった建物の共用部分に掛ける保険等を扱っているとのこと。

 保険の引き受け先は、イタリアのレガが出資している保険会社(?)やバスクの保険会社などを含む7つの国際的な保険会社と提携しており、それらの商品の中で一番良いものを仲介しているらしい。すべての場合ではないが、顧客から保険金が支払われ保険会社に支払うまで2ヶ月間資金が手元にあるということである。ただ、競争は厳しく大きな保険会社がダンピングまがいの値下げをするのでそれとも競争しなければならず、決して儲かる仕事ではない。この話からすると、スペインの保険の市場は日本とは比較にならないほど自由化されているのだろう。

 現在の売り上げは75,000ドルで利益が5,000ドル(月間か年間か聞くの忘れた)であるが、これを当面5倍にするのが彼の理事会から求められている任務ということである。現在は、マドリード労協連の上の階にオフィスがあるが、郊外にオフィスを増やす予定である。

 彼が強調するのは、「今までの働き方を変えることをまずしなければならない」つまり固定給制で、机に座っている働き方ではなく、固定部分を小さくして歩合を取りいれた給与体系にするのだという。彼いわく、「アメリカ的な合理的な資本主義の考え方は良くない、ただ社会的経済とは言っても資本から独立して存在するには利益をあげていかなければならない」のである。市場競争の激化や彼のビジネスマンとしての経歴から考えれば当然といえる考え方であろうが、他のマドリード連合会のメンバーはどう考えているのだろうか?興味がある。

 いずれにせよ、スペインといえども協同組合、特に労働者協同組合のおかれている状況はあまり良くない。むしろ失業問題の深刻化が労協に追い風になっているのかもしれない。EC統合のこともあるし、もう少しスペインの経済についての知識が必要である。

 ところで、今日(6/3)、事務局長?(DIRECTOR)のミゲルアンヘル氏と昼食をしながら、今後の研修についての意見を求められて、「協同組合を取り巻く一般的なスペインの経済や社会の状況を説明してほしい」と言ったら、3ヶ月前にそのことについての英文レポートを日本の連合会に送ったんだけど読んでいないのかと言われた。初めて聞く話だったので「全然知らない、多分加藤さんが持っているのだろう」と言ってしまったのだが真相や如何に? 後でコピーをもらうことになった。こいつは、いったい何しに来たんだと思われているかもしれない。(!?)

 ともあれ、ルイス・マルチャンド氏との懇談は、終わった。彼は、ビジネスで鍛えられた英語をすごい勢いで話す。しかしまあ話しは分かりやすい。こちらに保険に関する知識と語彙が不足しているため、あまり突っ込んだことは聞けなかった。どなたか興味のある方は、どうぞ。再度質問します。


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