99年度協同総合研究所

第5回 理 事 会 

2000年5月28日 日本労協連会議室


<3月19日以後の活動>

一 研究会活動について

 *130人の参加
 *公的介護保険施行後の急速な動きと一層深刻化する雇用不安
  介護関連事業で当初予想を大きく超えるスタート、4月段階で15億の見通し
  雇用力のある起業の中心にコミュニティビジネス---協同労働の協同組合
 *法制運動が第2段階へ
  第1次案改定素案---市民事業の協同組合法
  大学生協連---10地域センター210単協で賛同署名
  市民研究会---市民会議の結成に展望を
報告:岡安喜三郎氏「協同組合らしい経営を求めて」
報告:河内則夫氏(メディス)、高野修氏(大分自交)
4)労協法研究会(4月22日)
報告:島村博 第1次案改定・素案

二 事務局関係について

1)成澤京子さんを採用――総務経理部門担当
2)過年度未払い会員の退会手続と再請求
3)2000年度会費の請求
4)所報――95号(4月号)および96号(5月号)
5)事務所移転について――第一経理(旧)北事務所 
東京都北区中十条2−11−6 電話:03-5963-5355 fax:5963-5366
6月12日(月曜)から新事務所で活動

<検討事項>

T 第10回総会

7月1日(土)午前10時〜12時
場所 協同総合研究所
議長 飯島事務局長
  次    第
一 総  括
二  決算報告 
三 監査報告 
四 活動方針(案)及び予算
五  その他
 

7月1日 午後 1時〜 5時
20世紀最後の年である今年は、レイドロー報告の発表20周年に当たります。「狂気の海に協同組合の正気の島を!」「資本が労働を使う時代から、労働が資本を使う時代へ!」・・・。レイドロー博士がICA(国際協同組合同盟)モスクワ大会で呼びかけた言葉は、全世界の協同組合に大きな衝撃を与えました。そして、この20年の間、実をともなわない経済が肥大化し、競争社会、市場至上主義社会の中でますます孤立と分断が広がろうとしている中にあって、協同組合は一層鮮明にその価値と使命を問われています。
 地域の中で確実に広がりはじめた「市民の仕事おこし」と生きる人々の協同をその本源的な意味からとらえなおし、私たちが必死に広げようとしている「協同労働」の理論と思想を深める研究集会を実現したいと思います。
タイトル「協同労働と21世紀の協同〜〜協同労働の理論と思想を深めよう〜〜」
報告(予定)
中川雄一郎(明治大学) レイドロー報告から20年(仮)
富沢賢治(聖学院大学)社会的経済の広がりと現代的意義(仮)
田中夏子(長野大学教授)事例:イタリア社会的協同組合(仮)
田中羊子(東京高齢協)事例:ケアワークと地域福祉(仮)
コメント(予定)
内田弘(専修大学)
林大樹(一橋大学)
永戸祐三(日本労協連)
司  会    手島繁一

V 99年度総括

はじめに

― 研究活動
 1)労働者協同組合法の推進に関係して
■労協法研究会/サブプロジェクト
■労協法推進会議
 2)地域福祉と協同のネットワーク
 3)その他の研究
■協同集いin九州&山口(7月4日)
二 国際活動
■ICOM と CGM を訪問
アマルティアセン教授対談 と SEL を訪問
三 会員
四 情報出版
 1)所報の出版
 4)カナダ協同組合法
五 組織運営
六 その他

W 活動方針

 労協法制定運動が法案の再検討を経て新たな局面に入り始めた。公的介護保険施行後の非営利・協同への期待は予想を遥かに越えるものである。民間大手と呼ばれる企業が事業計画の下方修正を余儀なくされるのとは逆に、資本の論理とは別の非営利・協同組織がそこに暮らす人々との共同・共感の中で確実にその実績を広げ始めている。或いはコミュニティビジネスと呼ばれる地域の再生をめざす新たな起業に注目が集まるのも、資本の論理をかざした競争原理ではない、協同=ネットワークを経営の基本に据えなければもはや生き残れないところへパラダイムの転換がはじまっている予兆であろう。競争原理が生み出した大量失業は2年連続で自殺者が3万人を超えるという悲惨な事態を招いている。政府の雇用対策もその実現が1〜2%というお粗末な姿で、前代未聞の事態が進行している。これまでの政府主導の公共政策は完全に行き詰まり、地方自治体を含めたそこに生きる市民が主体となる新たな公共政策が求められている。既にその萌芽は労働者協同組合や、高齢者協同組合を含む非営利・協同、NPO、コミュニティビジネスと呼ばれる数々の活動の中に生まれている。そしてまさに、これらの事業と運動はそれぞれ地域の再生へ向けて大きな橋を掛けはじめた状況である。
 これまでの労協法制の枠ぐみを広げ、協同労働の協同組合を市民事業の協同組合としてその時代的普遍的価値を鮮明にする研究が求められている。
 2000年度は研究所の10周年であり、秋には「いま『協同』を問う」全国集会も行う。既存の枠を超えて動き始めた新しい仕事おこしに注目し、その実践を広く深く調査し、地域の再生と人々の生活を守る市民事業の協同組合を含めた新しい仕事おこしを支援する理論と政策づくりを、全国の会員の力で深めて行きたい。
 
1「いま『協同』を問う」全国集会(企画案別紙)
 
  1)若者から高齢者まで――協同のまちづくり・仕事おこしを考える
――協同の働き方・経営のしくみをどうつくりだすか
   2)公的介護保険元年――非営利協同セクターはどこまで来たか
――市民がつくる新しい福祉像:その中間決算を社会に報告する
   3)働く人びと=市民の仕事おこし支援の法制と政策を探究する
――労協法をはじめとする、仕事おこし・地域づくりの社会システム
日 程  11月25日(土)〜 26日(日)
場 所  東京学芸大学(予定)   規模500人
(1)研究活動の上半期の集約の場に
(2)ネットワークの再構築
  1)青年協同フォーラム
  2)会員の参加と地域での実践
  3)これまでの協同集会の報告者
  4)労協法市民研究会を通じての出会い

(3)スケジュール
2 研究活動
●研究所が果たすべき4つの機能
(1)協同の思想と戦略研究に関わる機能 
 今期も世界の協同労働の協同組合、コミュニティに関わる協同組合の実践とその理論・思想の研究を行う。協同集会にヨーロッパの実践を提示できるように準備を進める。
  1. レイドロー報告から20年 9月
    「協同の発見」100号で特集を組むと同時に研究会を行う。
  2. イギリスのコミュニティコープ 10月
  3. 「モンドラゴンからアメリカへ」(報告会)
(2) 地域づくり・仕事おこし研究とサポート機能
  1)地域福祉事業所研究会
 公的介護保険がスタートし地域福祉にかかわる実践が確実に広がりつつある。この分野における協同労働の優位性を確信あるものにするために、「ケアに関わる人々を励まし元気づけ、その労働の質を高めることができるサポートシステムとはどういったものか」を実践と一緒になって調査研究を行う。ケアワークドライバー研究会を継続する。
  2)環境ビジネス研究会
 政府、自治体との政策に関係しながら、新エネルギー(ソフトエネルギー)に関する総合的政策、地球温暖化に対する政策、ゼロエミッションを目標とするリサイクル社会への政策などが地域、自治体レベルで必要とされている。協同労働の仕事おこしという視点でこの分野における研究をおこなう。フロン回収に関して義務化の方向が東京都や国のレベルではじまっている。「フロン回収のビジネスプラン」作成し、協同集会で提案する。
  3)地域通貨研究会
 全国で「地域通貨」「エコマネー」の実践がはじめられている。地域の再生にかかわるベーシックな部分での取り組みとして研究活動をはじめる。
(3)協同経営・教育の研究とサポート機能
  地域福祉事業所などのコミュニティ事業の経営論をテーマに「21世紀協同経営論研究会」を継続して行う。労協連加盟組織の教育学習活動をサポートする。
(4)労協法の研究と制定サポート機能
 研究会としては小人数の担当委員で、「労協法Q&A」「外国法制」「モデル定款」などの検討を行い、スピーディに制定運動をサポートする。適宜、労協法研究会を開催する。
●地域別研究会の促進とサポート
  1)「長野県非営利・協同の懇談会」
長野で第1回の「地域集会」が開かれて10年以上が経過する。昨年所報でこの活動を記録に留めた。この研究交流活動が長野の高齢協、労協の事業と運動の前進に決定的な役割を果たしてきている。しかし、ここまで研究所としてしっかり位置付けられてこなかった面が否めない。地域での研究と全国での研究の相互の強化はどうすればいいのか。これまでの活動に則して相互で検討する。
(「長野県非営利・協同の懇談会」の活動経過と現状については『協同の発見』1999年10月号で特集を組んでいます。ご参照下さい)
  2)「大分での非営利・協同の研究会」----九州・山口の会員つどい
「会員の集い」という形で過去2回行った。継続させて行きたい。今年は大分県下の活動から、特に下郷農協と自交総連大分地連の活動を調査することを含めた研究会を実施する(阿部誠理事・大分大教授から実施要項が送られてきました。ご覧ください)。九州での非営利・協同運動は所報で特集を行う。
  3)関西での「非営利・協同の研究会」
首都圏に次いで会員の多い関西圏で研究所の活動が位置付けられていない。11月の協同集会へ向けて、関西での準備を含めたミニ企画を実現させる(企画概要はこちらをご覧ください)。
●他の研究機関との協力協同
各種研究機関とのネットワークはこれまで所報の交換というレベルに留まる。しかし、研究内容の重複も見られ、研究資料として利用価値の高いものも多い。協同研究の可能性を模索すると共に、相互の情報リンクなどについて検討する。特に「協同集会」成功と「労協法制定市民会議」の成立へ向けては決定的な役割を担っていただける組織であり、特に位置付けて取り組む。
3 労協法制定市民会議
労協法の制定に向けた市民会議の運営を中心的に担う。5月19日の市民研究会の成功を出発点として、7月の市民会議準備会の成功に全力で取り組む。労協法研究会をこの市民(研究会)会議の活動のリンクさせて、必要な研究活動を継続する。
4 研究情報の蓄積と共有
「協同の発見」と「ホームページ」「メーリングリスト」を有効に活用し、会員相互と研究所事務局との結びつきを豊富にして行く。
(1)名簿の更新
(2)メーリングリスト
ここまでの参加者は50名程度である。メールの利用価値は潜在的には極めて高い。しかし、一方で多数の参加と相互発信がなければその価値は全く高まって行かない。会員情報の更新と共に、メールアドレスを持つ全ての会員に参加をお願いする。週1回の研究所ニュースの配信に努力する。
(3)ホームページ
研究所の情報媒体として「協同の発見」と共に既に重要な位置を占めている。原則として秘匿しないで全てを掲示するという考えに立ってきた。しかし、不特定多数が全てのコンテンツを利用できるということは、会員の会費で運営されている組織として矛盾する問題を抱えている。何を公開し、何を非公開とするかを検討する。労協加盟組織へのリンク又はface情報の掲示、他の研究機関、研究所、及び会員相互のリンクにつとめ、一層使いやすいページにする。ボランティア的制作努力に対してコストを支払う。
(4)協同の発見 / 毎月発行
内容については事務局会議、常任理事会の検討を経て決める。
「労協法制定を今こそ」「海外情報&事情」「JICR.ORG通信」は継続する。新しく「地域福祉事業所」の活動を連載としてスタートさせる。
(5)出版物
1)「モンドラゴンからアメリカへ」中川訳(日本経済評論社)
5 会員の拡大  300人
 300人の会員拡大を目標にします。
6 組織運営
(1)理事会  年3回  11月  3月   5月
(2)常任理事会  毎月1回
(3)事務局会議  毎月2回
7 その他
(1)10周年記念シンポジューム 2001年3月24日
(2)理事の補充

文責:坂林哲雄(協同総研専務理事)/制作:手島繁一

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