JICR.ORG通信
-協同総合研究所のインターネット活用の経験と現況-
第4回理事会(2000年3月19日)への報告

インターネット活用の経過

(1)ホームページ(HP)の立ち上げ

 研究所のホームページは、総会前日の6月25日に立ち上がりました。

(2)国際ドメインの取得

  取得したドメイン名は「JICR.ORG」(「jicr.org」でもよい)。

これによって、HPのURLは
<従来のURL> http://village.infoweb.ne.jp/~kyodoken /
<新しいURL> http://jicr.org/

また、研究所のメールアドレスは
<従来のアドレス> kyodoken@mb.infoweb.ne.jp
<新しいアドレス> kyodoken@jicr.org

 ところで、なぜ「JICR.ORG」なのでしょうか。
 これは協同総合研究所の英語表記(Japan Institute of Co-operative Research)の略称です。研究所の英語表記を決める際の理事会で、富沢賢治副理事長(聖学院大教授)が「JICRは日本語風に読むと、『じっくり』となって、ぴったりですね!」と発言されたのが決め手になったように記憶しています。
 それに習って、みなさんも「じっくりオルグ」と覚えてもらい、周りの方々に広めてもらえるとうれしいのですが。

(3)「HP大改装作戦」

1999年度の総会に間に合うように作られた旧HPは、時間的制約もあってか必ずしも、制作者側にとってもまたアクセス者側にとっても使い易いものではありません。最大の問題は、「HPの2大効用」のいずれにしても中途半端になっていることです。コンセプトがはっきりしていないということです。

 トップページは「研究所の世界に開かれた窓」の入口なんですから、わが研究所が何を社会に訴えようとしているのか、またわが研究所とは一体何を目的にした組織なのか、ということが書かれていて当然なのですが、それが全くないという欠陥があります。

 またHPの第2の効用、すなわち理事会・事務局と会員間、あるいは会員同士の間でのインタラクティブな交流を図る工夫がされておらず、研究所の外部むけ情報を一方的に発信するスタンスになっていました。

 そこでこの点に検討を加えた上で、HPの改革に取り組むことにしました。名付けて「HP大改装作戦」です。
 11月27日、「HP大改装作戦」の第一弾として、トップページの改装見本を制作しHP上に掲載しました。

(4)メーリングリスト(ML)の運用

--- 後述 ---

(5)メールシステムの整備と活用 

--- 後述 ---

リニューアルしたJICR.ORG

 「HP大改装作戦」は2月7日に一応完了し、この日から「新装開店」しました。それから1ヶ月以上経っていますから、もうかなりの方がご覧になったのではないかと思いますが、これを機にあらためて「新装開店」したJICR.ORGの全体像を案内しておきましょう。

 JICR.ORGは、サイトの入口であり全体の案内板の役割を持つトップページと、9つの部屋(=ディレクトリィ)から成っています。

(1)トップページ

サイトの入口であり全体の案内板の役割をもっています。

 ■ 研究所の簡単な紹介

 ■ 新着情報(=WHAT'S NEW)

 ■ アクセスカウンター

 ■ 英語版・イタリア語版・スペイン語版案内へのリンク

 ■ サイトの各セクション(部屋)の簡単な内容紹介とリンク

 ■ 日本労協連・高齢協へのリンク

  • 特に重要な情報や直近の公開研究会の案内は、バナー(広告)風に強調して掲載しています。

(2)研究所のご案内

 研究所情報を載せています。

 ■ 研究所の概要

 ■ 研究所の歴史

 ■ 設立趣旨

 ■ 5つの原則

 ■ 役員名簿

 ■ 研究所への道案内(地図と交通案内)

(3)労働者協同組合法の部屋

 労働者協同組合法に関する有用な情報を掲載しています。

■ 労協法制定推進本部の活動・・・今の所、空白です。推進本部の会議の議事録や労協法をめぐる行政官庁、各種協同組合、その他の組織や個人の動向など、いわゆるフロー情報中心のセクションに育てていけば、やがては労協連や高齢協とのコラボレーションで、独立のサイトとして立ち上げることも展望できるでしょう。

■ 労協法の提案・・・「連合会(第1次)案」を全文掲載しています。また、「連合会(第1次)案の要約」の英文版と日英対訳版を掲載しています。現在、このページを国際的なリンク集に載せてもらうべく、工作中です。
 国連のILOを含む3機関とICAなど民間4団体が作る機関が協同組合法に関するホームページを開設していることを、坂林専務が見つけたことが契機になりました。

▼COPAC, Committee for the Promotion and Advancement of Cooperativeshttp://www.copacgva.org/

▼Cooperative Legislation
http://www.copacgva.org/legislation.htm

 今の所、日本の協同組合法では漁協法しか掲載されていません。このページにわが労協法案を掲載してもらうよう、長崎大の吉田省三さんにご尽力いただいています。

■ 労協法の訴え・・・菅野副理事長の『朝日新聞』1999年8月31日付「論壇」投稿記事など、労協法の必要性を社会的に訴えた諸論稿を掲載してます。

■ 諸外国の労働者協同組合法・・・G8諸国を中心に外国の労協法を一覧的に紹介し、比較研究された堀越芳昭さんの論文を掲載しています。この論文に付記されている「文献一覧」は、海外の労働者協同組合法を網羅したものとしては唯一のものです。

■ 国内の研究論文紹介、FAQ(よくある質問とそれへの回答)は、『協同の発見』2・3月号の特集を受けて面目を一新すべく努力中です。

(4)海外ワーカーズコープ情報

研究所が発足以来収集に勉めてきた海外の労働者協同組合の情報を、系統的に整理し、掲載するセクションです。労働者協同組合(ワーカーズコープ)に限っていえば、海外の資料や情報の蓄積量ではわが研究所は恐らく日本随一でしょう。

 残念ながら、これまでは一つは翻訳作業の困難、もう一つは広報手段の貧困さから、これらの資料や情報の大半は研究所の本棚に眠るか、ごく限られた会員にしか利用されてこなかったわけです。インターネットとそれを使いこなす能力の向上に伴って、これらの貴重な資料をWeb上で公開できるようになりつつあります。日本の社会科学系研究組織のサイトでも、資料の全文掲載を実現しているところが少ないという状況の中で、わが研究所は非力ながらも全文掲載を原則として奮闘したいと思います。そうすることが、労働者協同組合運動の認知と普及に役立つことはもちろん、わが国のインターネット文化の向上に貢献することにもなります。

■ 1999年3月入手のCECOPA,ICOM関係資料・・・このうちの主要な資料は『欧州ワーカーズコープ最新事情』99年9月、シーアンドシー出版で翻訳掲載されています。

■ ICA99年ケベック大会資料・・・入手資料の全て(7本の挨拶・報告)を、菅野副理事長の翻訳と解説付きで掲載しています。わが国の協同組合のサイトや印刷物で、これほどの情報を提供しているところはありません。

■ 石塚秀雄の海外ワーカーズコープ漫遊記・・・『仕事の発見』誌に1993年12月から現在まで長期連載されている人気シリーズです。現在まで32本の記事がありますが、そのうち6本がWeb上で読めます。いずれ全ての記事をWeb上で読めるよう、石塚さんとのコラボレーションの体制を構築中です。

■ 吉田省三の世界の労働者協同組合運動リンク集・・・Webの先達・吉田省三さん(長崎大)が作られた労働者協同組合のリンク集です。ヨーロッパ編とUSA編の二つがあります。

(5)協同ネット

 「HP大改装作戦」で、ただ一つ作戦を完遂できなかったのがこのセクションです。方針がよく煮詰められていなかったことが、敗因でした。その教訓に鑑み、まず目的を簡略化することが必要です。

 第1に、会員名簿を載せる。名簿そのものはすでに印刷物になっています。したがって、そのE-TEXTを載せるか、またはE-TEXTがない場合はスキャナーで読み取るかすればよいわけですから、作業自体はそれほど大変ではありません。

 問題は、個人情報をWeb上で公開することになるわけですから、会員一人一人から許諾を頂かなければなりません。その手続きと作業が必要です。
 「東京ライターズ・バンク」方式が参考になります。個々の会員の情報は、以下の項目を掲載してはどうでしょうか。

(1)名前
(2)連絡先
(3)所属
(4)専攻分野
(5)著作、論文、所属団体での役職・経歴など
(6)簡単な自己アピール

 第2に、団体リンク集については、これまで協同集会でお付き合いがあった組織・団体に総当たりして、そのHPやE-mailアドレスなどを載せるということにしてはどうでしょうか。

 いずれにしても、研究所や労協連、高齢協を軸とした「協同のネットワーク」をインターネット上で実現するという壮大な企画なので、それにふさわしい取り組み体制を考える必要があるでしょう。

(6)所報『協同の発見』

  所報『協同の発見』の目次および主要記事を定期的に掲載するセクションです。ある程度定型化されている作業ですし、編集部のネットリテラシーが目に見えて向上していることもあって、今後コンテンツは充実したものになっていくでしょう。課題は、

■ 在庫部数が少なくなっている過去の号については、デジタル化してWeb上に蓄積しておくこと。

■ 総目次を作ること。

■ 全文検索を付けること。

(7)研究所の諸会議・活動

研究所の総会、理事会、各種専門委員会、事務局会議などの会議、定例・臨時研究会など、日々の活動を随時掲載するセクションです。

 このセクションのトップページとして、会議や研究会を一覧的に閲覧できるような入口のページを作りました。そこにアクセスしていただくと、過去の活動概要はもちろん、これからの会議・研究会の予定も見られるようになっています。

 研究会については、事前の案内は確実に掲載できるようになりました。今後の課題は、研究会についていえば、まとめや参加者の感想などを随時書き込むことが出きるような工夫が必要でしょう。例えば、電子掲示板の活用なども考えてみてもよいでしょう。

 会議については、出来る限り議案書を事前に掲載できるよう努力すべきでしょう。

(8)出版物のご案内

 所報を除いて、研究所が主体となって出版した書籍、ブックレット、パンフレットなどの案内をしています。「図書館流通センター」の協力を得て、このページに掲載されている著者と出版社をクリックすれば、その著者の著書一覧および出版社の出版物一覧が表示されるよう工夫しました。
 E-mailで注文が出来るようになっていますが、注文用のフォームを付けると一層便利です。

 また、シーアンドシー出版の出版案内のページも付けられています。

(9)更新履歴

 過去の新着情報を集積しています。フロー情報をストック化したもので、JICR.ORGの成長過程がわかります。

(10)入会のご案内

 入会フォームがついていますから、ここから入会手続きがとれるようになっています。 

アクセスの推移と課題

(1)アクセスの推移と現況

 JICR.ORGへのアクセス件数は、3月18日現在で2.125件となっています。
 アクセス件数の推移についての解析は十分に出来ていませんが、はっきりとわかるステッキング・ポイントが二つありました。

 第一は、11月初旬です。HPの立ち上げ以来、10月30日まではアクセス件数が500件だったのですが、その後急速にアクセスが増え、11月の最初の週だけで100件のアクセスがありました。つまり、10月までは月平均125件、日平均4件であったものが、11月になってから日平均15件弱と、ほぼ3倍になったわけです。この急増の原因については、思い当たる節が一つあります。アマルティア・セン教授(英ケンブリッジ大学トリニティカレッジ学寮長)との「会見記」を掲載して以降、アクセスが急増したように思われてなりません。

 第二は、年明けです。2000年1月以降、アクセスは1日平均20件のレベルになっています。日本最大の検索サイト「Yahoo Japan」への登録、頻繁な更新などを通じて、JICR.ORGが認知され、活用されていることが実感されます。

(2)「JICR.ORG通信」の発行

 これまで『協同の発見』誌上で3号にわたって「インターネットを活用することで、研究所の活動はどうなったか」と題する編集後記を連載してきましたが、2000年2・3月合併号から「JICR.ORG通信」という名の定番連載にすることにしました。
 紙と電子サイトとの相互好循環関係を創り出そうという目論見を、実践に移しました。
 この連載では、研究所のインターネットに関わる活動状況を定期的にお知らせすることにします。具体的には、

(1)研究所のWeb上での顔=JICR.ORGの更新情報
(2)インターネットを活用した会員間の情報交換の場となっている、「メーリングリスト」の状況
(3)インフラ(設備)の整備状況、およびリテラシー(活用能力)の向上に関わる諸問題
(4)インターネットや「IT(情報技術)革命」に関する情報

などが、中心になります。もちろん、研究所と密接な関係にある日本労協連、高齢者協同組合における同様の問題についても、随時お知らせするつもりです。

(3)今後の課題と展望

 本格的な運用体制に移行するための課題をメモ的に記しておきます。

(1)研究所内のリテラシー向上とHP制作体制の分散化
(2)研究所、労協連、高齢協の「団子3兄弟」(?)的連携の強化
(3)「協同ネット」の構築を契機としたJICR.ORGの宣伝
(4)サイト内検索=全文検索の付加による、データーベース機能の強化
(5)マルチ・メディア化=音声、動画の制作と配信のための研究

メーリングリストの運用

  研究所ではメーリングリスト(Mailing List、ML)を開設しています。これは、電子メールを使って、会員間で自由に意見交換や情報交換を行うための広場です。会員であれば誰でも参加できます。参加手続きは簡単で、

○kyodoken@jicr.orgあるいはkyodoken@mb.infoweb.ne.jp宛てに、「ML参加希望」と「メールアドレス」だけ書いて電子メールを送ってください。事務局で加入手続きを行ったあと、参加承認のメールが送り返されます。それであなたも晴れてMLの一員です。

○投稿は全く自由です。事務局からは、「HPの更新情報」「出版物のお知らせ」や研究会、その他のイベントのお知らせを届けます。

○研究所のMLの最近の現況では、ICOMのビデオ編集に関する情報のやりとり、研究所の国際ドメイン名取得の手続き、HPへの意見・注文などが話題の中心になっています。

○ここ数日は上記の話題などで異常な盛り上がりを見せていて、一日平均5件を越える投稿があります。平常ではそれほどの投稿はないにしても、個人間のメールのやりとりよりは多い数のメールを受け取ることになります。そこでML参加者には、強制ではありませんが、メールボックスに「協同総研ML用の専用フォルダ」を作るようお勧めします。

 こうすれば、協同総研MLへのメールはすべて自動的にこのフォルダに収まることになって、検索や整理が大変楽になります。
 「専用フォルダ」の作り方は、それぞれが使っているメールソフト(メーラー)のマニュアル、あるいはオンラインヘルプをご覧ください。「メールルール」「メールの整理」あるいは「フィルタリング」の項目で載っているはずです。研究所に電話あるいはメールで問い合わせて下さい。

メールシステムの整備と活用

 研究所がインターネットを導入してから、その効用を最も実感できているのは、電子メール(以下、メール)の活用による効用ではないでしょうか。

 坂林専務は以前からメールをよく使いこなしていましたが、研究所LANの構築以来、事務局の普遍的な活動ツールになってきました。特に、所報の原稿のやりとりにメールが使われるようになったメリットは計り知れないものがあります。

 問題は、わたしが以前から感じていたんですが、「坂林メール一極集中状態」の解決です。研究所のあらゆる業務に関するメールがkyodoken@jicr.orgでやりとりされることから、メールが坂林メールボックスに集中してしまうのです。解決の方策は、取りあえず3つ。

(1)所報関係のメールは、所報編集部の独自メールアカウントを取得し、分散処理する。これは昨年末に実現しました。
(2)研究所の業務に関するメール交換は、特に個人的に秘さなければならない情報の交換以外は、メーリングリストでのやりとりを基本とする。
(3)手島、飯島でメールを分散させる。あるいは、もっと広い範囲で、メール処理の分散化を考えてもよい。

 現在の研究所のメールシステムについて、以下に掲げておきます。

メールアドレス

備 考

kyodoken@jicr.org

研究所への通信一般

iijima@jicr.org

HPへの意見、書籍の注文など

hakken@jicr.org

『協同の発見』誌編集部専用


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