99年度協同総合研究所 第3回 理 事 会 1999年12月23日 日本労協連会議室 出席/中川理事長、菅野副理事長、坂林専務、飯島事務局長、手島常任理事、荒木、岡安、川口、菊地、佐藤、鈴木、田村、橋本理事 /委任状 9(大谷、富沢、鍛谷、堀越、神田、菊間、塩田、藤田、山田) 以上22名
8月の理事会以降、大きな国際的イベントを9月と12月に行い、10月にはアマルティアセン教授との対談が実現するなど、日本労協連の20周年事業と一緒に、これまでにない活動をこの半年の間に行ってきました。それぞれ成果を残しながら、一方で第2回の理事会で決めた方針の具体化が進まず、事務局の非力さを痛感しております。成果を確認し基礎的な研究活動に関する方針を再度ご検討頂きたいと思います。
<この間の活動報告> 9月12日、13日の両日、明治大学のリバティホールに約300人の参加で行いました。このフォーラムの準備のために事前検討会(研究会)を実施し、中川雄一郎、大谷正夫、富沢賢治、野川忍、宮坂富之助、堀越芳昭、石塚秀雄、菅野正純、鍛谷宗孝、島村博、坂林が参加して内容づくりとまとめにあたりました(7/27、8/11、8/25、9/11、11/20)。 既に所報で紹介されているように、外国からチャーリー・カッテル(イギリス)、アルチェステ・サントゥアーリ(イタリア)、フィッリプ・ジョワヒム(CECOP)が参加。カッテルがイギリスの労働者協同組合の発展が社会目的と経済目的をもって地域を基礎に発展し、公正な社会の実現に寄与していると報告。サントゥアーリは、社会的協同組合のイタリアにおける発展の意義を、人間発達と市民の社会的統合の促進、地域社会の一般的利益の追求を目的にして社会的に不利な立場にある人を排除しない社会への貢献を報告。CECOPのジョワヒムはヨーロッパ社会全体の中での労協の発展と連合会の役割、ネットワークの重要性を報告しました。その発展ぶりや法制だけでなく労働組合運動の関係や協同労働の法的位置付け、従属労働との関係などにも討論が及ぶ、翌日の中川、野川のコメントで日本の運動にとっての意義が一層明らかにされました。 集会当日使用したICOMのビデオを副読本付で販売する準備をしています。副読本は実際このビデオを授業で利用された長崎大学の吉田省三さんの発案で作ったものです。 (2)労協法制定運動(別紙) 労協法推進本部(G8/27、H11/15、I12/22)
12月3日、4日の両日、神奈川青少年センターで250人が参加して行われました。外国代表はアメリカからAARPのパーキンス理事長、イタリアはアウゼルのマリア理事長、中国は上海市老齢委員会のニイ副主任、イギリスからはAGEConcernブラッドフォードのスウ高齢者活動推進部長です。中でも参加者を感動させたのはイタリアのアウゼルの報告です。世代間の連帯を具体的な実践を通じて取組んでいることや、先進国の高齢者の孤独(社会的排除)を克服する「銀の糸」や第3期自由大学、さらに第3世界との連帯をめざす「アウゼルの仕立て屋」などその活動には目を見張るものがありました。所報1月号にその一部を掲載します。 ICA大会総会が8月30日から9月1日カナダのケベックで行われました。その模様を所報12月号に掲載しました。菅野、大谷副理事長、石見顧問が参加されています。グローバル化がもたらす「排除」、これに対する協同組合(社会的協同組合)の役割が21世紀の羅針盤である、といった基調と北米アメリアにおける協同組合の復権が特筆すべき点として共通しているようです。 10月30日に高齢者の国際大会と合わせて研究会を行いました。 (5)セン教授との対談とSEL(Social Enterprise in London) (6)ICOM及びCGM訪問(別紙) (7)新会員 8月以降の新規加盟が27名となっています。社会政策学会、協同組合学会、各理事への宣伝誌の送付、個別の加入要請などが功を奏しているようですが、個別の紹介ルートまでつかんでいません。
(8)所報「協同の発見」 *龍谷大学図書館 創刊号からの買取 大学生協から9月号、10月号を各100部の注文 地域の協同の取組紹介第1弾として取組んだ。「長野協同の懇談会」が400部増刷分を買取る。原資は地元の広告を利用。次に取組みにつながるものに。 武田正勝さん(福岡県高齢者福祉生協)の執筆と抜刷5000部の注文 (9)その他 11月3−4日東京で行われました。竹内孝仁日本医科大学教授、池上惇京大名誉教授の講演の他、12の分科会が行われています。 3)高齢者協同組合は25都道府県、12都道県で認可(資料) 高齢者協同組合連絡会が発足 4)センター事業団の経営(口頭報告) 手島常任理事の大奮闘でかなり評判の良いページが作られています。 <検討課題> はじめに ICA大会が提起した21世紀の協同組合の方向性とその国際的胎動、さらに労協法国際フォーラムの成果やセン教授との対談などを踏まえて、改めて研究所の役割を考えるときに、これまで掲げた方針「21世紀協同論の探求/協同労働から200万人就労創出計画」を貫き、労働者市民の側からつくる協同の対案の必要性がますます明らかになってきているといえます。「21世紀協同論/協同労働からの200万人就労創出計画」は、ことばを変えれば市場至上主義への対抗戦略を協同労働の現場から「実践的に理論化し」、日本の社会の中に社会的協同組合の実践を広げようということです。 これを担いうる研究所事務局の力量と実践とのつながりをより強めるために、より充実した研究活動を展開しないと、本来の労働者協同組合や高齢者協同組合の実践と大きく離れたところに位置してしまいかねない危機を感じています。 研究所としては実践家の参加を促進することを大切な視点の一つと踏まえて、2000年の協同集会を目標として、この後の活動方針を再度議論し、確認し合いたいと思います。 基礎的研究活動 (1)定例研究会/(事務局内担当 坂林・飯島) 第2回理事会方針を座長と研究会にまかせないで、定例研究会として取組む。
(3)欧米労協研究会/(同 坂林) *コミュニティケアの実現と協同組合の役割欧米の実践 (4)地域福祉事業所の理論と政策の研究/(同 飯島) 2ヶ所現場調査を踏まえた「コミュニティ福祉」の拠点としての地域福祉事業所のあり方を普遍的な視点をもって各地域の実状に促した提言をまとめる (5)労働者協同組合論/(同 菅野) 労協の組織、経営、仕事、教育といった問題を調査活動も踏まえて 協同総研の主要な柱 対外的な活動 (6)2000年「協同を問う」集会 関西 「地元から協同総研の活動がない」という声あり。 ――――――(例)講師と講座内容―――――――――――― 協同組合論 永戸祐三「労働者協同組合論」 ヨーロッパの協同組合 中川雄一郎「イギリス、モンドラゴンの実践」 特別講座 植田和弘「環境と協同」 私と労協の実践 西脇忠之「私と労協、神戸の実践」 ―――――――――――――――――――――――――――――――――― (8)委託研究の追求 事務局内での活動 (9)基本情報の蓄積と整理 労協関連文献一覧(内山)―――2000年9月頃 高齢者協同組合関係資料の収集と整理(坂林) (10)出版/飯島 1)所報「協同の発見」 協同総研の活動の収斂する場であり、会員をつなぐ重要媒体 編集委員会だけでなく理事会(常任理事会)でも議論 1月号――「副読本」&「世界をつなぐシニアシチズン」 2)「モンドラゴンからアメリカへ」日本経済評論社 翻訳 中川雄一郎、小島江里子 ・ホームページの更新/協同のリンクの充実 ・ML――人と話題を増やす (12)会員の拡大/飯島 入会理由は様々だが知らせる努力を継続する (13)その他 岡安喜三郎理事を常任理事に推薦します。 スケジュール 資料:第2回理事会議案――――――――― T 21世紀協同論の探究 協同共生の世紀にふさわしい協同論の探究を研究者の講演を基本に公開型で継続する。 講演(例)京極高宣、井上ひさし、宇沢弘文、池上惇、一番ケ頼康子、内橋克人 U 協同労働からの200万人就労創出計画 ――12月中旬に中間まとめの研究集会でレポート提出一12月18〜19日―― ――労協を含む実践家の参加で政策を実践に生かして行く―― ――幅広いネットワークづくりと会員の拡大につなげる―― 1.地域再生・就労創出政策研究会 ――協同労働が提起する200万人就労創出計画の具体化―― 1)総論――日本の経済変動と労働政策(塩田) 現代協同組合と仕事おこし(菅野) 2)地域福祉と就労創出(富沢、飯島、内山、川口、鈴木勉、古村、田中羊) ――地域福祉事業所づくりとその政策/地域福祉を柱に据えた協同労働はどこまで広がるか―― 3)中小企業・商店街の再生(伊藤、菅野、永戸、堀越、梶、 ) ――大田区中小企業家同友会の取組から/中小企業と商店街の再生で就労はここまで広がる―― 4)農業農村再生(石見、神田、木下武男、鈴木剛、芹沢由和) ――鹿児島での農協と労協の取組に注目して * ――林業と就労政策――(菊間) 5)労働者自立支援(内山、阿部、柳沢、高野修) ――タクシー業界の再生へ向けた提案―― ――環境で協同労働はどこまで事業と就労を広げることができるのか―― 7)政策の提案 @産業政策(阿部) A労働政策(野川) B自治体政策(手島) C青少年の仕事おこし ――若者の仕事おこしと大学の役割(岡安) ――社会的協同組合と若者の仕事おこし(佐藤) D文化政策(荒木) 8)欧州労働者協同組合研究(中川、大谷、的場、田中夏、小島) ――EUの政治経済変動とコミュニテイ・就労政策(後) 2.コミュニテイ・ケア研究会(菅野) ―「ケアワーカーズ・コープ」「地域福祉事業所」の確立とコミュニティケアの全国 展開の研究(別紙)―― 3.「仕事おこし・(反リストラ)労働者自立支援センター」(坂林、田村、杉本、高野) センター設立構想と労働者自立支援の具体的ノウハウの研究 4.労協教育検討委員会(中川、菅野、飯島、鍛谷、堀越、内山、岡安) 労協教育の基本理念の確立/協同思想、協同経営論、人間発達と組織の文化論 政策/自泊体・地方自治論、協同組合・NPO論、福祉、環境、地域・地域経済論 教育方法論の確立/ ――労協講座の開始 ――労協で働く若者の意識調査(継続) 5.労協法案検討委員会(宮阪、菅野、掘越、池田、野川、橘、島村、坂林) ――従属労働の保護を前提とした労働法体系との関係 ――生協法、企業組合法、NPO法との峻別 ――税制優遇、資本形成の理論化 ――第2次案の検討/これまでの批判を踏まえて 6.専門学校づくりの検討(鍛谷、飯島) 7.基本文献(中川、内山)/海外資料(手島) 「モンドラゴンからアメリカへ」(翻訳)/日本経済評論社
日 誌 8月 9月 11日 国際フォーラム打ち合わせ/所報9月号発送 11月 5日 四役会議(菅野) 以上 |