第13回協同総研総会報告 2003.6.28 研究所たよりWeb版(112) |
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去る6月28日(土)10:00〜12:00に東京都北区赤羽会館にて協同総研第13回総会が開催されました。(出席27名)
あいにくの雨模様で参加者はやや少なかったのですが、議案の提案に対し、旺盛な討議が行われました。(菊地) 〈議案提案〉 まず、司会の菊地から提案を行い、理事の橋本吉広さん(地域と協同の研究センター)が議長に選出されました。 橋本議長の議事進行により、まず中川理事長の開会あいさつ、そして日本労協連より菅野理事長のごあいさつをいただきました。 続いて、第1、第4号議案の提案を岡安専務理事が、第2号議案を菊地が、第3号議案を梶監事が行いました。 (討議) 田村守保さん 全労働(旧労働省の労働組合)でも雇用創出企画会議の報告書(後述)に注目が集まっており、雇用政策の転換の意識が生まれつつあることを紹介されました。 大嶋茂男さん NPO取得が進んでいない点に触れ、職業開発を担うのであれば公的機関からの受託が必要なわけであり、法人化は必要である、という点、また関連して協同の發見の内容についてご意見がありました。 黒川俊雄さん 先のILO新勧告(193)の内容が労働組合に知られていないということから、より知らせる働きかけをする必要性を述べら れました。また、WTOが企業倒産や失業問題の中でILOを無視できなくなってきている点を紹介され、ILO勧告の必然性を語られました。 堀越芳昭さん ILO勧告について協同総研が協力し、日本協同組合学会が発行した「ILO・国連の協同組合政策と日本」について触れ、学会としてのこの勧告への取り組みを発言されました。経団連、厚生労働省、連合等関係団体にもこの書籍を寄贈していること、また、すでに1000部ほど売れており組織的に学習会等で利用されており、勧告の内容の普及に役立っていることを紹介されました。 さらにILO、国連、ICAなどが連携して振興が進められている状況と日本での第2の戦後改革に向かいつつある中での協同組合の位置づけを述べられました。 杉本時哉さん 黒川さんの発言を受け、WTOに日本の財界代表で参加している人に対し、日本の労働運動の歴史を話し、その最後にILOのディーセントワークを紹介したところ非常に感激され、経団連等もILOの重要性に気付きつつあるとということ、また、労働金庫でもコミュニティビジネスにどのように取り組むか、という提案をした、という報告をいただきました。 〈特別報告〉 1号、4号議案に関連して、5月21日に発表された厚生労働省統括政策官室による雇用創出企画会議第一次報告書について、島村主任研究員(法制化市民会議事務局長)より特別報告を行いました。 報告書の中では雇用創出の可能性がある分野の制度改革を中心に検討すること。現実には福祉、介護、教育、文化、環境といったコミュニティ・ビジネスの分野で地域密着型のスモールビジネスが注目されているということ。そこでの働き方は従来の雇用の枠組みに拘らない新しい働き方であるということが示されています。 また、その新しい働き方については現行の社会制度では対応できないため、どのような制度を提供していくべきか検討を進めていく必要がある、としています。 具体的にどのような組織が雇用創出を担っているかという点では、従来の企業セクターだけでなくNPO・労働者協同組合・企業組合・小規模企業などが挙げられ、これは世界的な趨勢であるとされています。 市民会議の活動の中では議員立法として推進してきたため、必ずしも今回の報告書にすべて賛同はできないが、厚生労働省の政策提言として出されたことには意義がある、と報告しました。 (討議) 山岡英也さん 議案の中で高校・中学教員への会員拡大の記述に触れ、日本では小・中・高では協同組合は学んでこないので、いきなり大学で協同組合を学んだり参加したりすることになる。幸い協同総研には協同組合学会の会長・副会長がいるので、法制化と共に協同組合教育の問題についてミニシンポくらい組めるような体制にしていけたらいいのでは、というご意見をいただきました。 杉村和美さん 倒産が増えている中で、労働者が自らの生活と雇用をどう守っていくか、という問題に関心があり、9月にイタリアへ調査に行く際にマルコーラ法が今、どのようになっているのかを調べてご報告いただきたい、という点、またフリーランスなど従来の雇用関係に当てはまらない非正規労働者が協同組合という形で自らを組織していくという活動が必要であり、そのような点も視野に入れた協同組合運動と労働運動の問題意識が重複したような分野の研究を、と発言されました。 また下請け労働者の権利の問題で公共事業の入札問題の本を作っており、リビングウェッジの問題等でもいろいろ協力していただきたい、と要望されました。 国安晋三郎さん 日本では中小企業の雇用労働は減っており、それは欧米と違うところであるが、中小企業が存続しない限り雇用は守れないだろうと述べられました。国安さんの会社でも昨年人員を半分くらいに減らさざるを得なくなって、労働組合も今までのような形では生活を守っていくことができなくなっており、本格的にこのような状況と闘うことを経営者も一緒にやらなければ、と述べられました。 また、経営にとって現状の破産法や連帯保証の法制を変えなければ、経営を立て直すことが出来ないので、これを変える取り組みをしていきたい。そして将来はどうしても株式会社から協同組合の企業へ転換していきたい、と語られました。 〈まとめ〉 岡安専務がまとめとして、協同総研は労働組合と協同組合のみならず企業の経営者も参加しており、本来ならここから労働者協同組合の経営のノウハウの支援を受けることができる。全体としてそれが社会的企業としてグローバル経済に対抗する大きなうねりとなりその核となるのが労働者協同組合である。労働政策の変化、ILOの新勧告、WTOや経団連の話も出ましたが、話し合っていくことが必要な時代になってきた。そういう意味では協同のあり方が21世紀になって大きく変わってきており、様々な付き合いの中に協同総研もきちんと入って研究をしていきたい、と発言しました。 また、まだまだ不十分な点もありますが、「協同の發見」を充実させるのは、自分で考えて書き、研究会を開いて発信するということであり、そこは会員の皆さんにお願いしたい、とまとめました。 〈採決〉 1号から4号まで一括で採決し、全会一致で承認されました。 〈議案提案・採決〉 第5号議案「役員改選」を岡安専務が提案し、拍手で承認されました。 休憩中に第1回理事会を開催し、新役員の互選を行い、再開後、岡安専務より新役員体制の紹介がありました。〔新役員体制〕 〈閉会のあいさつ〉 閉会のあいさつを堀越新副理事長よりいただき、閉会しました。 |
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