7/23 マドリード自治州 経済・雇用部門
昨日は,珍しい雷雨の中,マドリード自治州の経済・雇用部門の長に会いに行ったのです
が,非常に多忙らしく,オフィスで1時間待っても現れないので,別の機会に出直すことになりました。今日は,また別のアポイントが入っており,2日続けて,革靴を履いています。
今日は,国の「労働・社会問題省」の「社会的経済推進担当次官」という人との懇談がセットされていた。さすがに国のお偉いさんだけあって,広々としたオフィスというか執務室に案内された。
正直言って,何のために訪問するのかよく分かっていなかったので,事態を把握するまで少々時間を要した。一緒に行ったマドリード連合会の人が,簡単に私を紹介し,話が始まったのだが,実際ど
ういう役所なのか分からないのであまり質問のしようもない。日本の労協の高齢者の活動に興味がある,というので説明を試みるが,あまりわかってもらえなかったのではないかと思う。その後は,この次官セレスティノ・ガルシア・マルコスさんがどのような仕事をしているかという説明をしてもらった。いわく,
1)新しい協同組合法の検討
現在,新協同組合法が検討されているが,各種協同組合の代表者からなる委員会が作成した1次案を検討しているところで,この省での検討が終われば,経済省や別の省に回付される。それが終わって再度委員会で検討し,それを取りまとめて,議会に提出するのだそうだ。今年の始めから検討を始め,議会に提出できるのは10月頃とのこと。
2)社会的経済の推進・啓蒙
前述のような法案の検討や,指導という事の他に,いくつかのプロジェクトを持っている。
- 社会的経済についての政府内部への広報,説明
社会的経済は必ずしも政治家によく理解されているわけではないとのこと。
- 国際的な活動
南アメリカでのICAの活動や,南米の協同組合運動の支援をしている。
- セミナーや会議の開催
今年もいくつかの大学で社会的経済についてのセミナーを行う。学生が卒業後に協同組合その他の社会的経済分野に眼を向けるようにするのが目的。
- 40歳以上の人々の社会的経済への組織化
中高年は自ら仕事を起こしたりする事を欲しないので,なかなか難しいとのこと。この分野について日本の活動に興味があるので,英文の資料を送って欲しいということだった。
- 移民や社会的な問題を持った人たちの企業起こしの支援
- 社会的経済や協同組合の可能性を紹介する本の出版等々だそうだ。
説明のなかで,バルセロナにある,風力発電(!!)の施設の話が出た。これは,オリンピックのときに行政がお金を出し(1,500,000,000ptas:約\1,200,000,000)作ったそうで,運営は協同組合が行っているとのこと。発電だけでなくアミューズメントパーク等も併設されているそうなので,8月にバルセロナに行ったら,できれば訪問してみたい。セレスティノ氏はこのような公立協営がよいと考えている,と語っていた。
スペインと日本の協同組合,特に労協を取り巻くの環境のもっとも大きな違いは,やはり法律だと思う。確かにスペインでは協同組合が非常に大きな力を持っているわけではないが,法律によって裏付けられているがゆえに,公的支援がやりやすいし要求もできる。もちろんその背景には,社会的経済の必要性への合意というものがはっきりと社会の中に存在しているのだとは思うが。
前日にマドリード労協連の理事で法律家のハビュエル・ブランコ氏と話した時にも,そんな話になった。スペインの協同組合法は第2共和制以来の伝統を持っているが, 現在の協同組合法はフランコ後に作られたものだそうで,「協同組合運動の成果として生まれたのか?」と聞いたら,必ずしもそういうわけではないとのことだった。憲法の協同組合に関する記述について聞いたら,それらはやはり憲法制定時に左翼政党の声を反映して盛り込まれたものだと言っていた。
帰り道に一緒に行った人に説明してもらったところによれば,今日訪問した役所でのもう一つの大きな問題は,スペインの自治制度だという。フランコ後に現在のような自治州のの制度ができたが,各地方政府が財源を始め大きな権限を持つようになったため,例えば法律を作る場合でも,各週の足並みが揃わず,調整が大変なのだそうだ。そういえば,マドリードの労協もすべて州や市からの援助で事業を行っている。
前述の法律家ハビュエル・ブランコ氏によれば,現在は連合会の役割として,自治体や政府とよい関係を作っていくことが重要だが,マドリードの労協は行政への依存率が高いので,徐々に自立するようにしていかないと,その時の政権との関係で,経営が不安定になってしまう心配があるとのことだった。
実際,先週訪問した,「イパティア」という造園業の協同組合も,アルガンダという市が社会党政権の時代に設立し,環境問題を扱う部門を拡大した途端に選挙で保守党政権になってしまい,それまで持っていた,公園の仕事を失ったそうである。
会談そのものは20分くらいで終わった。多分非常に偉い人なのだろうが,簡単に会うことができたのはビジャ氏らと旧知の仲だかららしい。しかし,日本の中央官庁に行ったときのような緊張が感じられないのは何故なんだろう。
自分の語学力の貧困さを改めてかみしめながら帰ってきた。
明日は,左翼連合の人との会談がセットされています。政治の話は苦手なので,どうしようか悩んでいます。それでは,また。
●経理部 へのお願い
前回,もうこれで帰国までお金の必要はないと見栄を切ったのですが,盗難騒ぎ等で,
結構物入りで,申し訳ありませんが,もう一度だけ,10万程入金していただけますようお願いいたします。
こんなふうに書くと,放蕩息子が金の無心をしているみたいで,イヤなんです
が・・・。