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 7/21  祝!通信復活

かばんドロボーとその顛末

 

             市民の憩いの場レティロ公園


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 マドリードより通信復活

 日本の皆さん,こんにちわ!。マドリードの菊地です。

 先週の火曜日に,思いがけない盗難に遭い,パソコンを始めほとんど全ての財産を失ってから約1週間。ここに,こうして菊地は,奇跡の(?)復活を遂げることができました。と言っても,別に盗まれた物がもどっってきたわけではありません。どうやって通信しているかは,一応秘密ということにしておきましょう。とにかく意地でレポートを再開することをここに宣言します。


 さて,先週の動きをかいつまんで。

 なにより,かばん(デイバッグ)を盗まれたときの状況から。(本当はあんまり書きたくないんですが・・・・。)

 7月15日は,朝,語学学校に行き,その後,マドリード連合会へ行ったのですが,(キャンセルになったため)特に予定が入っておらず,午後すぐに家に帰るのもつまらないので,市内の一番有名なレティロ公園まで歩いていって,その日買った朝日新聞をベンチに座って読んでいたのでした。

 時間は午後3時,昼食時でもあるので,休日や夕方に比べると人出も少なく,ちょうど暑い盛りでしたが,涼風に吹かれていい気持ちで社会面の自衛隊八甲田山遭難事件について眺めていました。

 ちなみにこれまでも何度かこの公園で本を読んだりしているので,気を許していたと言うことが敗因の一つです。もうひとつの敗因は,多分涼しい風が吹いていたこと。日本の新聞は大きいので(スペインの新聞は皆タブロイド版です)風に飛ばされないよう,風の吹いてくる方向に体をずらして,つい足元のバッグが視野に入らなくなっていたのです。

 物を読みだすと熱中してしまう性格も災いしました。それでも目を離したのはホンの5分だと思っています。ふと紙面から目をあげると,もう影も形も無くなっていました。あわてて探しましたが後の祭りです。10メートル位離れたところで駄菓子を売っていたオヤジが,「あっちへ逃げた」と言う方へ行ってみましたが,なにしろ120haもある公園です。どうにもなりません。菓子売りのオヤジは「おれは見た,3人だった」とかまるで楽しそうに言うのですが,それならなんでその時に教えてくれないんだ!と叫びたくもなります。

 とにかく手元に残されたのは朝日新聞だけ。ごみ箱にたたき込もうかと思いましたが,余計むなしくなるのでやめました。

  レティロ公園のライオン

 この公園は観光スポットでもあるのでいつも警官が巡回しているのですが,さすがに平日の昼は全く見当たりません。オヤジに警察はどこか?と聞くと,「警察?警察なんて行ったってあてにならんよ」なんてことをまたもや嬉しそうに言うので,このオヤジにつきあっていても仕方がないということに気がつきました。

 幸いなことに,現金・カードは右の尻ポケット,部屋のカギは左の前ポケットに入っていたので,路頭に迷うと言うことにはなりませんでしたが,とにかく失われたものの多さに一瞬頭が真っ白になりました。こういう非常事態が起こると,パニックに陥り,思考が停止したり無意味な行動に走ったりするかと思いましたが,実際はそんなことはなく,今から思えば結構冷静にやれることをやったと思います。

 まず,何より盗んだやつを探そうという考えが浮かびましたが,前述のとおり広大な公園です。しかも3人組で狙って盗んでいるのですから,相手はプロです。99%無駄であるので残念ながらあきらめました。

 次に誰かに相談しようと思ったのですが,とにかく電話番号から何から全てバッグの中です。しかも,もう夏の就業時間に入っているので午後3時以降は、マドリード連合会の事務所には誰もいない可能性があります。とにかく公園を出て歩きはじめたら,たまたま交差点で2人組の警官にあったので,事情を話すと,警察署まで行けと言います。それがまた遠いところだったのですが,たどり着いてわけを話すと,盗難はよっぽど多いのでしょう,特に残念がってくれるでもなく,すぐに事故証明書を作ってくれました。しかし,調書もろくにとらず,いい加減なものです。

 もう時間は4時半に近づいていたので,マドリード連合会は(閉まっているので)あきらめ,毎朝通っているスペイン語学校に行って相談することにしました。授業中にもかかわらず,先生は非常に気の毒がってくれ,すぐに日本の大使館を調べてくれました。その他のものは無くなっても日本に帰れないことはありませんが,パスポートだけは再発行しないとどうにもなりません。 幸い,大使館は比較的近かったので,すぐに行って事情を話し,この時は受け付け時間が過ぎていたので翌朝に手続きすることになりました。(3日後に無事再発行されました)

 その日は呆然と部屋に帰り,ビールを飲んでさっさと寝ました。

 とまあ,この辺が盗難事件の概要です。これ以上詳しく描写したり,嘆いてみても詮ないことなのでやめます。ところで,バッグのなかに入っていたもので,特に重要なものはと言うと,

@ パソコン

 今回の研修はこのパソコンを中心に組み立てていたので,イタイです。ただ,作成したレポートの9割はすでに送信していますので,それは問題ありません。ただし,デジタルカメラで撮影した400枚以上の写真は,パソコンに保存してあったのですが,1割も送信していませんので,全て失われました。

A カメラ

 安物でしたが,使い勝手はよかったので残念です。

B ノート

 各協同組合等を訪問したときのメモと,スペイン語の勉強用に使っていました。中でも,前日にわざわざ時間を作ってもらって再度,マドリード連合会の失業者や労働者向けのトレーニングについて,担当者から話を聞いてまとめたメモが無くなってしまったのは残念です。メモなしで再現することは不可能です。

C スペイン語,英語の辞書

 とにかく言葉の問題は大きいので,必需品でした。

D 今までに会った人と交換した名刺

 かなりの数に人と会ったのですが,連絡先や正しい名前等は名刺がないと分からない場合もあります。

 今から思うに,もっとも大きな敗因は,毎日あんな高価なパソコンを担いで街中を歩いていたということです。しかし,もとより日本でならまだしも不案内な外国で私にとっても初めてのことをやろうとしたのですからこのくらいのリスクは当然かもしれません。私自身は今回の事故については私自身の失敗であったと思っていますが,やろうとしていたこと(パソコン通信によるリアルタイムの研修報告)は決して失敗であったと思っていません。是非,今後も他の人たちにこの方法を生かしてもらいたいと思っています。

 だから,あえて意地を張って残りもわずかだというのに,通信を再開したのです。

 そんなわけで,残りの日々もできる限り皆さんにリアルタイムでレポートをお届けしますので,よろしくお願いします。


 今週の予定ですが,何やら明日は政府の高級官僚との会談に連れていってくれるそうです。

 服装もいつものTシャツでなくフォーマルな恰好をしてくるように言われました。4本も持ってきたのに,一度しか締めていなかったネクタイが役に立つときが来ました。

 その後も,左翼連合系の労働組合との会談やその他のおえらいさん等とのアポイントもあるらしく,最後の山場かもしれません。


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