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  7/7  HELECHOS 造園業の協同組合


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 先日お知らせした通り、今週はまた各種協同組合を訪ねるシリーズの再開です。

 今日の訪問先は、「HELECHOS」(シダのことだそうです)という造園業の労協です。

 マドリード・アトーチャ駅から近郊線にのって20分ほどでマドリードの郊外のレガネス市に着く。予定より20分も早く着いてしまったので、どうしようかと思っていたら、緑のツナギをきた60がらみのおじさんが、「エレチョスに行くのか」と声を掛けてくる。そうだと答えると駅前に停めてある作業用の車にまで案内してくれて、そのまま車に乗り込み出発。5分ほどで町の中心からちょっと外れたところにあるエレチョスの園芸センターに到着。埼玉の郊外にあるような園芸センターに似ている。応対をしてくれたのは、マヌエル・ゴメス・マルガンさん。この労協の事務局をしている。

 1986年に7人の組合員で出発したこの協同組合は、現在では55人の組合員を抱え、マドリードの労協の中では大きい部類に入ると思う。もともと、レガネス市の公園整備の仕事からスタートし、現在では公園のデザイン、公園整備、園芸センター、トレーニングコースの4つの部門を持っている。

 組合員は20歳が最年少で30代の人が中心の若い組織であるとのこと。現在はレガネス市のすべての公園整備を請け負っているので、夏場には非組合員も含め100人くらいの人が働いているとのこと。組合の所有する土地は35,000uあり、今の事務所の2階建ての建物と園芸センターは去年の11月に出来たばかり。敷地では、公園用や販売用の花(サルビアとかパンジーとか)、生垣などの低木、街路樹などの高木(プラタナスなど)が育てられていた。

 余談であるがここの労協で作っている芝生は、スペインのプロサッカーチーム(アトレティコ・マドリード)のグラウンドでも使われている。他の地域で作った方が安い花や樹木は買っているとのこと。また、始まったばかりの園芸センターでは、園芸植物や植木鉢などいわゆる園芸用品全般を扱っている。とにかく初めての事業なので毎日大変だとマヌエルさんは言っていた。

 トレーニングコースは、障害者の団体とも提携してダウン症の人たちの訓練も受け入れている。失業者向けのコースはあるのか?と聞いたら「ここに来る人はみんな失業者だからね」と言っていた。ここのコースを終了すると、一定の資格を得られるそうだが、実際に職を得るのは非常に難しいとのこと。何人かの組合員はこのコースの後に加入したという。国や自治体の援助は一切無いということだった。

 組合の運営については、理事会が責任を持つが事業部門と社会的部門は別々の仕組みがあるとのことで、その両方を統括しているのが理事長のホセファさんであるそうだ。この辺は今一つわかりにくかった。事務所やショッピングセンターの建物、機械類、トラック(2台)も含め結構な資産があるので、これらを買うのにお金はどうしたのか?銀行から借りたのか?と尋ねたところ、すべて自己資金だと言う。毎年の剰余からどのくらい積み立てているのか聞いたが、年によって剰余が違うのでその年の総会で決まるのだと言う。パーセンテージは協同組合法で定められたとおりだということ。ちなみに総会は全組合員が参加するそうで、年次総会の他にも年に3,4回全組合員の会議があるそうである。

 自治体のすべての公園を請負っていると聞いたので、さぞや行政とのパートナーシップがあるのだろうと予想したら、あにはからんや、そうでもないらしい。現在の仕事も他の一般企業とのコンペで採用されて行っているのだそうで、金額と内容でベストでなければ契約することが出来ないと言っていた。日本での労協と自治体との関係も話し、公園清掃などはすべて単年度契約で非常に大変だと言ったら、レガネスでも最初は6ヶ月とか1年契約だったのだが、現在は実績を積んで8年契約になっている、ということだった。

 レガネス市がどういう状況なのか全然見えなかったのだが、多分人口10万もいない市だろう。援助が無いといってもそれなりに自治体との提携関係がしっかりあるのではないだろうか。もう少しその辺を突っ込んで聞こうと思ったら、「そろそろ帰る時間だからさっきのおじさんが待ってる」と言われ、仕方なく切り上げる。確かにマヌエルさんは急がしそうだし・・・。ほんとはあと1時間くらい話を聞きたかったが、車で送ってもらわないことには駅まで戻れないのであきらめた。

 帰りに少し無理を言って市内の公園をいくつか廻ってもらった。一番暑い昼時で、仕事をしている人はさすがに誰もいなかった。スペインでは、やっぱり土地があるからだろうと思うが、一般に公共の公園は面積も広いし数も多い。夕方になると老いも若きも皆、公園に出てきておしゃべりをしたりお茶を飲んだりして過ごす。このへんは日本とは明らかに公園の使われ方が違う。新しい公園もいくつも作られていた。

 駅に着いたら送ってくれたツナギのおじさんが、ちょっと何か飲んでいこうと、駅の中のBARで飲み物をおごってくれた。無口なおじさんだったけど、心から感謝。Muchas Gracias!


 マドリードに戻って、連合会の事務所を訪ねたら午後4時なのに誰もいない。夏時間で早上がりになると言っていたからみんなもう帰ってしまったのか?トホホ。市内の公園で新聞を読んで帰りました。

 髪の毛が伸びてうっとうしかったので、今日思い切って部屋から一番近い床屋で切ってきました。どういう風に言おうかいろいろ考えたのですが、案ずるより生むがやすし、ほとんど何も言わなくてもちゃんと?切ってくれました。日本のような髭剃り、洗髪、マッサージなど一切無し。生え際にかみそりを当てるのも何もつけないでするので、ちょっとドキドキしました。ほんの15分で終了。できばえは・・・、まあこんなもんでしょう。しかし鏡をのぞくとやたらと日焼けして黒く見えるのは気のせいだろうか???我ながらちょっと驚きました。

][<>][<>][ 菊地 謙 ][<>][<>][


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