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 6/23 協同組合の村を訪ねて(前) モンテホ村

 

           老人ホームの前で


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 23,24日は、日本の労協の皆さんにも少しなじみのある老人介護関係の労協を訪ねるシリーズもの。少し長くなるかもしれませんがお付き合いを。

 まずは1日目、マドリードから北に80km、低い山脈の山間の村「モンテホ」を訪ねる。同行してくれたのは、この労協の理事長で、マドリード労協連の理事でもあるカルメン・カスティジャさんと妹のタミさん。タミさんは協同組合の人ではないが、香港に数年間住んでいたことがあり、通訳をかってでてくれた。

 今回は何とマドリード市内で待ち合わせ。メトロの駅から地上に出たら有名な水道タンクがあり、そこで赤い車に乗ったカルメンさんが待っているとのこと(マドリード労協連はこのようなスケジュールをスペイン語で書いて渡してくれるのです)。約束の10時半に行ってみると、赤い車がない!でも、すぐに女性に声をかけられ、それがタミさんだった。待っていたのは緑色の車!でした。

 車の中で自己紹介しながら行く。お2人はバスク地方の町ビルバオの出身であるとのこと。「それじゃバスク語は話せるの?」と聞くと、バスク語は長らく政府に禁じられており彼女らの世代ではほとんど話せないが、最近の若い人たちはバスク語の教育を受けているので、話せるとのこと。スペインではマドリードのカスティリャ語をはじめカタルニャ語など、地域ごとにも公用語が認められている。タミさんは、香港に住んでいた時に息子さんの友達に日本人がいたそうで日本びいき。なんて感じで世間話をしながら行くと、辺りはだんだん山がちな風景に。

 マドリード州モンテホ村。人口200人。日本なら超過疎地域で廃村間近かと思われるような人口だが、この辺りではこんな村が点在している。ここにカルメンさんたちの労協「アサルムト」が運営する老人ホームがある。まだ出来て1年半ということで、外見も内装もとても美しい。

 入居者は42人。内8人が車椅子、5人が要介護の高齢者。部屋は、各フロアごとにピンク、黄、緑など色分けされており、居室は2人ないし3人部屋。1〜3階が居室で各フロアには必ずデイルーム(サロン)がついている。地下にはリハビリルームや作業療法室がある。職員は全部で20人。看護婦やリハビリの職員、介護職員、調理師などは常勤で、その他に老人専門の医者と心理療法士が非常勤でいる。

 入居者の平均年齢は、65歳。スペイン人の平均寿命が男75歳、女78歳であることを考えると、平均で10年以上はこの施設で暮らすことになる。入居者には、子供など家族がいてもマドリードなど都会で仕事を持っていたり、住宅事情などの問題で面倒が見ることが出来ない人も多い。

 入居費は、行政が措置する場合と個人的に入居する場合で違うが、個人の場合月当り15,000ptas(約13,000円)で、マドリードの老人ホームに比べると格段に安いそうである。協同組合の運営で非営利であるからというのを理由にあげていた。

 部屋数42のうち20が行政の枠22が地元の人のための枠となっている。この他にもデイケアだけを受けに来る地元の人が15人ほどいるとのこと。これだけ見ると日本の老人ホームとたいして変わらない内容のような気がする。ホームの作り自体が非常にゆったりしていることは大きく違うが・・・。

 この施設は日本的に言えば公設民営である。要するに村とマドリード州政府がお金を出してこの施設を作り、協同組合が運営している。但し、ここで働いている人は、出資をしていないので、労働者協同組合であるとは言えない。ここの他にもう一つのホームがあり、そこは労協で運営されており、そこが母体となって労協主導で新しく作られたのがこのモンテホの老人ホームである。

 この施設の一つの特徴は、地元の若者の雇用対策になっているところである。20人の労働者のうち7人は地元の村の人間で(200人の村だったら3.5%!)その他の人も近隣5村の人たちだそうだ。この他にもこの協同組合では今年の12月に50部屋のアパートを行政の援助なしでつくる予定。

 老人ホームを見学させてもらった感想は、老人ホームというのはどこも似たような雰囲気なのだなということ。のんびりしているスペインの中でも特にのんびりしている。比較的健康な人たちが多いせいか、どちらかというと老人住宅というイメージの方が近い。カルメンさんが案内してくれたのだが、いく先々で高齢者につかまると話が止まらない。

 結局この日の見学はこれでおしまい。この後、なぜかブナの保護林へ連れていってくれて、自然観察員のお姉さんから話を聞く。何でもブナの原生林のヨーロッパの南限だそうで、フーンと聞いていた。おそらくこういう観光資源も利用して、地方の活性化を考えているのだろう。

 以下後編《トレモチャ村》へ続く。

 写真を一緒に送りますので見て下さい。


菊地の近況

 先週末の出張から様々あって、なんだか落ち着かない。日報も送れないし、スペイン語教室にもなかなか行けない。髪の毛が伸びてきたので切らなければ・・・。気温は更に上がって38度なんて日もありますが、日陰は本当に涼しい!!

 目下、スペイン語の練習相手になってくれる人がいないのが悩みの種です。

 それでは、また。Adios. Hasta Luego.

][<>][<>][ 菊地 謙 ][<>][<>][


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