『協同の發見』2000.1No.93
『協同の發見』目次
センター事業団だより
宗田 幸彦(センター事業団・中国四国本部長)
 心配されたY2Kも大きな問題もなく、新しい年2000年を迎えた。いよいよ介護保険が始まる。協同の時代といわれる21世紀も間近だ。センター事業団にとっては、新しい時代に労働者協同組合に求められる期待に応え得る組織への発展をかけた転機の年として、「危機からの突破と真の労協へ」が大きなテーマとなる。第12次1.2.3運動の行動方針で「徹底した経営改革で赤字構造を打破し、『新しい福祉社会の創造』へ全組合員が立ち上がろう」と呼びかけている。
 私は年頭にあたって、役員の一人として自らの役割と責任を果たす決意を新たにした。昨年は、大阪で地域福祉事業所の立ち上げや介護保険での事業者指定、市からのヘルパー事業委託などに取り組み、7月には中国事業本部に異動した。広島に住むことになって約半年は、ひろしま高齢者生活協同組合の設立へ向けての取り組み、岡山での生協法人の創立総会、清掃改革での新清掃方式の導入と完成への取り組み、東広島市からのヘルパー講座委託と地域福祉事業所開設など、あっという間の1年だった。
 中国事業本部での第12次1.2.3運動は、中国・四国の合同所長会議でスタートした。ブロック全体の決起集会は、組合員の参加も限られ、費用もかかるので各事業所ごとの全組合員集会として開催することにした。今日までに倉敷事業所と広島事業所で開催し、中国事業本部全体で100名の組合員のうち66名が参加、事業所組合員の80%が参加した。
 中国事業本部の1.2.3の行動方針のなかで、日本での労働者協同組合運動の先導者としての役割を果たしてきたセンター事業団が、介護保険がスタートするという情勢の下で、高齢者協同組合設立の中心的役割を担い、ヘルパー講座を旺盛に開催してきたこと等の実績を評価され、高齢者協同組合と共に地域福祉事業所づくりへの期待が高まっていると述べている。東広島市や玉野市などからのヘルパー講座の委託やミニデイサービス委託の打参はその期待の現れといえる。高齢者協同組合づくりを通じて、今の社会の状況を憂いている多くの人々と出会い、手を結ぶことで、地域を再生していく現実的な力をつくりつつあることを示しているし、そのことに全組合員が確信を持てるようにすることが必要だ。
 また、広島事業所で切り拓いた清掃改革の到達点は、清掃分野に革命ともいえる状況を創りつつある。人の命を預かる病院での清掃において、労協方式の清掃は他の追随を許さないものだ。
 こうした中で生まれている事業拡大の可能性に挑戦し、現実の事業拡大として実を結ばせる中で、現状の経営危機の根本的な打開も図ることができたらと思う。
 ひとり一人の組合員が、文字どおり「主体者」として、この1.2.3運動にかかわるようにすることが、真の労協づくりへの道でもある。特に、日常のさまざまな取り組みを通じて、仕事への達成感など労協で働くことに誰もが喜びを実感できるようにすることを大事にしていきたい。また、所長や事務局員が、命令ではなく、指導性を発揮できる力をもつこと、労協で働く喜びや労協の未来への展望を自らの実感から生き生きと語れるようにすることを、本部長としての大事な任務として実践していきたいと思う。

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