99年度協同総合研究所 第4回 理 事 会 2000年3月19日 日本労協連会議室 出席/中川理事長、大谷、菅野副理事長、坂林専務、飯島事務局長、内山、岡安、手島常任理事、荒木、神田、菊間、田村、山田理事/委任状9(阿部、池田、富沢、佐藤洋、塩田、橋本、鈴木勉、古村、堀越) 以上22人
第3回理事会(12月23日)以後の研究所の活動。 一 労働者協同組合法に関わる活動 日本労協連の「労協法推進本部」での議論を踏まえ、研究所としては労協法研究会(座長 宮坂富之助)で、労働者協同組合の活動に関する聞取り調査とサブプロジェクトで法制問題に関わる課題を検討してきました。 推進本部では衆議院選挙の動向を見守りつつ、超党派の議員連盟へ向けて5月19日(金)に「労協法制定推進円卓会議」を議会内で行う計画を進めています。それまでには、労協法の成案を固める必要があり、「市民法制局」にも協力を仰ぎながら、より広範な人々の参加で運動が前進するように取組んでいます。日本生協連や大学生協連へも要請を行い、大学生協連では賛同署名活動を各組織で行っていただけることになりました。 1)聞取り調査の実施 1/28,2/16,2/22,2/23,2/29 聞取り対象は、日本労働者協同組合連合会の加盟している単位協同組合8ヶ所と(北海道労協、長野中高年雇用福祉事業団、センター事業団、愛知高齢者就労事業団、伊丹労協、無茶々園、セキタクシー、九州ユニオン電設)、(株)エコテック、(企)ワーカーズコープキュービック、神奈川ワーカーズコレクティブ連合会、東京ワーカーズコレクティブ協同組合です。報告者の校正を経て所報「協同の発見」2月3月合併号に掲載します。一部は4月号になります。 2)労協法サブPJ (2/15、3/1)で、1)中小企業法、2)生協法との異同と、また仮に同法案を適用する場合の問題点及び改正点はどこにあるのかといった検討と、3)労働者協同組合法を前提としたモデル定款及び、4)労働者協同組合法の第2次成案の検討を行っています。成果は、労協連の推進本部会議を経て公表したいと思います。二 研究会の実施状況 1)労協法研究会及びサブプロジェクト 〜 上記 〜2)社会的協同組合から見たイタリアの福祉サービスの現状(1月28日) 報告は吉沢明さん。資料は「協同の発見」1月号にも紹介したように、マッキンゼー社とCGM(イタリア社会的協同組合の連合会)が1993年〜94年に行った調査報告書をもとに行いました。社会的協同組合の位置が公的機関、営利団体、NPOとの相対的な関係の中で示されていることや、イタリアの社会福祉サービスを知る上で非常に有益な内容だった思います。 3)環境ビジネス研究会(2月15日) 報告は中村修さん(長崎大学)、実践報告をエコテックの都筑さんと群馬中高年雇用福祉事業団の小川和之さんにお願いしました。クリーンエネルギーフォーラム(代表勝部欣一)のご協力もあり34名の公開研究会となっています。研究会の報告は4月号でおこないます。研究会の成果を継続し次回を群馬県玉村町で行う予定にしています。 三 所報の発行 セン教授の翻訳がILO誌で紹介される。注文もあり。 2)2.3月合併号「労協法をいまこそ」(別紙) 四 新会員 1.姫路医療生協 2.無茶々園 3.大村恵 (愛知教育大学) 4.多木誠一郎 (神戸外語大学/院生) 所報を創刊号から購入 *退会者は整理中です。未納者を含め個別に手紙を出して退会を手続をとります。 五 その他 1)若者たちの社会的自立をサポートする「働き方体験学習プログラム」 1/26 不登校の親の会、同友会、生協関係者、教育関係者、労協関係者の参加 2)ASK設立委員会(1/23、2/26) 3)平和のための戦争・戦災資料センター 3月6日 4)関西で研究会の準備 「非営利・協同の研究会」センター関西「ネットワークを広く強固にしたい」 5)教育プロジェクト 6)ICOMビデオと副読本の販売 30セット販売(残20)。 7)兵庫県労協協議会、北海道労協の学習会 研究所をめぐる情勢 CIRIEC(国際公共・協同経済研究・情報センター)が「社会的経済と公共経済:グローバル化の時代における新たな協同の形態」というテーマで大会を予定しています。ICA大会で高らかに確認されているように、グローバル化した経済社会の中でますます、協同が人々の命と暮らしにとって重要であることがはっきりしてきているということでしょう。 ・研究所への期待 所報に寄せられた新しい会員の自己紹介の中に、それらの時代の胎動を感じることができます。 内田弘さん(専修大)の「効率や利潤追求や競争でない、自分という人間が生きる場を作ることを、今日本人は必死に求めている」や中田重厚さん(明星大)の「労働者は市民として自覚し、行動することを通じて階級としての責任を引き受けるべきだ」という引用。坂本和夫さん(長野)の「事業運営の中に自動的に資本形成の方法を組み込んでいる協同組合」「協同組合は、そうした心の問題に最も深く踏み込んだ、他の追随を許さぬ組織」と言う表現。 自らの学問の再考をも視野に入れて、明海大学の下田直樹さんは、「入会を機に自分として何ができるか、すべきか、模索している」とし、学生の意識変化の中に「協同組合」の仕事おこしとの関係を見ておいでです。高田一夫さん(一橋大)は、協同を「時代遅れの化石的存在」と見ていたが、介護の分野で働く女性たちのエネルギーに「これは簡単に片付けられないものがある」とされ、高田実さん(九州国際大)は、協同運動の新たな広がりを「労働者文化の根っこにあって生き続けてきた精神が、新たな形に結晶している」と表現されています。向井清史さん(名古屋市立大)は市場システムを前提とした協同組合の役割という枠組みを越えて、自らの勉強を主体的に取組みたいとされています。 新たに勉強をはじめられた藤さん(福岡)は「労働法から見た協同労働の協同組合」を、多木さん(神戸市外大)は各国の労協法研究に取組まれています。 ・労協運動の動向 労働者協同組合、高齢者協同組合(15法人)の活動は、地域福祉事業所を軸とした「コミュニティ福祉」の実現へ向けて、労協の各現場が活動を強めてきています。しかし、今現在を見れば、行政サイドの混乱や主体の側の力量不足など地域や現場によって相当のばらつきがある状態です。最初の混乱は致し方ないにしても、早急に地域福祉事業所の力量を高め、高齢者協同組合運動とともに、コミュニティ福祉の柱になることが求められています。 また、これまで事業の柱として取組まれてきたビルメンは、一時期仕事の崩れから危機的状況にも至りました。しかし、「新清掃方式」の開発(ひかり情報技術)とその実施で新たな展開を見せてきています。まだ、克服されたというところにはきていませんが、真剣に取組む事業所(例えば奈良第二)では、これまでになかったような急速な組合員の「成長」を見ることができています。この事実は大変勇気づけられるものです。 一方で、労協運動の牽引車として走ってきたセンター事業団の「経営の危機」の克服は依然として大きな課題として横たわっています。まさに正念場であり、「自壊」ということもありうる厳しい事態です。「必要な資金は自ら作る」「経営は自らが守る」という原則が改めに問われています。この事態は研究所にも無関係ではありません。主体的な改革の努力を求めつつ、研究所自身もこの財政難の影響を必然的に受ける立場にあります。自らの活動のあり方を再検討し、位置づけ直す必要があります。次期総会へ向けての議論を今から始め、できることは直ぐにでもはじめて行きたいと考えています。 ― 研究活動 これまでの研究活動を以下の4つのセンター(機能)に位置付け直します。この4部門を協同総合研究所の柱に据えるという考えです。4センター(機能)は常任理事会メンバーが担当し、それぞれの「研究課題(例を含む)」に取組んでいただきます。 (1)協同の思想と戦略研究(中川 大谷、富沢、手島) これまでも様々な海外情報を、所報を通じて発表してきたが、「協同の思想と戦略センター」として、今後も継続的に研究会を実施し、その成果を所報で発表して行く。 (2)地域づくり・仕事おこしの研究とサポート機能(坂林、飯島、古谷) コミュニティに関わる仕事おこしをサポートするセンターとしての役割を準備する。 (3)協同の経営と教育研究とサポート機能(岡安、鍛谷、坂林) 非営利・協同組織の経営を調査研究し、経営と教育のサポート機能を準備する。これは同時に「学ぶ組織の経営論」でもある。調査研究対象としては、非営利・協同組織だけでなく、中小企業なども対象にする。労協の学習教育活動にも努め、必要があればテキストづくりも行う。 (4)労協法制定のサポート機能(菅野、堀越) 日本労協連の労協法推進会議と協力しつつ、法案成立に向けた調査研究及び提言などを行う。資料集やパンフレットの作成も必要に応じて行う。 二 第10回総会 日 時 7月1日(土)午後 1時〜 5時 交流会 議案検討は5月28日の第5回理事会 研究集会 7月2日(日)1時〜5時 協同集会との役割分担を考えた内容にする。5月19日に予定されている「労協法制定推進円卓会議」の発足、6月4日〜5日にある日本労協連の第21回総会での「第二次労協法案」の確認を受けて、「協同労働の法制」をテーマにした理論編をこの研究集会の課題にする。内容としては「第二次労協法案」「協同労働の現代的意義」「ICA原則と労働者協同組合」「欧州の労働者協同組合」などを考えている。上記センターの(1)と(4)が担当。 三 協同集会 11月25日〜26日 コミュニティの持続可能な発展にとって必要とされる有用な仕事、特に環境や福祉、教育、文化の仕事おこしについてどう取り組むか。若者、女性、高齢者、障害者、長期失業者など、あるいは倫理的価値をもって仕事に取り組むことを望む人々の仕事への思いをかたちにする仕組をどうつくるのか。協同労働の協同組合の有効性と法制運動を広げる実感を持ったものにできる集会ということで、具体的な実践を中心に「研究集会」との役割を区別して行う。 福祉、環境、情報、教育、文化、といった分野からのアプローチ 協同組合、NPO 中小企業、商店街といった組織的アプローチ 経営、学びや成長、情報の共有といった機能的アプローチ 大学教育と地域おこしといったようなテーマも考えられるか 特に今回は、大学生協連の「青年協同フォーラム」と合流する。若者の主体的参加でこれまでの取組みをさらに発展させ、各地域での具体的な地域おこしや仕事づくりに結実させること、さらに大学と地域の役割、これは特に研究所にとって重要だが、大学の研究室の中に「非営利・協同」「協同労働」の研究の核をつくってゆくという成果も追求したい。この中には、これまでに紹介されてきた「立教大学」や「岐阜経済大学」での取り組みが含まれる。また、「カンパネルラ」編集に集う「進路探しの若者たち」や、全国の大学で取組まれるインターンシップを受講する学生も同様の関心を寄せるものと思われる。 「若者に未来を提示できない事業や運動に未来はない」ということであるから、この点で非営利・協同運動がどういった内容をこの集会に提示できるかが焦点になる。協同総研の役割もここにある。 「青年協同フォーラム」には、協同組合経営研究所や生協総研も関わりをもつので、これが継続的に大学生協連で開催を続けられれば、研究所間の関係強化にもつながると思われる。 四 所 報 所報「協同の発見」は、研究所と会員をつなぐ重要な媒体です。これまでの事務局と編集委員会という責任体制を改めます。事務局で企画提案はしますが、常任理事会を毎月定期に開き、その場で企画を決めて行きたいと思います。所報の位置の重要性に鑑みた見直しです。インターネットの活用ということでホームページのリニューアルが頻繁に行われていますが、これも常任理事会の責任に位置付ける必要があろうかと思います。合わせて、会員へはデジタル化された情報の無料提供を行おうと思います。 六 研究所の財政基盤の強化 ・会員の拡大は研究所活動の広がりであると同時に活動の基礎である財政基盤を固めることです。研究所の存亡に関わる問題として取組みます。また、研究所を作り出し、研究所のシンクタンク機能に期待し、特に労協法の推進に関しては全面的に依存している日本労協連へは、研究所活動継続のために引続く支援をお願いすると同時に、自らの課題として研究所の活動強化に力を発揮して頂くことを強く要請をすることにします。 ・上記した4センターの各研究課題に関して、可能な限り受託研究を目指します。 ・また、4センターの活動を外部に向け、独自の事業を模索します。 七 組織体制 (1)小島江理子さん---3月末で退職 (2)所報の版下作成を外注化します。編集は常任理事会の責任の下で事務局で行います。 ・常勤事務局と非常勤事務局 常勤事務局の日常活動の責任は専務理事が負う。 ・常任理事会(中川、大谷、富沢、菅野、坂林、飯島、鍛谷、内山、手島、古谷、堀越) 所報及び研究会の企画に責任を負う。 ・理事会 研究所の活動に対する監査機能と方針に関する決定を行い、研究所活動全般に責任を負う。 3月19日 第4回理事会 21世紀協同経営研究会
4月 5日 第13回労協法推進本部会議(連合会)
15日 ケアワークドライバー研究会
22日 常任理事会
5月19日 労協法制定推進円卓会議
20日 第1回協同集会実行委員会
27日 協同組合学会
28日 第5回理事会
6月 4日 労協連第21回総会 〜5日
5日 センター事業団総代会 〜6日
7月 1日 第10回総会
2日 研究集会
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