研究所たよりWEB版(51)
2001年5月8日
執筆:坂林哲雄(協同総研専務理事)
協同集会の第5分科会の続きがバージョンアップして「大人になることの難しさを生きる青年たちに職場を」ということで、企画会議を継続的におこなっています。
参加者は、文化学習協同センターの佐藤さん、山本君、研究所から私、労協連の岡安さん、三浦君、NHKの中根さんも取材で参加しています。
7月末にはシンポジームを行います。
以下は私なりの議論のまとめです。
関心のある方は、6月2日の企画会議にご出席ください。
「大人になることの難しさ」を生きている青年たちへ、「試行錯誤し、失敗を許されながら学び、大人になってゆく時間」を保障する「仕事場」のネットワークを
「大人になることの難しさ」の時代
フリーター150万人。不登校13万人(小中学校)。高校不登校 の延長にある「中退」は、10万人以上となっている。また、そのうちの多くが「ひきこもり」になると言われ、ひきこもり青年は100万人の時代とまで言われている。
「私と妹は去年まで引きこもりの当事者だった。精神科クリニックに通っていたが、そこには自分の立場、心情を理解してくれる人がいた。その自分の『居場所』を獲得することにより、徐々に外へ外へと出る勇気がわいたのだった。……自分というものを受け入れてもらうことで落ち着いた。引きこもりが起きる原因には『自分』というものへのとまどいが多いのだと思う。これから先―今の社会制度によって引きこもりは増えると思う。人間は支え合わなければ本当に弱い生き物になってしまう。親も子もお互いに認め合うことから始めなくてはならない」
(尾木直樹氏の引用から)
決していい加減に生きているのではなく、「少子化や核家族化、地域共同体の喪失、子ども期の喪失、グローバリゼーションの進展といった」急速な社会の変化の中で、言い換えれば究極の競争社会と個人の能力を評価される脅しの中で、「大人になることの難しさ」の時代を、生きいているのではないだろうか。
「協同」することの価値を喪失した社会への反省なしに、彼ら彼女らの「ふがいなさ」を責めることはできないだろう。
競争だけが社会の現実ではないことを身をもって体験する以外に、この青年たちに深く根をおろした社会への不信や自信喪失を回復することは出来ないのではないかと思う。そした「協同」のある地域社会や職場を是非彼ら彼女らに提供できないだろうか。その中で、彼ら彼女ら自身が、「リアリティのある自分」を回復してゆくのではないだろうか。
こんな問題意識を共有し、仕事の場を通じて彼ら彼女らの自立を助け、協同ある社会を作ろうと考える団体、諸組織のネットワークを作りたいと考えています。
次回の打合せは、下記のとおりです。関心のある方々のご参加をお待ちします。
第3回 Youth Career Project 打合せ
場 所 文化学習協同センター 三鷹市下連雀1-14-3
日 時 6月2日(土)18:00〜
連絡先 文化学習センター(山本)0422-47-8706
Member 佐藤洋作、藤井智、山本賢司、岡安喜三郎、坂林哲雄、三浦貴広、etc