研究所たよりWEB版(31)
2000年11月9日
執筆:坂林哲雄(協同総研専務理事)
10月28日に行われた「法制化めざす市民会議」 の呼びかけ人の集いの記録を掲載します
第5回協同集会実行委員会
11月18日(土)午後1時30分から4時
電通生協会館(駒込駅から徒歩5分)
協同集会のページ http://kyodo-net.roukyou.gr.jp
ロバートソン報告事前検討会
11月18日(土)午後4時から7時
電通生協会館(駒込駅から徒歩5分)
閉塞状況打ち破るひとつの流れ----法制化へ熱い思い語り合う
「『協同労働の協同組合』法制化をめざす市民会議」設立に向け
11月25日の10時半から、東京学芸大学で行われる「『協同労働の協同組合』法制化をめざす市民会議」設立総会に向け、 10月28日、「呼びかけ人の集い」が開かれ、17名の参加がありました。事務局では、法制化の必要性を広く訴え、合意賛同を大きく広げていくために、「設立呼びかけ人」、および「会員」(団体、個人会員)を募っていますが、現在130名の方が呼びかけ人に手を挙げています。集う会にも、多彩な顔ぶれの方が参加され、法案の意義が様々な角度から指摘されました。労協法制定推進
へのこの2年間の取り組みの大きな前進、広がりを示す、確かな手ごたえを実感しつつ、「協同労働の協同組合」法制定をすべての市民の運動にしてゆく出発点となる11月25日を迎えようとしています。(労協法制定運動推進本部事務局・島村 博)
「呼びかけ人の集い」では、はじめに菅野正純氏が、総選挙後の各党の議員の対応、雇用・失業問題が深刻化する中での霞ヶ関の動き、福祉の街づくりに果たす協同労働の役割、有効性を認知しつつあるコミュニティでの大きなうねり、そして、マス
コミのとりあげ方についてふれ、「労協法への関心はこれまでになく高まってきており、推進運動が大きく飛躍する時期がきた」とのべました。
つづいて大内力・推進本部長があいさつ。そのなかで「労働者協同組合」法から「協同労働の協同組合法」と名称を変えることついて、「働く者の主体を回復する協同のあり方を切り開く決意」を示しているのであって、「労働者という言葉にこだわ
る必要はないのではないか」という提起がありました。
そして出席した方々より、自己紹介を兼ねて労協法制定に寄せる思いがのべられ、「市民会議」設立に至る経過、基本的一致点、組織・運営の体制、11月 25 日の設立総会までの取り組みなどを確認。
最後に田村守保・連合会副理事長が閉会の挨拶を述べ、市民会議設立に向かう連合会の決意を披露し、熱気溢れる会議を締めくくりました。
*矢部正氏(東京土建一般労働組合委員長)
「事業協同組合づくりでうまくいったためしはなく、重層的下請け構造の中で建設業を現実に支えている親方たちにすれば、労協が法制化されれば、やってみたいという希望がある。法制化を切に期待する」。
*山岡英也氏(農林中金等協同組合歴50年)
「農業の自由化後に必ず雇用の自由化がやってくると、早くから警告してきたが、農協法が改定されて、株式会社や営利企業でも農地の所有が可能になり、約5万人が就労の場から排場される可能性が出てきた。こういった法律の一刻も早い成立を望む」。
*中田重厚氏(明星大学教授)
少子高齢者社会での生活関連行動、とくに生活の質に関心をもって研究する立場から、阪神大震災を機に建設協同組合が生まれたことの重要性にふれ、「協同組合に媒介される市民の生活の質が問われる時代には、労協法が必要である」。
*入江喜代治氏(筑豊鉱害被害者組合協議会議長、社会福祉法人すみれ育成会理事長)
閉山、失業・鉱害の多発、公共事業に依存する失対事業の限界、生活保護世帯が全世帯の4分の1に達する貧困地域での補助金行政の終息(平成13 年度)について触れ、「無展望の中で大量失業の再発の危機を迎えるのではなく、新しい就労の場を主体的に確保するとの一大覚悟でこの法律の制定をめざす」。
*杉本時哉氏(協同総研前理事長)
「生協法制定(1947年)から50年目の1997年に、労協法(協同総研)案が草されたことをもって、1997年を労協法元年とみなしている。また社会が一刻も早い制定を願っていることが、 「市民会議」の呼びかけ人の多さに表れている」。
*大野清貴氏(大学生協連常務理事)
「85%にのぼる学生組合員が、働くことを含めて将来について悩んでいるなかで、大学生協としても制定運動に協力をしていこうと全国理事会で賛同の議決をしている」。
*長谷川朗氏(株きかんし、営業部長)
「 民主陣営の一員として、会社としてこの運動の呼びかけ人になる。個人的には、坂根税理士たちのモンドラゴン視察報告書を読み、労働者協同組合には大いに関心を抱いている」。
*磯部武氏(神奈川高齢者協同組合)
事業団運動、センター事業団歴にふれ、神奈川県藤沢市の事業所の開設、高齢協の立ち上げの経験から、労協法制定推進運動を大きく進める上で「草の根からの運動」の大切さを提起。
*大嶋茂男氏(地域福祉協会事務局長)
「市民、創造者、受益者が協力して作り上げる『協同労働の協同組合』は社会的企業体」であると認識している。同法の「骨子」は、協同組合基本法の性格を持っている。労協法案は、いわば施行細則。「骨子」で賛同の輪を広げることが大事ではない
か。そのために、表現に今一段工夫する必要がある」。
*池上康夫氏(生協総研総務)
「 大内先生の講演で協同労働に関心を持った。これをキーワードとして生協労働について考えているところ」。
*中田宗一郎氏(連合会副理事長)
「運動の全体がまったく見えてこない」という状況認識を述べ、「格段に規模が大きくなる市民会議の運動はITを活用して適宜に広く知らせ、認識にばらつきが出ないようにするべきである」と提案。