研究所たよりWEB版(12)
2000年7月28日
執筆:坂林哲雄(協同総研専務理事)
韓国自活支援センターの金弘一(キムホンイル)神父が来日。今日28日帰国されました。
私が会ったのは、26日の夕刻から食事までの短い間です。したって、正確さを欠く内容ですが、とり合えず、聞きかじったことをメモしておきます。
目的は、林業保全に働く労働者の労協化について日本の林業労働の現状を知りたいということでした。
メンバーは5人。
韓国労働部の課長、草の根レベルの森林保全活動に取組む「生命の森国民運動」の方々、そして、韓国協同組合研究所の研究員の方です。
訪問先は、林野庁、全国森連、信州上小森林組合訪問、26日の夕刻には菊間満先生、田中茂先生のレクチャーがありました。
聞いたところによると、韓国にも国有林と民有林があり、民有林の所有者は山林組合をつくっているが、これは日本の森林組合とは違い協同組合ではないこと、民有林は国、郡・市、所有者がお金を出して、管理は郡・市という地方自治体が、労働者を直接・間接に雇用して、伐採、植林という事業を行ってきたこと。
IMF体制でこの仕組みが壊され、全てが公共事業となってること。そこで具体的に就労する人の数は良く分からなかったが、この部分で働く人々の労働者協同組合化を考えていることが話されていた。
「自活支援センター」については既に所報で紹介しているが、これまでの労働能力を欠く人に対する生活保護から、労働能力があっても自活できない人々を対象にした支援策を実施する法律が制定されていて、その中でこの自活支援センターが全国に70箇所も作られていることなどが分かった。
2年間に訪れたときは20ヶ所余りで時限法での設立されていたに過ぎないが、この段階でかなり本格的な就労支援対策組織となっているようだ。但し、この自活支援センターが全て自立のための手段を労協化に求めているわけではない。金さんたちはそういった方向で頑張っている。
韓国協同組合研究所に併設してつくられていた「労働者引き受け支援センター」という一種のCDAのような組織がある。これも以前所報で紹介した。
現在は100社ぐらいが労働者所有企業として活動をつつけているということだった。
IMF体制の一時期の混乱期を過ぎ、現在は失業率も3.7%、倒産件数も減ってきており、センターの役割が大きくなってるわけではない。今、一つ一つの企業の労協化が目標だが、従業員持ち株制などの状態から、労協化することには。かなり大きなハードルがあるということで、こちらはうまくいっていないらしい。
来年はソウルでICA総会が実施される。
その際には、この研究所と金神父らが中心になって、韓国労協の紹介を行ってくれることだろう。日本の労協運動とは一味も二味も違う労協運動が展開されている。