『協同の發見』2002.2No.116
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ILO勧告189号「中小企業における働く場の創出」1998



翻訳:島村 博(協同労働法制化市民会議事務局)

訳出の意図

 協同組合が失業克服、雇用創出との関連で「公共的使命」を担うについて当然にも協同組合に対する「公的な支援」のありようが「協同組合促進」の中心的論点となりうる。昨年のILO127号勧告見直し会議で、とくにカナダ政府及び使用者団体側から、雇用促進における中小企業の役割を勧告したILO189号勧告との整合性問題が提出されている。特に中心的争点となったのは、(公的)融資の利用(アクセス)をめぐってである。この論点の検討に先立って、当該勧告の内容をここに紹介することにする。
 なお、協同組合政策と中小企業政策とは、法人格に照らした形式的な「営利性」の存否の問題を超えて、一国家内部における再生産構造のバランスの確保、生産技術の伝承、地場産業の育成・発展、地域における協同の仕組の追求といった多面的な観点から見て、また、抽象的には「循環型経済」システムの構築という展望に立って多くの共通点を持つべきものであり、この意味では独自の検討がなされなければならない。
 働く者の協同組合と中小企業との地域連繋の兆しがわが国においても認められる今日、中小企業分野を視野に納める地域の連帯経済の仕組みの追求は、ますます現実味を帯びたものになってきている。この意味では、地域社会での協同を軸として協同組合と中小企業とをともに育成、発展させる論理を構築するうえで、この勧告を検討する意味もまた大きいと言えるだろう。
 訳出にあたっては、英訳版を底本としたが、英語表記に多義性が認められる箇所については、ドイツ訳版を合わせ参照し、それに従ったところもある。術語については英訳版、フランス訳版、ドイツ訳版において語義的に「積集合」にあたる範囲での日本語を選択している。この視角から見ると、本誌第115号で紹介のされているドキュメントの翻訳には一定の深刻な問題を指摘しないわけにはいかないが、それは後日の課題とする。


 
 国際労働機関の総会は、
 国際労働機関事務局の理事会によりジュネーブに招集され、かつ、1998年6月2日に第86回会期に会同し、
 個人、家族、コミュニティおよび国の経済的、社会的並びに精神的安寧及び発展の希求の必要を認識しつつ、
 中小企業における働く場の創出の重要性を自覚し、ILO総会が1986年の第72会期で採択した中小企業の促進に関する決議および、ILO総会が1996年の第83会期で採択したグローバルなコンテクストにおける雇用政策に関する決議で詳述された条約を想起しつつ、
中小企業が、経済成長と発展における決定的な要因として、世界の至る所で職場の大多数を創出することにますます大きな責任を負い、技術革新と起業とにかかわる環境を創出することができる、ということに注目し、
 生産的で、持続可能で、かつ優良な職場という格別の価値を理解しつつ、
中小企業が女性その他の伝統的に不利な立場に置かれてきた集団のために、よりましな条件の下で生産的で、持続可能で、かつ優良な雇用機会に接近することができる潜在的可能性を提供することを認識しつつ、
 1930年の強制労働条約、1948年の結社の自由及び団結権保護条約、1949年の団結権及び団体交渉権条約、1951年の平等報酬条約、1957年の強制労働禁止条約、1958年の差別待遇(雇用及び職業)条約に関する促進的尊重が中小企業における優良な雇用の創出を高め、かつ、特に、1973年の最低年齢条約及び勧告の促進的尊重が児童労働を除去する加盟国の努力を助成することを確信しつつ、
 中小企業における働く場の創出に関する新しい諸規定の採択が、
 (a)1964年の雇用政策条約及び勧告、1984年の雇用政策(補充諸規定)勧告、1966年の協同組合(途上国)勧告、1975年の人的資源開発条約及び勧告、1981年の職業安全衛生条約及び勧告といったしかるべき国際労働条約及び勧告の関連諸規定
 (b)「Start and Improve Your Businessあなたの事業の開業と改善」その他のプログラム及び訓練と技術の向上におけるILOの国際トレーニング・センタの活動を含めて、持続可能な職場の創出における中小企業の役割を促進し、社会的保護の適切かつ共通の適用を奨励するその他の効果が実証済みのILOの発意ともども斟酌されて、
 中小企業における働く場の創出に関する政策の構想及び実施において加盟国にとって価値あるガイダンスを提供するものであることを同様に確信しつつ、
 本会期の議題とされる第4項目をなす、中小企業における働く場の創出を奨励するための一般的諸要件に関する一定の提案の採択を決定し、かつ、
 これらの提案が勧告形態をとるべきことを決定し、
 1998年6月17日に、中小企業における働く場の創出勧告1998年と称することのできる以下の勧告を採択する。


I.定義、目的、範囲


1.加盟国は、使用者及び労働者の最も代表的な諸組織との協議の上で、国の社会的経済的諸条件を考慮に入れて、この柔軟性が加盟国をしてデータの収集及び分析目的に関する共通に同意される定義に到達することを妨げるものであってはならないとの了解の下で、適当と見なされうる諸基準を参照することにより中小企業を定義することとする。

2.加盟国は、中小企業が果たすことのできる以下の如き基本的な役割を承認し促進するべく、国の条件に適当し、国の慣行に合致する諸施策を採択することとする。

(a)完全で、生産的かつ自由に選択される雇用の促進
(b)勤労所得機会へのより大きなアクセス及び生産的かつ持続可能な雇用につながる福祉の創造
(c)持続可能な経済成長及び変化に柔軟に対処する能力
(d)不利な立場に置かれている者及び周縁化された集団の社会への経済的参加の向上
(e)国内の貯蓄及び投資の向上
(f)人的資源の訓練及び開発
(g)領域的及び地域的発展の均衡化
(h)地域市場の需要により適合する財貨及びサービスの生産
(i)生活の質の改善に寄与し、かつ、大多数の人々に社会的保護を享受することを可能にする労働及び労働諸条件の実証済みの質へのアクセス
(j)技術革新、起業、テクノロジー開発及び研究の刺激
(k)国内及び国際市場へのアクセス、及び
(l)使用者と労働者との良好な関係の促進

3.第2条に言及された中小企業の当該の基本的な役割を促進するべく、加盟国は適切な諸施策を採用し、かかる企業において労働者の利益を保全するための機構を、他の重要な文書に従って適用可能な基本的保護を労働者に提供することにより強化するものとする。

4.本勧告の諸規定は、所有権の形態(例として、民間会社及び公社、協同組合、合資・合名会社、家族企業、単独所有権)にかかわりなく、すべての分野の経済活動及びすべての類型の中小企業に、これを適用する。


II.政策的及び法律的枠組


5.中小企業の発展に伝導的な環境を創出するべく加盟国は

(a)(とくに、インフレーション、利子及び交換レート、課税、雇用及び社会的安定性に関して)最適の経済環境を促進する財政、通貨及び雇用政策を採用し、かつ、追求し、
(b)とくに、知的所有を含めて財産権、設立立地、契約強制、公正な競争並びに適当な社会及び労働の法制に関する適切な法的諸規定を整備し、かつ、適用し、
(c)起業者となることを意欲する者に不利益を与える政策及び法的諸基準を取り消すことにより起業の魅力を促進することとする。

6.第5条で言及された諸施策は、生産的かつ持続的な雇用を適当な社会的諸条件の下で提供することのできる効率的で競争力のある中小企業を促進するための政策により補完されることとする。この目的のために加盟国は以下の政策を考慮することとする。

(1)以下の条件を創出すること。
(a)その規模又は類型が何であれ、すべての企業に対して
(i)とくに、信用、貿易及び輸入投入へのアクセスに関して平等の機会
(ii)公正な課税を
提供する。
(b)中小企業における雇用の質を高めるべく、労働法制の無差別の適用を保証する。
(c)児童労働に関する国際労働基準の中小企業による遵守を促進する。

(2)とくに以下より立ち上がる中小企業の開発及び成長に対する束縛を取り除く。
(a)信用及び資本市場へのアクセスの困難
(b)低水準の技術及び経営スキル
(c)不適当な情報
(d)低水準の生産性及び品質
(e)市場への不十分なアクセス
(f)新技術へのアクセスの困難
(g)輸送及びコミュニケーションのインフラストラクチュアの不足
(h)雇用諸条件の水準、労働監督の実効性又は労働諸条件及び関連する諸問題の監督制度を侵害することなく人を雇い入れる意欲を殺ぐものを含めて、不適切な、不充分な、又は過度に負担のかかる登記、許可事務、報告その他の行政的諸要件
(i)研究及び開発のための不十分なサポート

(3)インフォーマル・セクタが組織されたセクタの一部となるよう支援し底上げを図る特有の諸施策及び奨励策を含む。

7.かかる政策を策定する目的で加盟国は、適切な場合には

(1)とりわけ雇用の量的及び質的側面にわたって、中小企業セクタに関する国内データを、それが中小企業に対する過度の行政的負担をもたらさないことを保証しつつ収集し、

(2)とくに、職場の創出に対する構造調整プログラムのインパクトに注意を払いつつ、中小企業に対する現行の政策及び規制のインパクトを包括的に見直し、

(3)以下を決定するために、使用者及び労働者の最も代表的な諸組織と協議して労働及び社会立法を見直すこととする。
(a)労働者に対して充分な保護及び労働諸条件を保証しつつも、中小企業の要求にかかる立法が合致しているか否か。
(b)ボランタリィの企画、協同組合の発意その他のような社会的保護に関して補充的施策の必要があるのか否か。
(c)かかる保護が中小企業の労働者に及ぶものかどうか、また、医療ケア、疾病、失業、高齢、労災、家族、妊婦、就業不能及び遺家族年金といった分野での社会保障規制の遵守を保証する適切な諸規定があるのか否か。

8.不況時には各国政府は中小企業及びそこで働く者に強力かつ実効的な支援を提供することを追求することとする。

9.こういった政策を策定するにあたり、加盟国は、

(1)使用者及び労働者の最も代表的な諸組織の他に、加盟国が適当とみなすその他の関係者及び適当な当事者と協議することができ、

(2)財政、通貨事項、通商及び産業、雇用、労働、社会的保護、両性の平等、職業の安全及び衛生並びに教育及び訓練を通じた能力形成といった分野でその他の政策を考慮することとし、

(3)使用者及び労働者の最も代表的な諸組織と協議をしてこれら政策の見直し、かつ、時宜に適ったものにする機構を設置することとする。


III.企業文化の開発


10.加盟国は、発意、企業の創造、生産性、環境保護意識、品質、良い仕事及び労使関係を促進する企業文化並びに公正にしてふさわしい社会的実践を創造し、かつ強化するべく、使用者及び労働者の最も代表的な諸組織と協議の上で起案される諸施策を採用することとする。この目的のために加盟国は以下を考慮に入れることとする。

(1)求職に関連する教育、起業及び訓練の制度及びプログラム並びに経済的成長及び開発の達成を通じて、良き労働関係及び中小企業により必要とされる多角的な職業的経営的スキルの重要性を格別に強調することにより、起業家的態度の開発を追求し、

(2)適切な手段を通じて、起業家及び労働者双方にとってのインパクトを承認すると同時にリスク負担及びビジネスの失敗に対するより積極的な態度を学習体験たる価値として承認することで奨励することを追求し、

(3)すべての範疇の労働者及び起業家に対して生涯学習のプロセスを奨励し、

(4)関係のある使用者及び労働者の諸組織を完全に参加させて、以下を促進する自覚的なキャンペーンを企画し、かつ、実行すること。
(a)法規範及び労働者の権利に対する尊重、よりましな労働諸条件、より高い生産性並びに財貨及びサービスの品質改善
(b)女性並びに不利益な立場に置かれている者及び周縁化されている集団の特殊な要求をしかるべく考慮に入れた起業の役割モデル及び表賞企画


IV.実効的なサービス・インフラストラクチュアの開発


11.中小企業の成長、職場創出の潜在的可能性及び競争能力を促進するべく、以下を含めて、中小企業及び労働者のために一連の直接間接の支援の利用可能性及び接近可能性が考慮に入れられなければならない。
(a)ビジネス開業準備、開業及び開発の支援
(b)ビジネス・プランの開発及びフォローアップ
(c)ビジネス・インキュベーター
(d)政府の政策に関するアドバイスを含む情報サービス
(e)コンサルタント及びリサーチ・サービス
(f)経営及び職業スキルの向上
(g)企業ベース訓練の促進及び開発
(h)職業上の安全衛生における訓練の支援
(i)経営者及び被庸者のリテラシ、数量的思考能力、コンピュタ適性、基本的教育水準のアップグレード支援
(j)直接又は民間セクタの仲介者を通じて提供される水、電力、家屋、輸送及び道路といった動力源、テレコミョニケーション及び物理的インフラストラクチュアの利用
(k)労働者の権利を含む労働立法の理解、適用及び人的資源開発における支援並びに両性の平等の促進
(l)法律、記帳及び融資のサービス
(m)技術革新及び現代化のための支援
(n)テクノロジーに関するアドヴァイス
(o)ビジネス・プロセスへの情報及びテクノロジー技術の効果的な応用に関するアドヴァイス
(p)資本市場、信用及び融資保証の利用
(q)融資、信用及び債務管理についてのアドヴァイス
(r)国内及び国際市場における輸出促進及び通商機会
(s)マーケット・リサーチ及びマーケティング支援
(t)プロダクト・デザイン、開発及びプレゼンテーションの支援
(u)開発試験及び測定を含む品質管理
(v)パッケージング・サービス
(w)環境保全サービス

12.可能な限り、第11条で掲げられた支援は以下の如き手段を通して最適の関連及び実効性を保証するために構想され、かつ、提供されなければならない。
(a)支配的な経済的、社会的及び文化的諸条件並びに開発のサイズ、セクタ及び局面の見地での相違を考慮に入れつつ中小企業の特殊な要求にサービス及びその引き渡しを適合させる手段。
(b)提供されるサービスの決定に中小企業並びに使用者及び労働者の最も代表的な諸組織を積極的に参加させることを保証する手段。
(c)例として、使用者及び労働者の諸組織、半公共機関、民間のコンサルタント、テクノロジー・パーク、ビジネス・インキュベーター及び中小企業そのものを通じた、かかるサービスの引き渡しに公共及び民間セクタを参加させる手段。
(d)サービスを中小企業に可能な限り物理的に近接させることにより、サービス引き渡しを非集権化する手段。
(e)「窓口の一本化」(single window)調整又は委託サービスを通じた一連の統合された実効的なサービスを容易に利用できることを促進する手段。
(f)かかるサービス市場に歪みをもたらすことを回避し、かつ、中小企業の雇用創出を促進するような仕方で、中小企業その他の関係方面による合理的なコスト・リカバリ水準を通じたサービス提供者のための自立的存続可能性を目指す手段。
(g) サービス提供のマネージメントにおける職業性及び答責性を保証する手段。
(h) サービスの継続的なモニタリング、評価及びアップデートのためのメカニズムを整備する手段。

13. サービスは、生産性の向上および、効率性を促進し、かつ、中小企業が国内及び国際市場で競争力を維持することを助成するその他の手法を含むベくこれを構想することとし、同時に労働実践及び労働諸条件を改善するものたること。

14.加盟国は中小企業が融資及び信用を満足のゆく諸条件による利用を促進することとする。このこととの関連で、

(1)信用その他の融資サービスは、起業家のうちで特に脆弱な集団の場合を除外して、可能な限り商業的諸条件でその持続可能性を保証するべく提供されるものとする。

(2)追加的諸施策が、行政手続を簡素化し、取引経費を軽減し、かつ、一例として、非政府系小口金融取扱所及び貧困の緩和に向けられる開発金融施設に付帯する不都合に関連する諸問題を克服するために採られることとする。

(3)中小企業は相互保証協会を組織することが奨励されるべきこと。

(4)ベンチャーキャピタルその他の組織の創設、革新的中小企業の援助の特化が奨励されるべきこと。

15.加盟国は、中小企業における雇用のあらゆる面を保障的な労働および社会立法の無差別的な適用により、改善する適切な政策を考慮に入れることとする。

16.加盟国は、さらに、

(1)適切な場合には、中小企業の成長及び競争能力を実効的に支援することができる諸組織及び諸制度を促進する。この点に関して、使用者及び労働者の最も代表的な諸組織との協議が考慮に入れられることとする。

(2)中小企業と大企業との間での協同連繋を促進する適当な諸施策を考慮に入れる。この点に関して、諸施策が当該中小企業及び労働者の正当な利益を保全するべく採られるものとする。

(3)経験交流並びに諸資源及びリスクの分かち合いを奨励する中小企業間の連繋を促進する諸施策を考慮に入れる。この点に関して、中小企業は、場合によって、使用者及び労働者の諸組織の役割の重要性を考慮に入れつつ、事業連合、ネットワーク、生産及びサービスの協同組合といった機構を形成することを奨励されうる。

(4)女性、長期失業者、構造調整又は制限的かつ差別的慣行により影響を被っている人、身体障害者、退役軍人、学卒者を含む青年、高齢者、少数民族籍にあたる人、土着の部族民といった住民中の一定の範疇の間で起業家になることを希望する人々のために格別の施策とインセンティブを考慮に入れる。かかる範疇の詳細な識別は、国内の社会経済的優先順位及び環境を考慮に入れて行われることとする。

(5)職場の創出を目的とする政府の政策の実効性を高めるべく、政府諸機関、中小企業及び、かかる企業の内で最も代表的な諸組織との間のコミュニケーションと関係を改善する特別の諸施策を考慮に入れる。

(6)経済における女性の重要性の増大を承認して、起業家になることを望む女性のために特別に構想される諸施策により、女性の起業支援を奨励する。


V.使用者及び労働者の諸組織の役割


17.使用者及び労働者の諸組織は、以下の方法で、中小企業開発への貢献を考慮に入れることとする。
(a)適切であるならば、中小企業又は労働者の関心を政府に明らかにし、
(b)訓練、相談業務、信用の簡易な利用、マーケティング、労使関係のアドヴァイス、大企業との連繋促進といった分野での直接的支援サービスの提供
(c)国、領域、地域の諸施設及び、訓練、相談業務、開業及び品質管理といった分野で中小企業に支援を提供する政府間の領域諸組織との協同
(d)中小企業に影響の及ぶ政策及びプログラムを含めて重要な経済的社会的諸問題を取り扱うために設置される国、領域、地域水準の協議会、実行委員会その他の諸機関への参加。
(e)適切な社会的セーフティネットを具備させて経済的に有益で社会的に前進的な(再訓練及び自営業の促進といった手段による)リストラクチュアリングの開発の促進及び参加
(f)中小企業間の経験交流及び連繋整備の促進への参加
(g)雇用諸条件、労働諸条件、社会的保護及び職業訓練、及び、適切であるならば改善措置の促進といった事柄に関係し中小企業に影響を及ぼす社会的及び労働市場問題の観測及び分析への参加
(h)品質及び生産性を向上させ、並びに、少数民族籍にあたる者の雇用基準、両性の平等及び非差別的処遇を促進する活動への参加
(i)中小企業に関する研究の作成、性別及び年齢により識別される統計を含めて当該セクタに関連する統計その他のタイプの情報の収集、かかる情報及びベスト・プラクティスの教訓を使用者及び労働者の他の国家及び国際組織と分かち合うこと
(j)中小企業における労働者のための労働者の権利、労働立法及び社会的保護についてのサービスの提供及びアドヴァイス

18.中小企業及び当該の労働者は、結社の自由を完全に尊重されて適切に代表されるべきことを奨励されるべきである。この点に関して、使用者及び労働者の諸組織は中小企業を含めるべくその構成員基盤を拡大することを考慮に入れることとする。


VI.国際協力


19.適切な国際強力が以下の分野において奨励されるべきである。
(a)政策立案を支援するべく比較可能なデータ収集のための共通のアプローチを整備すること
(b)中小企業において職場を創出し、雇用の質を向上させるべく政策及びプログラムに関する、性別、年齢その他の重要な変数により識別される情報の交換
(c)以下を促進するために、使用者及び労働者の諸組織を含めて中小企業の開発に関与する国内的及び国際的機関及び諸施設の間での連繋の創出
(i)スタッフ、経験及びアイディアの交換
(ii)訓練教材、訓練方法及び参照素材の交換
(iii)中小企業及びその開発に関する、性別及び年齢により識別される調査結果その他の量的質的なデータの編集
(iv)中小企業の国際的パートナーシップ及び連合体の整備、下請契約関係の整備その他の商業的連繋
(v)中小企業促進に関して得られた経験に関する政府、使用者の諸組織及び労働者の諸組織の間での情報交換を目的とする新しい機構の開発、現代的な情話テクノロジーの利用
(d)女性の起業家の支援を含めて中小企業の開発を通じた職場の創出の手法に関する国際的な会合及び討論グループ
(e)良い仕事及び適切な社会的保護を提供する職場を創出する上で実効的でもあれば、そうすることが可能な中小企業の促進にとっての主要な成功の諸要因を種々の環境及び国において系統的に研究すること
(f)雇用機会、マーケット情報、法規、テクノロジー及び製造規格といった問題に関する中小企業及びその労働者による国際的データベースへのアクセスの促進

20.加盟国は本勧告を他の国際的諸機関とともに促進することとする。加盟国は、本勧告を評価し履行する場合において適切であるときは、当該諸機関との協同の余地を残すべく、かつ、中小企業における働く場の創出においてILOが果たす傑出した役割を考慮に入れることとする。





訳注 
クロス・レファレンスとして16の条約、勧告が付されているが、ここでは、割愛する。 

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