『協同の發見』2002.1 No.115 目次

ILO127号勧告見直し小史
 

岡安喜三郎(協同組合学会会員/協同総研専務理事)


1966年5月 ILO第50回総会で第127号勧告「(開発途上国)協同組合の振興」を採択
1991年秋 ICA(国際協同組合同盟)の会議の折り、ILO127号勧告の見直しについて考える少人数の専門家会議(「改訂し、新勧告を」の意見多数)
1992年 ILO第253回理事会(ILO127号勧告見直し決定)
1992年3月 ILO協同組合専門家会議("Experts on Cooperatives")


【3つのテーマ】
  • 第1のテーマ:127号勧告の有効性、勧告の発信先、協同組合の定義、協同組合の目的、政府の役割、法制、監査、協同組合の支援・指導、社会的役割について
  • 第2のテーマ:協同組合の人的資源開発(HRD)の定義、教育での欠点とその克服、職員の教育・研修、人材開発のための財源、調査活動、モニタリング、国際基準作り、等々
  • 第3のテーマ:雇用政策、経営者団体の役割、労働組合の位置づけと役割、仕事のポストの創造、女性と協同組合、青年と協同組合、インフォーマルセクター、パートタイム労働者問題、協同組合運動での人間と他の資源との結合、等々

【結論】

  • 127号勧告は見直しされる必要がある
  • 発展途上国向けだけのものではなく、全世界の協同組合を対象にして、ILO加盟国に向けて発信されるべき
1993年7月 ILOセミナー「世界の各地域における協同組合運動の構造転換と協同組合法制度への影響」(マールブルク、発展途上国協同組合研究所等との共催)
1993年12月 ILOセミナー「協同組合法制における国と協同組合との関係」(ジュネーブ、発展途上国協同組合研究所、ICAとの共催)−−1995年5月につなぐ
1995年5月 ILO協同組合法専門家会議(Expert on Cooperative Law)
1995年9月 (ICAマンチェスター大会―「協同組合アイデンティティに関する声明」採択)
1999年3月 第274回ILO理事会(2002年の新基準採択に向け、2001年の第89回総会にて協同組合促進問題の討議を決定)
1999年8月 (ICAケベック大会―新千年紀協同組合の挑戦)
2000年初頭 ILO事務局、「第89回総会準備レポートV(1)」(「V(1)」は第5議題の第1次読会の意味)を作成し加盟国に送付。内容は過去十年ほどのILO内検討会議、ICAの地域会議等を反映――たとえば筆者が議長のICAアジア太平洋地域大学生協委員会バンコク会議資料――、NPOとの関連にも言及。巻末に「結論案」―第1次案―を添付、これに対する回答を6月30日までに寄せるよう各国に要請
2001年初頭 ILO事務局、各国からの回答(遅延も多かった模様)を一覧させた「第89回総会準備レポートV(2)」を作成し、巻末に「結論案」―第2次案―を添付、各加盟国に送付
2001年6月 第89回ILO総会開催、上記「結論案」―第2次案―に基づく「協同組合促進に関する委員会」(総会は議題・テーマごとに委員会が設置される、いずれも政労使が参加)討議を経て「第89回総会における暫定結論案」を全体会で確認
2001年10月 (ICAソウル総会)
2001年10月 ILO事務局、90回総会準備レポート IV(1)「協同組合促進に関する勧告案」を加盟国に送付(11月30日までに意見を求める)
2002年初頭 レポート IV(1)「協同組合促進に関する勧告案」の修正が発表される予定
2002年6月 ILO第90回総会第4議題として「協同組合促進に関する勧告案」の討議、新勧告採択の予定

(小史作成にあたっては、大谷正夫氏、島村博氏のご協力を得ました)

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