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■ 肩すかしを食らった沖縄サミット 7月に行われた沖縄サミットでは、IT(情報技術)革命が主要な議題の一つとなりました。ただ、サミット後の検証によると、アメリカや欧州などの首脳は発展途上国問題にもっぱらの関心があり、IT革命問題は実はそれほど熱心に討議されなかったとのことです(『読売新聞』8月11日付)。 IT産業の分野ではアメリカの優位が続いており、「デジタル・デバイド(情報格差)解消」の名の下に、国際的協調を唱えることによってアメリカの一人勝ちを牽制しようとした日本政府の意図は見透かされ、肩すかしを食らったと言えるでしょう。 急激な発展の渦中にあるIT技術の分野では、デファクトスタンダード(事実上の業界標準)の位置をめぐって各メーカーがしのぎを削っており、国際的協調による標準化路線が易々と受け入れられる状況ではないのでしょう。まさに、国際政治のダイナミックスを見せつけられたサミットであったとの感を強くしました。 そういうわけで、IT関連の話題を2,3紹介しましょう。 ■ iモード加入者数が1000万突破 さて、国際的な規模で激戦が続くIT関連産業の中で、日本が比較優位に立っている数少ない技術分野が携帯電話などの移動体通信を利用したインターネット接続サービスです。この分野では、NTTドコモのiモード・サービスの好調が続いています。 NTTドコモは、iモード・サービスの契約者数が、8月6日時点で約1002万4500契約になったと発表しました。99年2月のサービス開始以来、1年半で1000万ユーザーを獲得したことになります。 現在、iモードの加入者数は1週間で30万人前後、1カ月足らずで100万人のペースで増加し続けていますが、しばらくこの勢いは止まりそうにもありません。 iモード・サービスはもともと個人向けサービスとして始まったのですが、ここへきて企業での利用も増加しているのが目立ちます。 情報インフラとしてますます重要性を高めているiモードですが、泣き所は利用者の増加に設備や技術が追いついていないことです。8月7日深夜から8日にかけて約5時間にわたり,全国的に「つながりにくくなる」というトラブルが発生しました。iモードのトラブルは今年に入って30回目を数えていますが,今回のトラブルの規模は最大級のものです。NTTドコモによれば,今回のトラブルの原因はトラフィックの急増によりiモード・センターのサーバー群に不具合が発生したとのことです。 しかし、問題は別のところにあるとの指摘もあります。専門家によれば、東京都大田区にあるiモード・センターの収容能力は約1400万人で、約1000万人のiモード・ユーザーをさばくには十分な能力があるにもかかわらず,トラブルが発生したことが問題視されています。「iモードのシステムにはまだ“トラブルの種”が潜んでいる。・・・再度,トラブルの真相究明を急ぐ必要があるだろう。」(『NIKKEI COMMUNICATIONS ON THE WEB』http://www4.nikkeibp.co.jp/NCC/news_top10/f_ncc1753.html)。 ■ DDIグループも好調 移動体通信の分野でNTTドコモグループに次ぐ位置にある第二電電(DDI)グループの追い上げも急です。 DDIが提供する携帯電話サービスcdmaOneの累計加入者は7月26日に600万を突破したと発表されました。4月15日に累計500万を突破したと発表されていましたから、102日で100万増を達成したことになります。 一方NTTドコモのiモードに対抗するサービスであるEZwebは7月28日に300万を突破しました。 ドコモ、DDIおよび第3グループの日本テレコムを合わせると携帯電話からのインターネットサービス利用者は1500万人を突破しているという数字もあり、次世代のインターネット接続端末の主流はパソコンから携帯電話に移るとの観測もあながち的はずれではないと言えるでしょう。 ■ メーリングリスト(ML)の展開 前号でも紹介したように、坂林専務による「研究所たよりML版」は好評を頂いております。本号発行時点までで、15号が配信されています。内容は、事務局の動き、協同集会へ向けた活動、研究所に寄せられた書籍、雑誌、新聞などの紹介、関連の諸団体の動向など、多彩です。 問題は、参加者が少ないこと(現在、50名強)、発信者が事務局サイドに偏っていることです。せっかくのフラットなコミュニケーションツールなのですから、遠慮せずにどんどん利用しましょう。 MLの活用によって仕事がどう変わるのかについて、社会科学系の研究所の中でネット活用の先進に一つである大原社会問題研究所の二村一夫さんはこう記しています。 「とりわけ大きな意味をもったのは、メーリングリスト(OISR-ML)を誕生させたことでした。私自身は、最初メーリングリストはHTML文書のオーサリングに関与する直接関係者の連絡網程度に考えていました。しかし、野村氏の『MLは情報共有であると同時に相互学習過程でもあり、日常的なインターネット講座でもある』との指摘を受け、目から鱗の落ちた思いでした。今では、専任研究員や専任職員だけでなく、データ入力など縁の下の力持ちとしてデータベースを支えてくださっている臨時職員の方々、さらには私のような外野席の応援団までもが、任意参加でメンバーとなりました。これによって、研究所のホームページにさまざまな形で関与している全員が、情報を共有することが可能になりました。組織のサイトは、ともすればごく一部の担当者だけの仕事になりがちです。しかし大原社研のサイトは全員が情報を共有すると同時に、サブディレクトリごとに担当者を決め、その自律性、自発性を最大限に認める多数参加型のホームページとなりつつあります。インターネットは、外に開かれた窓としてだけでなく、組織内での情報共有により内部的にも公開性、透明性を増すなど、組織と仕事の質をも変えつつあります。」(「大原デジタルライブラリーのこと」『大原社会問題研究所雑誌』第494・495号、2000年1・2月合併号。また、ネット上では『ACADEMIC RESOURCE GUIDE 』1999-08-05、第037号、http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/compass-019.htmlでも読むことが出来ます)。 ■ HPのメール窓口から またこの間、HPのメール窓口から今まで全く関わりのなかった方からのお便りも寄せられています。本誌5月号掲載の特集「ケアワークドライバー」に関連して、公共交通に関心があり、自らもこの問題に関するHPを運営しているKさんから以下のようなメールがありました。 「貴組合のホームページは、ネットサーフィンをしていて、偶然におじゃましました。 『協同の発見』96号(2000年5月)の特集記事「挑戦ケアワークドライバー」は、介護タクシーについて詳細な記述と豊富なデータと説明されていて、勉強になりました。 介護タクシーの成功で、タクシーをはじめとする公共交通機関全体が活性化することを願うところであります。 さて、私のホームページのリンク集で、『協同の発見』96号(2000年5月)の目次のページをリンクさせていただきたいのですが、いかがですか。よろしかったらお返事ください。」 ということで、さっそくKさんのHPにわがJICR.ORGへのリンクを張ってもらいました。ご覧ください。 http://village.infoweb.ne.jp/~fwkt9182/ ■ この間の更新情報 夏休みということもあり、研究所のホームページの更新作業が停滞しております。休みの間に取り返します。 |