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連合会だより
富田孝好(日本労協連・事務局長)
「父は僕が中学2年に突然亡くなった。それまで生きていることが、自分に父親がいることが当然だったのに。家に帰って、大好きなカレーがあったら、お腹いっぱい食べて、いつも通りに姉とテレビを見てた。本当にいつも通りだった。そしたら電話が鳴った。母からだった。『びっくりしないでね』と何度も言っていた。でも気にもせず『なに?』と普通に聞き返した。そしたら『お父さん亡くなったの』と言われた。」これは、最近まとめられた「自殺って言えない―自死で遺された子ども・妻の文集―」に綴られている文章です。あしなが育英会が編集し出版されたものです。この文集には14編の思いが綴られています。そして、この文集の、<おわりに>では「作文を読んでいて、何とも重い。辛い。息苦しくなってくる。自分史を聞いていて、その子の顔がもう見られなくなる。もういいよ、言わなくても……。」との書き出しで、育英会・玉井会長の言葉が書きしるされています。そして、会長は「
さいごに言いたい。遺児への心のケアの大切さは当然だが、行政や社会が『自殺(自死)』の激増を防止するためになにをなすべきか、……昨日まで会社主義でモーレツに仕事をしていた団塊の世代が、IT(情報技術)革命で「今日からいらないよ」と言われたらどうなるか。相互扶助の日本社会にアングロサクソン流の弱肉強食の論理が急に入ってきたら、潤いも何もない殺伐とした職場になり、心優しい人びとは排除されていく。グローバリゼーションの前には仕方ないことなのか。」と述べています。副田金城学院大学教授の推計では、今、自死遺児は約10万人から12万人にのぼると報告されています。長引く不況やリストラの中で、このような現実がおきているのだということ改めて実感しました。そして、子供たちへ心から頑張れとエールを送ります。 |