研究所たよりWEB版(39)

2001年2月6日

執筆:坂林哲雄(協同総研専務理事)

 2月3日に行った「モンドラゴン協同組合企業から何を学ぶか」は24人の方が参加されました。研究会報告は3月号の所報で行います。参加者のお一人、全農の鈴木さんから頂いたメールを転送させていただきます。


 昨日(2月3日)の研究会にお邪魔させていただいた農協(全農)の鈴木といいます.
 研究会についての若干の報告と中川先生の邦訳書の書評の件について、奥村宏先生に確認いたしましたところ、近々書評が出るとのこと。ここしばらくの「東洋経済」にご注目ください。
 奥村先生は、あたらしい企業形態の可能性のひとつとして、協同組合に大きな関心を寄せつつも、自身の専門ではないとして、その評価については、積極的な論評を避けてきたように思います。協同組合について書かれた本で、公に論評される最初の本ではないかと思われます。
 この本に接したきっかけは、新聞広告で知ったあと、JAビルの地下で探したものの見つからず、中央大学の生協でたまたま先生と遭遇したときに、先生が「これじゃないか」と見つけたものを私が購入したのがそもそものきっかけです.、その後「どうでしたか」と先生に感想を聞かれた際に、「体制変革論でもなく、主体形成論でもなく、まず、企業改革からという点で、先生の主張と重なる点がありますね」と言ったところ、「では、読んでみましょう」となったものです。
 先生が以前、私に「読んだかね」と紹介してくれた本は、The Myth of Mondragon でしたが、今回の書評は、中川先生の邦訳書です。

 若干、専門外を省みず感想を述べさせていただきますと、「非常に理解しやすかった」ということです。このことの意味は二重にあると感じています。というのも、従来、協同組合関係者には縁遠い、あるいは対抗してきた資本主義的企業の組織論なり人的資源管理論関連の書籍としても十分読めるということです。つまり、協同組合関係者でなくとも読める。このことをどう考えるか。
 古くからある議論ですが、協同組合の株式会社への接近・転換の進展とみるべきか,それとも津田先生のご指摘にもありましたが,資本主義的企業の協同組合への接近・転換とみるべきか.いずれにせよ,一定収斂しつつある傾向は見て取れると思います.

鈴木裕史(全農・中央大学大学院)



「これからの福祉と地域づくり……社会福祉基礎構造改革をめぐって……」
報告 佐藤進(埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科)
日時 2月21日(水)午後3時〜5時
場所 ラパスホール(大塚/労働会館7階)

介護保険の実施を中心に進行しつつある「社会福祉基礎構造改革」は、単に来るべき「少子高齢社会」への対策の域を越えて、成長指向とその下での経済力を前提ないしは基盤にした社会設計からの脱却へのインパクトと考えたい。我が国の福祉が行政措置による「保護・救済」から「個の尊厳とその自立」へのシフトチェンジが図られようとする今日、これらを起爆剤にしながら、多様な福祉実践を契機に自立した個とその共同体として地域社会を構築していくことに、我が国の将来の可能性を見出したい。


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「共同連の活動と協同労働」

*報 告  斎 藤 懸 三 
 (共同連/差別とたたかう共同体全国連合)
 
*日 時 3月7日(水)午後3時〜5時
*場 所 研究所1F会議室
*参加費 1,000円
*参加希望の方は事前にご連絡ください。


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