研究所たよりWEB版(118)

2004年7月9日

菊地 謙(協同総研事務局長)


研究所第14回総会が開催されました

2004年6月25日(土)、10時30分より明治大学駿河台校舎研究棟2階会議室において、協同総研第14回総会が開催されました。総会には、全国より会員・理事が34名参加し(委任150)、1年間の活動のまとめと新年度の方針について討議しました。



冒頭、議長にセンター事業団の田嶋康利さんが選出され、議事が進められました。
中川理事長の開会の挨拶に続いて日本労協連の菅野理事長より「地域再生・雇用創出」政策提案についての提起があり、続いて、菊地事務局長より2003年度活動報告等、岡安専務理事より2004年度活動方針について議案の提案がありました。

活動報告の中では、現在の労働者協同組合の運動と事業を、ヘルパー講座の開催から地域福祉事業所の開設という新しい仕事おこしの爆発的拡大を中心とした「第一の潮流」、自治体の雇用政策と呼応し一都十県へ広がった仕事おこし講座の受託に見られる「第二の潮流」、公共サービスの民営化の中で仕事が拡大し、新しい公共の担い手への期待が高まっているという「第三の潮流」と整理し、その中で協同総研が様々な人々の結節点として「社会連帯的組織」的な役割を果たすことが求められている、と報告がありました。

活動方針では、従来の研究活動に加え「日本の労協(現場)の調査・研究」の組織や、「地域再生・就労創出研究会」「公共サービスと協同労働研究会」など、旺盛な研究会活動を進めることが提起されました。また、「協同集会inながの」の成功に向け、会員への協力が呼びかけられました。その後、島村主任研究員より、非営利法人制度についての特別報告があり、議案の提案が終わりました。

質疑では、

●「民営化反対だけではどうも行きそうではないということで、公共サービスの受け皿をどのように我々としてつくっていくかということが重要になっている。ここの部分でどういうオルタナティブを提示できるかが、研究所としてあるいは労協運動全体として、今後を方向づける上で重要だと思う。所報『協同の發見』が十分現場の考え方が反映されていないとするならば、それがどういう点であり、どこが問題なのかをむしろ率直に具体的に会話できる場があったほうがいいのでは。」(阿部誠さん:大分大学)

●「いろいろな卒業生が来て、ほぼ100%「辞めたい」と言う。信販会社に就職した卒業生は、カードのノルマを年間1,000枚与えられている一方で、月10万で役所の臨時職員になった卒業生は、何も仕事がない日が結構あって、パソコンで自分に手紙を書いて過ごしている。若い人たちの間で、働き方の標準というのが無くなってしまったような気がしている。そもそも働くというのは何で、どういう働き方がいいのかを考え直さなければいけないのだろう。そのための一つの形として労働者協同組合というのがやはり大事になってくのではないか。」(田渕直子さん:北星学園大学)

など、さまざまな協同総研に対する意見、期待などが出されました。

討議のまとめとして岡安専務理事より「「多様な働かされ方」ではなく、我々は新しい「働き方」を主張しているんだという点をもう一度鮮明に持ちながら活動を進めていきたいと思う。さまざまなご意見は、すべて運動と同時に研究の中でこの協同総研がきちんと位置づけて活動していって欲しいという発言として受け止めて、また一年間頑張っていきたい。」と発言があり、その後、議案は満場一致で採択されました。

最後に永戸副理事長より「「真の雇用・公共政策に基づいた本物の社会的サービスの再生」というのが、民営化=営利化=利権化という流れに対抗する大きな力を市民・住民から呼び起こす。そういう役割をいよいよ本格的に協同総研が果たせるときに来たのではないか。来年の15回総会に向けて日本の真の公共政策の担い手としてのシンクタンクは協同総研だったと社会からも言われるような濃い研究と活動がなされる一年にできればと思う。」と閉会の挨拶をいただき、全ての議事が終了しました。

もう少し詳しい報告は↓↓
http://jicr.roukyou.gr.jp/kaigi/soukai04/index.html

(文責菊地)





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