研究所たよりWEB版(113)

2003年7月19日

菊地 謙(協同総研事務局長)



協同総研の菊地です。

このMLに参加されている皆さんは、「住む」ということについて、普段どのようにお考えでしょうか?
私は、いままで日本で当たり前のように(といっても明治以降のことかも知れませんが)行われてきた、「持ち家」という考え方にどうしても違和感を持っています。

私の持つ違和感を簡単に書くと

○土地という本来誰のものでもないモノを財産として(投機的に)売り買いすることへの根本的な疑問

○成長経済ではなくなり、終身雇用などなくなったに等しいのに35年もローンを組むということを当然のように続けているシステムへの不信

○ほとんどが核家族の世帯で、子どもの成長と共に必要なスペースは増減するはずなのに、ずっと同じ広い家に住み続けることを当然とする非合理性

などです。年代や居住地域、もちろん収入によっても意見はいろいろあるとは思いますが、家を買う(もしくは建てる)ということに、多くの人は家族が住む器をつくる、ということ以上の関心を持っていないのかもしれません。ただ、高度成長期の大規模な宅地や団地の開発が、結局いま、高齢世帯ばかりが住むバランスの崩れたコミュニティを全国に作り出しているということにきちんと向き合う必要があるのではと思っています。

そのためには、多世代が一緒に住むという条件と、狭い自分の土地と家を守るという発想から離れて、自分と家族をコミュニティに開く、という「住まい方」を考えていくことが必要なのではないでしょうか?

というところで、今週末の協同総研研究会のご紹介です。



「コレクティブハウジングへの挑戦」
http://jicr.roukyou.gr.jp/kenkyukai/030726Miyamae.html

日時:2003年7月26日(土) 13時30分〜15時30分
会場:東京労働会館地下会議室 
    東京都豊島区南大塚2-33-10
    
TEL:03-5978-2190
JR大塚駅下車 徒歩6分 地下鉄丸の内線新大塚下車
徒歩6分
●講師 宮前眞理子(NPOコレクティブハウジング社副理事長)
●質疑
 
※会費:1000円(協同総研会員、学生500円)
 ※終了後に懇親会を予定しています。

■欧米で発展してきたコレクティブハウジングは、住居に関わる日常的仕事を居住者が分担・協働し、管理に居住者の民主的参加がある賃貸住宅です。日本の団地のような画一的な間取りではなく、多世代の居住者が共に協力し、食事作り(コモンミール)など生活の一部を共同化することで、効率的でより豊かな新しいライフスタイルを創りだす住宅の運動が、長い時間をかけて広がっています。

■日本でもようやくそのような取り組みが始まり、今年6月には東京都荒川区東日暮里にコレクティブハウス「かんかん森」が誕生しました。足掛け3年をかけてこのプロジェクトを推進してきたNPOコレクティブハウジング社の宮前眞理子副理事長にコレクティブハウジングを巡る内外の状況と、日本での今後の展望についてお話いただきます。

●ご参加お待ちしています。


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