研究所たよりWEB版(110)

2003年6月4日

菊地 謙(協同総研事務局長)


 出版物のご案内

 最近、続けて2冊、労働者協同組合を学ぶ上で有益な書籍が出版されましたので、ご紹介します。

 1)は、この2年ほど協同総研でもずっとフォローしてきたILO新勧告について、堀越先生を中心に協同組合学会がまとめられたものです。第2部の2.は協同総研の岡安専務が執筆にあたっている他、第3部では、研究所も開催に協力した2001年1月のシンポジウムの内容が収録されています。

 2)は、イタリアの協同組合企業の連合組織であるレガについて1989年から94年までの調査に基づき「イタリア協同組合の全体像」について明らかにしようとした研究書です。協同総研理事長の中川先生を中心に翻訳されました。

 いずれも、協同総研で取り扱っていますので、購入希望の方はご連絡下さい。kyodoken@jicr.org




1) 『ILO・国連の協同組合政策と日本』
   
2) 『イタリア協同組合 レガの挑戦』




1) 『ILO・国連の協同組合政策と日本』

   日本協同組合学会 編訳 日本経済評論社
   2003年5月10日 278頁 本体 2200円
   ISBN4-8188-1479-2
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(目次)

 まえがき――「ILO新勧告」の重要性

第1部 協同組合政策に関するILO・国連の公式文書
 1. ILO―協同組合の振興に関する勧告
 2. 国際連合―協同組合の発展に支援的な環境づくりを
   目指したガイドライン

第2部 ILO・国連の協同組合政策と日本
 1. ディーセント・ワークとインフォーマル経済で働く人々
 2. ILO「協同組合の振興に関する勧告」の解明
 3. 国連と協同組合の関わり
 4. 国連の協同組合に関するガイドライン
 5. 独占禁止法における協同組合政策
 6. 農林水産省における協同組合政策
 7. 厚生労働省における協同組合政策
 8. 中小企業庁における協同組合政策
 9. 金融分野における協同組合政策

第3部 ILO新勧告をめぐるシンポジウム報告
 開会挨拶
 第1報告 新勧告案の背景と意義・問題点
 第2報告 協同組合の現代的意義:ILOの立場から
 第3報告 新勧告案に対する政府の見解
 第4報告 新勧告案に対する使用者側の見解
 第5報告 新勧告案に対する労働者側の見解
 第6報告 新勧告案に対する労働者協同組合の見解
 特別報告 新勧告案の趣旨と要点
 コメント
 質疑応答・討論
 座長まとめ・閉会挨拶

【資料】 ILO「協同組合の促進」新勧告案に対する
     日本協同組合学会の意見書

あとがき



2) 『イタリア協同組合 レガの挑戦』

   ピエーロ・アンミラート 著 中川雄一郎 監訳
   家の光協会 2003年6月1日発行
   460頁 本体2,400円 ISBN4-259-52149-7
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(目次)

序文 謝辞

第1章 序論
 目的と意義
 仮説とアプローチ
 研究
 各章の概要

第2章 オルターナティヴは失敗であったか
 協同組合とは何か
 国際協同組合同盟の6原則
 協同組合の諸形態
 私的企業との比較
 イギリスとモンドラゴン:比較分析
 イギリスの経験
 モンドラゴンの事例
 他のヨーロッパ諸国と北アメリカにおける協同組合の展開
 プライウッド協同組合
 労働者資本主義
 要約

第3章 協同組合の発展:問題点と解決策
 協同組合発展の問題点
 協同組合が直面している諸問題に関わる議論の限界と妥当性
 結論

第4章 レガ―その歴史的評価(1850-1992年)
 協同組合の誕生(1850-1900年)
 全国協同組合連盟の誕生
 黄金の時代(1900-1920年)
 暗黒の時代:ファシスト・イタリア(1921-1943年)
 協同組合の復興(1943-1947年)
 冷戦:成長なき生き残り(1948-1962年)
 新しい戦略:変化、統合そして成長(1963-1980年)
 経営の変化:世界経済と政治的危機(1981-1991年)
 結論

第5章 レガ:中央連合組織
 中央連合組織
 結論

第6章 事業連合組織のネットワーク
 事業連合組織とは何か
 事業連合組織の類型化
 事例研究
 事例研究1:ジッリョ―地方の企業事業連合組織
 事例研究2:ACAM―全国サービス事業連合
 事例研究3:CCC―全国専門事業連合組織
 事例研究4:コープ・イタリア―全国サービス事業連合組織
 事例研究5:ICIE―全国的な部門間事業連合組織
 結論

第7章 レガの金融機関
 フィンコーペル:金融システムのセンター
 ウニポール・グループ
 FinecとBanec
 地方の協同組合金融機関
 結論

第8章 経営管理上の変化:協同組合と市場
 方法論
 事例研究1:建設協同組合CMB
 事例研究2:コープ・エミーリア・ヴェーネト(消費者協同組合)
 事例研究3:SACMI―工業協同組合
 事例研究4:スペピコープ―保健・医療の協同組合
 結論

第9章 国家と協同組合セクター
 イタリア国家の一般的性格
 イタリア国家特有の性格
 国家―協同組合関係(1945-1992年)
 結論

第10章 レガ:協同組合問題の解決策
 レガの主要な特徴
 レガの権限システム:理事と政党
 レガを定義する:運動か、システムか、それともネットワークか
 レガが直面する限界
 新たな展開:諸問題の克服
 結論:レガの展望

第11章 結論
 レガの成功に貢献した諸要因
 協同組合研究の分野への独自な貢献
 他の協同組合運動への示唆
 広い範囲にわたる社会的含意
 むすび

付録1:登録されている協同組合
付録2:交換比率

用語説明

原注

訳者あとがき
訳者紹介


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