『協同の發見』2000.4 No.95 総目次

連合会だより

 
 富田孝好(日本労協連・事務局長)
 

 すっかり春らしくなり、今この原稿を書いているこの瞬間、東京はまさに満開の桜です。近所の砧公園を散策してみましたが、満開の桜のもと楽しそうにいくつものお花見のグループが、しばしの憩いのひとときを過ごしていました。

 さて、例年この時期は全国総会に向けた準備の頃となります。本部では議案作成やその他諸準備が本格的な段階へとなってきます。先日も、総会に向けた全国理事会が開かれました。日本労協連・20周年の年という大きな節目の年であった1999年度をふり返り、2000年という新千年紀をを迎え、新たな発展方向をどうつくり出していくのかということを基本軸として、総会に提案される議案について検討が行われました。私たちをとりまく情勢についての深い洞察と分析、そして、私たちの成し遂げなければならない課題と任務。しかし、現実的には、なかなか情勢についていけていない組織力量など、いろいろ考えなければならない点もあります。実践し、学び、考え、また行動する。このことの中に、新たな現実的展望が示されてくるということに確信を持って前進していきたいと思います。第21回日本労協連・定期全国総会は、645日の2日間、東京・JAホールで開催予定です。

 41日より、公的介護保険制度がいよいよスタートしました。当初から指摘されていたことですが、さまざまな混乱や矛盾が現場サイドで噴出しているようです。連合会では、永戸理事長の談話を発表(45日「日本労協新聞」)しました。談話では、「営利企業任せは制度の本質に反する」として、改めて「市民が自覚を高め制度・事業の担い手に」なることを訴えています。私も、東北のある自治体の福祉課長と、実施直前の3月中旬にお話をしたところ、「昨年の10月から認定調査が始まり、6ヶ月間でそもそも準備が十分にできるはずがないでしょう」と語り、窮状を訴えておられる場面に出会いました。まさに、多くの自治体のみなさんの率直なお気持ちだなと思いました。同時に、サービスの提供を切実な思いで待っている方々もいらっしゃいます。ヘルパーの養成を一層進め、地域福祉事業所づくりにさらに力をそそぎ、労協・高齢協に市民エネルギーをひきよせ、自治体とも結びながら、介護保険を「世直し保険」とすべく頑張らなければなりません。

 この間、政治情勢は小渕首相の急病で、急転しました。森内閣が誕生し、沖縄サミット後に解散、総選挙と言われてきていましたが、これも6月に総選挙か!と言われるようになってきました。労協法制定に向けた取り組みもこうした動きを見据えながら、より広い各界との対話と連携が追求されてきています。介護保険の実施と福祉・介護事業への挑戦、そして、ますます深刻化する失業者の増大とリストラの波は、労働者協同組合(ワーカーズコープ)の必要性をますます現実課題としています。通産省の加藤敏春氏も「創業力の条件」(ダイヤモンド社)の中で指摘しています。

 季節は春本番を迎えています。新年度に入り、新たな気持ちを持ち、21世紀に向けた行動を展開させたいと思います。そして、6月の全国総会では未来に向かって奮斗する決意を固め合いたいと思います。


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