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CGM/社会的協同組合のための全国連合 CGM, the National Consortium for Social Co-operation |
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翻訳:坂林哲雄(協同総合研究所) |
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CGMは1987年に2次レベルの協同組合組織として設立された。つまり、個々の協同組合の連合会ではなく、(州や大都市の)地方連合によって作られた全国レベルのネットワーク組織である。(図参照)
最初から、CGMは社会的企業のネットワークづくりを仕事にしている。現在は18の地域(州)から46の連合会が加盟し、650を越える協同組合(イタリア全体の15%の社会的協同組合)が関係している。十分に意味のある数の組織をネットワークで結ぶ唯一の組織で、北イタリアだけでなく、中部、南部の地域も入っている。CECOP(ヨーロッパ労働者協同組合、社会的協同組合、参加企業連合会)という、ブリュッセルに本部をおく、33の国と地域の協同組合連合を結び、60万の企業と150万の労働者を代表する国際組織のメンバーでもある。CGMは、コンフコープ(イタリア協同組合連合)の社会的協同組合の支部、フェデルソリダリエタの一員でもあるが、CGMのメンバーには他の協同組合組織に関係する多くの連合会も含まれている。
CGMは、イタリアの非営利組織を代表する全国第3セクター会議にも参加している。さらに、イタリアの第3セクターのサービス機関である運営機構Aster-Xで活動し、その中で役割を担っている。これはアルチヌオバ(Arci Nuova Associazione)という戦略上のパートナーの一つと共にCGMが設立者の一人になったものである。
CGMは、日頃から全国の経営者のために訓練プログラムを提供し、報告書「インプレサ ソシアーレ(Impresa Sociale)」を通じて、社会的企業のイタリアにおける論議を活発化し、文化の促進を仕事としている。最近数年間、この連合会(CGM)は、ネットワーク内の企業家の能力と技能の普及、そして特別なプロジェクトによって地域開発活動を行う契約者あるいはプロモーターとして国家レベルで仕事をすることを通じて、企業づくりの促進に焦点をあてている。
CGMのメンバーである協同組合や連合会の活動は、高齢者、障害者、マイノリティ、麻薬患者などへの社会、健康、教育サービスであり、不利益を被っている人々への職業紹介である。14,500人を越える人がCGMのネットワークの中で仕事をしている。1600を越える人が障害者であり、3400のボランティアが働いている。全体の事業高は、5000億リラ(2億5000万ユーロ)を越えている(1997年)。
◆目的
(Our Aims)
1)社会的企業の専門機関(expert system)としての役割の維持
2)第3セクターと社会的企業をめざす協同組合の発展の支援
3)社会的に独立したプロモーターとして、研究機関、学校、マスメディア、企業、そして政治の世界の間を取り持つ質の高い対話者であること
4)非営利の法制度の確立を通じて、市民主導によって組織されたアソシエイション組織を激励し支援すること
5)仕事の市場から排除された人々を有効に生かすことを通じた雇用の創造
6)第3セクターのメンバー間でのパートナーシップ作りにおいて積極的役割を演じること
7)有効な社会政策と労働政策を目標にした戦略と同盟の融合する場としての活動
8)全国およびヨーロッパにおける社会的経済の発展と革新のためにプロジェクトを運営すること
◆CGMの統計(CGM figures)
(出典:CGM研究センター……1998年6月現在)
CGMはイタリアの15%の社会的協同組合を代表し、18の地域からの連合会と協同組合によって組織される。
◆1987年から1998年のCGMの地理的拡大
(Geographic spread of Consorzip CGM 1987-1998)
◆CGMのメンバーの推移(1987〜1998)
◆CGMに関係する協同組合の推移(1993〜1998)
◆活動分野
(Our Fields Action)
すでに述べたように、CGMは2次組織である。我々の観点では、基礎的戦略目標は、地域連合会の統合を支援し増進すること、社会的企業が地域コミュニティの利益をどのように生みだすのかに関する共通した理念を広げることである。もっとも典型的なサービスはメンバー組合員の活動の環境を整えるとか活発化できるようにするためのサービスを、広く複合化した活動分野において開発、提供することである。
職業訓練(Vocational training)は常に戦略的分野が考慮されている。その目的は共通の言語と仕事の方法を開発することであり、メンバーの連合会の人的、専門的な資源を生みだすことである。実際にこの部門は、メンバーの連合会内の起業家増進を直接の支援目的とする(職業)分野と資材によって、数年をかけて内容豊かなものになっている。仕事の範囲は起業家増進活動から、市場の革新的分野における地方連合会の強化という視点で、経営ノウハウ全体を強化するために、異なった経営環境に備えた相談活動やヨーロッパプロジェクトの運営や総合的契約といった範囲に及んでいる。後者の準備には、公的または私的組織との全国的な商業協定のために、CGMが直接参加することが求められている。これらの協定は具体的な運営の場面においては、メンバーの連合会が扱うことになる。
これらの扱われている(hands-on)活動の他、CGMはまた理論的問題も扱っている。例えば、労働政策、第三セクターのための共通した活動の役割と可能性、社会的企業の異なったモデルや福祉システムである。CGM研究センターは調査と情報活動を担う運営上の基礎と位置づけられる(また、特別の編集責任を手段として)。同じ目的が、第三セクター組織(Fourm del Terzo Settore、Aster-X)への促進と参加によって、また、革新的なルールや規制に向けた新しい活動方法の刺激や助言のための継続的活動を通じて追求される。
CGMの収入は、ほんの一部が寄付によっているだけで、ほとんどは事業活動の収益、調査活動の実施、地方連合会の会費によってまかなわれる。
◆CGMの社会的価値
(CGM social value)
CGMはもうひとつのレベルの協同組合であるから、地域コミュニティに直接利益をもたらすことはない。むしろ市民の利益のために活動する地域組織を励まし支援を行っている。この文書の中では、CGMに関係する多くの地方連合会が共通して関わるいくつかの要素をCGM研究センターの調査をもとに簡潔に強調しておこう。
労働政策に関する限りでは、少なくとも次の三つの活動がある。
1)不利益を被る人々の仕事おこし(placement of disadvantaged people)
10年間の活動の中で、わずか数十からイタリア全土を通じて数千というケースを経験した。1,600人以上の人がCGMに関係する社会的協同組合に位置づけられている。その仕事のなしたことは優れた革新性であり、福祉の外におかれた社会のより弱い人々の仕事の問題へ焦点を移したことである。例えば、政府高官との協力関係へ道を開いていることだ。
2)革新的サービスの開発(production of innovative services)
ECによって特筆された仕事上の受皿(occupational basins)のいくつかは、社会的協同組合によって生みだされた活動である。さらに、CGMのメンバー協同組合は、ほんのわずかな私的企業よりも遥かに重要なサービス、特に社会的サービスをコミュニティの必要性により近い活動を行うことで、自らを特徴づけている。イタリアの社会的協同組合が、ほんの10年間の間に生み出した、約5万の仕事、その内14,500はCGMのメンバーに属するものであるが、このことを強調しておく必要がある。
3)新しい種類の雇用サービス(new kinds of employment services)
CGMのメンバー協同組合は、新しい種類の雇用サービスを経験し、計画を行っている。これらのサービスの目的は要求を実現するためのより優れた機会を提供することであり、より高度の障害をもった個人への仕事の提供を強化することである。
職業訓練活動に関して、CGMのもっとも顕著な特徴は、広い意味において職業訓練を良く考えぬいていることだと強調しておきたい。それは、社会的協同組合という文化モデルを開発し広めるという意味に留まらず、組合員間の交流と協同を十分促進するという意味においても、熟考されているからだ。この観点から、南イタリアの社会的協同組合を促進することを目的とした活動が、最前線の課題として含まれている。そして、南イタリアの社会的協同組合がこれまでのもっとも優れた経験や人的、組織的資源から利益を受けられるようにすることを組織として決定している。
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