協同総合研究所の99年度の活動方針


<研究所の目標>
 ◆市場万能論に対する『非営利・協同』 の対抗戦略の研究と発表
 ◆労協の事業/運動を支援する専門家ネットワークの確立
   特に「福祉部門」と「労協法」/労協の幹部事務局の参加は必須要件
 ◆会員数/2000人

T 研究活動

 「新たな福祉社会の創造と労働者協同組合法」という研究テーマを継続する。 
 当面の研究活動の集約点を2000年の協同集会におき、市場万能論に対する『非営利・協同』の対抗戦略を提起できるように研究活動を組織する。2000年の協同集会は首都圏での開催とし、研究所の10周年を合わせて行う。

(1)「新たな福祉社会の創造と労働者協同組合法」
1.「21世紀協同組合と協同」
 協同組合の事業、運動が歴史的転換期にある中で、労働者協同組合を始めとする新しい協同組合が提起する「協同労働」の現代的な意義を明らかにし、協同組合セクター全体の取組とすると同時に、セクターを超えた日本の社会の根底的な仕組自身を変革する21世紀の「協同」若しくは「協同組合」のあり方を研究提起する。協同集会の成果、総括はこの研究会で引き継ぐ。
@研究集会「21世紀の労働、協同の21世紀」宮本憲一他
A研究会「文化と協同の仕事おこし」荒木昭夫

 2.労働者協同組合法/政策論と法律論
 研究所の中で労協法案を作成したことで、政労使といった各界の受け止めが非常に早い。これは、労協法の制定にとって大きな前進であったことは疑いない。しかし、一方で労協の存在はまだまだ知られておらず、その実態ももっと力強いものに発展させて行かねばならない。そういう意味では、協同労働の協同組合を含めた就労政策を対案として提示し、その社会的役割を広めることが必要である。ヨーロッパを中心に「協同労働」は大きな展開を見せており、これらの最新事情も適宜研究を重ね、協同労働の協同組合への確信を広げなければならない。具体的には以下の課題をもって研究会を組織する。9月の労協法国際シンポを労協連と共催で行う。
@協同労働からの就労政策を提言する
A法律論/協同労働をめぐる法律論、労働保護法規との関係、税制優遇の根拠、既存の組織法との異同、外国法研究の成果と第2次案の検討 
A先進7カ国の根拠法の整備と実態の解明/及び理論水準のフォロー
B日本国内の実態調査
C協同労働と良い仕事

 3.「地域福祉と協同のネットワーク」
 公的介護保険の時代にコミュニティケアを実現する地域とはどのような基本的資源を備え、それらがどう機能する地域なのかを、労働者協同組合、高齢者協同組合、地域福祉事業所、介護者ネットワークなどとの関係を含めて継続的に調査検討し、高齢協/労働者協同組合の福祉政策を研究提起する。
 昨年から始めた国際高齢者組織の研究を継続し、高齢協などの活動への提言を検討する。合わせて労協連が企画している12月3日〜4日の「海外の高齢者組織の活動を学ぶ」企画を共催で行う。
 
(2)地域別研究会・講演会/地域ネ ットワークの構築という課題
 各地域における「非営利・協同」の取組をつなぐ取組として、事業運動のノウハウを蓄積し、その社会的役割を明らかにすることは研究所の使命でもある。また、これらの取組を発信し続けることで、全国に点在する運動を質的にも発展させることができる。これは同時に「非営利・協同」の対抗戦略を実践的に示すことにもつながる。具体的には以下のような問題に取組む。
1.地域毎に取組む講演会や研究会を支援する
 ※埼玉で行う「雇用シンポ――協同労働の仕事おこし」を共催する
2.労協連の若手を事務局とする継続的な地域研究会に取組む
 ※7月に予定している「協同の集いin九州&山口」を成功させ、地域研究会へつなぐ活動に発展させる。長野の非営利・協同の懇談会の活動から所報で「長野」の特集を行う
3.「いま『協同』を問う集会」の実行委員会を首都圏でつくる

(3)労働者協同組合を発展強化する 研究とその具体化に取組む
 労協法の制定に取組み仕事おこし講座などを経験する中で感じることは、いくつかの先進例を除けば労働者協同組合の実態はまだプリミティブなレベルに留まっているということである。福祉事業への本格的参入はもちろんのこと、環境、教育など、労働者協同組合は取組まなければならない多くの課題を抱えている。地域社会に責任を持った仕事を行うプロフェッショナルな組織として、労働者協同組合の事業経営、政策、そして理念のレベルでそれを総合的に担える人材を養成することが求められている。そのためには、それぞれのレベルの優れた経験を蓄積し、それを伝えるプログラムの開発は不可欠である。単なる研究レベルではない具体的な実践を通じた取組に挑戦する。
1.ヘルパー事業に関わる専門家を養成する学校づくりに着手する
2.協同労働に取組む実践家に向けた教育プログラムの開発と実施
 @通信教育の仕組みを開発、実施する (10月)
 A若手幹部の教育プログラムを開発、 実施する
3.労働者協同組合の事業経営の自立支援に関わる研究を始める
   具体的な活動支援を通じたプログラ  ム開発が目標である

U 会員拡大

会員との情報交流の充実に務める。具体的には以下の5点を整備する。
1.所報「協同の発見」
 ※編集委員会による内容検討と方針作成を毎号行い、その充実をはかる
2.メーリングリスト
 ※参加者の拡大のために、毎号所報で連絡する。
3.ホームページの開設/労協連のホームページとのリンク
4.情報の蓄積と公開
 ※書籍情報/研究会情報/労協運動の情報
5.案内パンフの作成

V 出版活動

1.「新カナダ協同組合法の研究」6月
2.「労働者協同組合の根拠法/先進国における例」 9月
3.「労働者協同組合法国際シンポの記録」 11月

W 組織運営

(1)理事会と常任理事会
  2ヶ月毎に常任理事会を開き、半年毎に理事会を行う。
(2)編集委員会 毎月
(3)事務局会議 毎週

X 労協連の20周年記念の海外ツアーを共催する

 ▽カナダの協同組合を訪ねる旅
 (8月29日〜9月9日)
 ▽高齢者組織を訪ねるヨーロッパ探検隊  (9月下旬)


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