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ILO第89回総会、2001年6月5日-21日――全体討論
協同組合促進に関する委員会報告 提案、討議および採択 訳:菊地謙(協同総合研究所)
発言者:Ms. Supersad, Mr. Tan, Mr. Patel, Mr. Pliszkiewicz, Mr. Attigbe, Mr. Ampiah, Mr. Erixon, Mr. De Arbeloa, Ms. Andrew
委員長――これよりProvisional Record No.18内の、協同組合促進に関する委員会の報告の審議を進めます。まずトリニタード・トバゴの政府側委員で本委員会の報告者であるMs. Supersadに全体会への提案の発言をしていただきます。 Ms. Supersad(トリニダード・トバゴ、政府側代表、協同組合促進に関する委員会報告者)――本日は協同組合促進に関する委員会の最初の討論に報告をさせていただき光栄に思います。本委員会は、ポーランドの政府側委員であるMr. Pliszkiewiczの思慮深く非常に有能な議長の才能のもとで招集されました。彼の優秀さや実行力は、フィリピンの使用者側委員の副議長Mr. Tanおよび、南アフリカの労働者側委員Mr. Patelのそれと等しいものでした。「優秀さ」は事務局長の代理であるMr. Henriquesと事務局からのチームの貢献を描写するのにも使わねばなりません。また法律アドバイザーのMs. Doumbia-HenryとMr. Picardの援助にも同様です。 本委員会は14日の会期で行われ、委員会の結論を含むその報告書は、お手元のProvisional Record No.18にあります。 1966年の(第127号)協同組合(開発途上国)勧告の採択以来、世界中の協同組合の状態に影響を与えた重大な政治的経済的変化を認識しつつ、理事会は1999年3月の第274セッションにおいて、第89回総会の討議事項(日程)の中に協同組合の促進問題の2回にわたる討議を含めることを決定しました。理事会は、新たな普遍的に適用しうる基準の開発が、協同組合が自助能力をより全面的に発展させること、および失業や社会的排除を含む多くの現代の社会経済的問題に取り組む能力を促進することを可能にし、グローバルな市場で競争する能力を高めることを可能にするとの見解を抱いています。 その論議を円滑にするため、委員会はその前に総会レポートX(1)と(2)を準備しました。これらのレポートは協同組合の促進の問題を取り巻く争点の見事な分析として高く評価されました。 委員会討議のこのラウンドから明らかになった結論案は、既存の勧告とは大きく異なり、バランスがあり、本質的に普遍的な措置を発展させるための社会的パートナーの努力を示すものでした。その結論案は、労働者側の代表発言者の言葉における「労働側の価値(the values of house)」を具体化することも求めています。 これらの価値は結論案の前文に反映されており、ILOの基本的な原則と労働権に関する条約を、また、結社の自由、団体交渉、団結権、強制労働と差別(の禁止)に関する重要な協定を参照しています。 ILOの価値は、前文へのディーセント・ワーク(decent work)の挿入においても明白であり、それに沿って加盟国がILOの核となる労働基準の促進政策を発展させるべく、委員会によって確定されたガイドライン内の結論においても明らかです。 加盟国は職場の安全・健康に関する措置を講じること、および、協同組合とその労働におけるジェンダーの平等を促進することも要請されます。 この点に関する使用者グループの一般的な関心は、委員会が直接の仕事そのものよりむしろ雇用状況に焦点を当てるべきで、それが協同組合の促進である、ということでありました。委員会は提案されている文書の範囲をすべてのタイプや形態の協同組合に広げるべきであると合意しました。委員会は、ILOとICA国際協同組合同盟との幸福な結婚の見解を成立させる、協同組合の定義について合意しました。このように、協同組合は、必要な資本に対して公平に貢献し、リスクと利益を共有し、民主的な運営に積極的に参加する共同所有の企業の編成(formation)を通じた、経済的・社会的・文化的ニーズや願望を満たすため自発的に集う個人の自律的な集団として定義されています。この核となる定義は、広く認識された協同組合の価値や原則を結論案に掲げ、箇条書きにすることで更に強化されました。 協同組合の自治のコンセプトを最大限に支持する一方で、委員会は、協同組合を他の企業と並んで、互角の土俵(a level playing field)で経営させるという問題に取り組みました。互角の土俵という概念は、事業者間の平等な状況が存在する状態においてのみ適用されるというのが委員会の見解です。そのような状態というのは、実際にいくつかの先進国において事実として存在することを認識したものです。もっとも、本質的に協同組合は、ユニークな組織であり、私的企業と異なる、まさに明確な社会的・経済的目的をもつ組織でありました。協同組合は、利潤によって駆動されるのではなくニードによって営まれ、公共の利益を提供するものでもありました。協同組合のこの特質の認識に鑑み、委員会は、この提案文書が、連帯精神に基づいた組織としての協同組合が、不利な立場の人々のグループを含む社会的ニーズに応え、彼らの社会参加を達成しうる特別措置の適用を奨励すべきであるとの見解に立っています。 協同組合の促進における加盟国の役割を明確にするため、委員会は相当な注意を払いました。加盟国が協同組合の本質や機能と一致し、既に述べた協同組合の価値と原則に従って支援策や法的枠組みを提供すべきであると合意しました。 結論案には、国の政策づくりへの、そして協同組合が利用しうる各種支援サービスへの、一義的なガイドラインが述べられています。委員会はまた、多数の委員がインフォーマル・セクターと呼び習わしているものが、経済生活のメインストリームへ十分に同化し、法的に保護された労働へ変容していく過程における協同組合の重要な役割を、国家が促進すべきであるという見解も持ちました。 我々はまた委員会において、使用者および労働者の組織と協同組合の組織の役割とそれらの関係を明確にすることも求めました。委員会が労働者組織について特記すべきことは、企業閉鎖に追い込まれた場合も含め、雇用を創出し維持するために新しい協同組合を立ち上げる際に、労働者組織の果たしうる役割を認識しているという点でした。 委員会は教育・訓練を通じた人的資源開発を協同組合促進の重要な手段としてみなしています。更に我々は、国がこの分野で重大な役割を果たすものと認識しています。それゆえ結論案では、協同組合の組合員が人的資源の能力を開発し、教育・訓練を通じた協同組合運動の価値への理解を進めることを支援するための施策を、加盟国が講ずるべきであると明記してあります。政府の政策も、組合員、労働者そしてマネージャーの技術的・職業的スキル、起業家的・経営的能力、ビジネス化能力と経済全般の知識および社会政策能力を開発すること、そして情報とコミュニケーションの技術へのアクセスの改善を求めています。それらの政策もまた、すべての適切なレベルの国内の教育・訓練システムにおいて、そして社会全体として、協同組合の原則と実践における教育・訓練を促進すべきであります。 我が委員会の作業に対する私の最後のコメントとして、討議の結果、委員会がその結論にいくつかの現代的なコンセプトを導入したということを指摘しなければなりません。ひとつは、協同組合内のガバナンスの問題に関連して、もうひとつは、地域主義(regionalism)の概念に関連してであります。この点で加盟国は、どこであろうと、国際的な協同を促進するための協同組合に関する共通の地域ガイドラインを作り上げることが求められています。 最後の会合で、副議長団は我々の委員会を協同組合の促進に関する第一次討議に積極的かつ民主的に参加するため自発的に集った人々の小さな協同組合になぞらえました。議長は、協同的雰囲気と討議のすばらしい成果に感激し、皆が愛唱する新年の賛歌「Auld Lang Syne(訳注:蛍の光の原曲であるスコットランド民謡)」のすばらしい歌声とともに、委員会の活動を締めくくりました。旧友が、私も含め、2002年の第二次討議で再会することを楽しみにしております。 私は協同組合促進に関する委員会によって提出された文書の採択をお薦めいたします。 Mr. TAN(フィリピン、使用者側アドバイザー兼副代表、協同組合の促進に関する委員会使用者側副議長)――本日の総会での採択のため、我々が提出した協同組合の促進に関する報告書は、一つの決定的な点において意義深いものであります。この報告書は、第89回ILO総会の議事に関するより技術的な論点であるのみならず、過去からの転換点でもあるのです。 1966年の勧告第127号協同組合(開発途上国)の体制―協同組合は主に国内の開発のための国家の手段でありました―は、勧告案の普遍的な性格と範囲により、終止符を打たれることとなるでしょう。 あらゆる国・種類の協同組合に適用しうる新勧告を将来的に採択することにより、その発展のレベルに関わらず、協同組合は、その価値によって動機づけられ組合員の連帯によって支えられた競技場(the arena of competition)に案内されるでしょう。これこそが、我々が新勧告のガイドラインの下で創造することを願う協同組合の世界であります。協同組合は、主に自己雇用(self-employed)の組合員によって自発的に組織された、仕事おこしのための実現可能な手段になることを我々が期待している自助経営企業(self-help business enterprises)であるので、雇用労働者、失業者、そして多くの開発途上国においては社会の周縁に追いやられた人々が自らの生存条件を改善することができるのです。 1999年3月の理事会からの委任が念頭にあるため、14回の委員会討議において使用者側としての我々は、このビジョンに沿って検討を進めました。その委任は、組合員によって相互利益のために組織された、事業体としての協同組合を促進するためのものでありました。 その委任は、第127号勧告を改定するためのものであり、勧告を協同組合における労働者の権利の章典をもって代替するためのものではありませんでした。しかし、委員会の作業の第一段階において、我々はこの組織の労働基準やその他の諸慣行という深い森の中で道に迷う危険性もありました。 われわれの討論の最重要課題である協同組合の促進は、第127号勧告を労働基準や労働条件に関する国際的な文書に変形させるための執念によってほとんど方向付けられていました。 幸いなことに、多くの政府が、委員会の審理がこれ以上「イデオロギー化」することを拒絶し、我々は本題に戻ることとなりました。そうしてようやく我々は、政府側、労働者側そして使用者側が全体としてサポートしうる結論案の形成に断固として進み始めたのです。我々は、労働者の権利や労働基準に反対しているわけではありません。そうであるはずがありません、しかし物事には時宜があり、時代は英雄を求めるのです。 今はその好機ではありません。協同組合、特に無数の所有組合員(owner-members)に労働者の権利に関するILO条約の適用により発生する諸義務―それらは彼らの日常生活にそれほど多くの希望や意義をもたらすわけではない―を過剰に負わせることに躍起になることはないのです。 報告書に付加された結論案では、第127号勧告の再策定にあたり適切な勧告を作成する際に、堅実な判断、リアリズム、そして合理性に基づいた社会的パートナーの合意を反映しています。我々が、つい最前まで多くの協同組合が従属させられていた国家管理のくびきから協同組合を解き放ち、本当に自律的な存在とするよう決議することは、最終的な文書からも明白です。 同様に、結論案の推進は、他の形態の企業が事業活動をしている環境に優劣のない自由競争という環境をもとあらすのに十分なほど現実的であります。しかし、経済的・社会的な目的を持つ自助組織としての協同組合の特異な性格を心に留めますと、結論案は、その中で協同組合が何をしうるか、そして何をすべきかを明確に述べており、筋の通ったものとなっています。すなわち、自発的に組織され民主的に運営された企業として、協同組合は基本的にその組合員の社会的・経済的な向上を目的としているということです。 それゆえ、協同組合は決してその自治を脅かすような社会的・法的な義務を断じて負うべきではないのです。 我々は協同組合を政府や他の組織によって押し付けられた強制から解放しなければなりません。我々は協同組合の仕事おこしの能力を最大限に活かし、医療、貯蓄、信用、農業生産、マーケティング、教育、保険、そして国家が撤退し他の企業も投資に興味を示さないその他の多くのサービスのといったような、コミュニティに関わる活動への関心を最大化しなければなりません。 今後の討議によって明確になるであろう勧告案では、協同組合が活動を行うための法的および政策的な枠組みに関する努力の点で、政府の重要な役割が定義されることとなるでしょう。 もし、報告書に述べられたように、協同組合が優遇されることなく、自由市場で他の営利企業と競争するように互角の土俵が維持されるのであれば、もし、結論案に描かれたように、政府が取り締まり機能のみを果たし、協同組合をほとんど彼ら自身に任せておくのであれば、もし、結論案に明白に述べられた通り、使用者組織が、適切な場合には、会員を協同組合にまで拡大し、他の会員と同様の手段と条件でサポート・サービスを提供するのであれば、その時こそ我々は、本当にこの報告書を最大に支援し、総会がそれを採択するよう促進することができるのです。 この場を持ちまして、議長とILOの事務局に当委員会におけるこの輝かしくすばらしい審議についての謝辞を述べたいと思います。また、労働側の副議長にも委員会の討議を成功裏に結論に導いた彼の能力と援助に対し賛辞を呈します。私はこの感謝を、心より、そしてかつてフランスの哲学者が語った、バラを与えた手にはいつまでも芳香が残る、の言葉を想い出しつつ申し上げます。 Mr. PATEL(南アフリカ、労働者側代表、協同組合促進に関する委員会労働者側副議長)――どんな良質の生産物も常に多くの人々の努力の成果であります。それゆえ、最初に、我が委員会の議長、報告者、使用者側の同僚であるMr. Tan、多くの見識を分かち合った政府側委員の皆さん、そしてこの委員会のために見事な働きをしてくださったILOのスタッフの皆さんに感謝を申し上げます。 我々は、討議の論調が建設的なものである事を知り、結論の殆どの部分が合意によって採択されたことを認識しました。 報告者によって皆さん方に紹介された結論案の前文は、フィラデルフィア宣言を参照しており、特にその中でも、労働は商品ではないと宣言している部分を参照しています。 50年以上にわたり、ILOはその根本的な信念、つまりグローバル化する経済の中での競争という容赦のない圧力によってますます挑戦を受けている信念を支持し擁護してきました。協同組合促進に関する委員会が、労働が商品ではなくそれゆえ商品として扱われるべきでない、という非常に基本的な概念を支持することを認識し繰り返すことは妥当なことなのです。 これは、感傷の背後に普遍的な真実があるという理由によってのみならず、むしろ協同組合運動そのものの価値によって根本的に下支えされた信念であるがゆえに妥当であるのです。 私は、協同組合促進に関する委員会が到達した、優れた結論に対する労働者グループのサポートを記録することを非常に嬉しく思います。報告書における結論は、包括的でバランスがとれており、われわれの時代にふさわしいものとなっています。それは、まさに協同組合に関する最初の本当に普遍的な文書であるのです。現行の文書、1966年第127号(開発途上国)協同組合勧告は、開発途上国に限定されていました。新勧告案は、3つの言葉の意味において普遍的です。この勧告案は、いかなる区別もなく、すべての社会(開発途上国、体制移行国、先進国)に適応され、すべてのタイプの協同組合に適応され、協同組合におけるすべての労働者に適応されます。 この結論の普遍的な性質は、経済的取引に対する障壁が消滅しつつあり経済活動における多くの伝統的なカテゴリーや区分がもはや有効でなくなっている、グローバル化した世界にふさわしいのです。この状況において、我々はすべての国のすべての労働者に、そして適切な場合には、グローバルなレベルで、十分な社会的および労働に関する保護(政策)を要求するのです。 この結論はその文言にILOの価値を吹き込むものです。ディーセント・ワークがILOの活動の明示的な枠組みとなり、この草案文書を通じて協同組合はこの枠組みに十分に包摂されるのです。この結論は、労働の基本的原則と権利に関する宣言、ILOのコア条約およびその他の国際的な労働基準の射程を参照しています。このように、この文書は明確な知識の土台と、雇用、労働基準、労使関係、そして社会保障の分野におけるILOの専門性に基づいています。それは、ILOが協同組合に関する国際的な政策の枠組みを実現するという協同組合の比較優位を具体的に示すことであります。これらは負担ではなく、まさに発展そのもののための枠組みなのです。 この提案文書は、協同組合運動が立脚しILOが現在是認している価値や原則を反映するものです。民主主義、平等、自助、自己責任、公平および連帯といった価値がそれであります。その定義には、数ある中でも、組合員の経済的参加、自治およびコミュニティへの関与といった原則を含まれます。これらの価値と原則は、この文書に哲学的倫理的な論調を加え、現実的な側面にも影響をおよぼすものです。 この結論では、加盟国が協同組合の促進において果たすべき支援的役割を強調しています。同時に、この結論は協同組合の自治の重要性を承認しており、国家による支援は協同組合の独立性を適切に尊重して進めるものと承認しています。 協同組合は明白に公共政策の射程を拡大する経済組織の一形態です。その最大の目的が利潤の最大化や株主の価値観ではないという点が協同組合の特徴です。それどころか、協同組合の定められた目的は、エコノミスト達の言う「公共の利益(public goods)」、すなわち雇用の促進や地域開発をも含むものなのです。この結論は、この事実を承認し、加盟国に対し、協同組合が、この文書の中の言葉でいえば「連帯精神に基づいた」企業および組織として、不利な立場のグループや地域を含む社会のニーズに対応し、彼らの社会的包容を実現するための支援措置を講じるよう求めています。特に雇用の促進がそのような支援措置の重要な成果だと見なされています。 この結論は非常に具体的な支援措置と協同組合を援助するサービスの範囲を設定しています。融資および投資へのアクセス、人的資源開発プログラム、技術およびイノベーションに関するコンサルタント・サービス、財務および監査のサービス、法律および税務サービス、そして経営情報サービスがそれにあたります。 インフォーマ・ルセクターは、30年以上にわたりILOの重要な課題の一つであります。最近、インフォーマル・セクターに関するILOの討議のための政策枠組みが何であるべきかについてのコンセンサスができつつあります。昨年のILO総会において、多くの場合最低生活所得しか得られない活動を経済のメインストリームに十分に統合したディーセント・ワークへ変容させるためのものとして、インフォーマル・セクターに向けた公共政策の役割を定義した一連の結論が採択されました。本年、委員会における十分なコンセンサスを通じ、我々はさらに一歩を進め、この構想をILO文書の草案に盛り込むことができました。この文書は、インフォーマル・セクターの労働を経済生活のメインストリームに統合され法的に保護された労働に転換させるという点で、加盟国が協同組合の重要な役割を促進すべきであると承認しています。 この結論は、差別禁止の価値(the values of non-discrimination)への深いコミットメントを明示しており、特に協同組合の内部および協同組合の労働において、ジェンダーの平等を促進するよう加盟国に求めています。このコミットメントが重要であるのは、多くの国々において、女性は協同組合における労働者の多数を占めているのにもかかわらず、非常に多くの場合、女性は融資や信用取引へのアクセスにおいて差別され、組合員としてもしくは指導者として十分で積極的な役割へ取り立てられることが不可能であるためです。ジェンダーの平等は、協同組合運動がその原則を実現し、社会に対する貢献を最大化するために不可欠のものなのです。 協同組合は多くの場合、経済面での意思決定において進歩的な形態での労働者の参加を率先し、労働組合との強固な関係を構築しつつ、雇用政策の中で導き手となっています。しかしながら、この2週間以上にわたり委員会で討議を重ねるうちに、我々は協同組合が単に雇用基準や労働法制を無視する手段として設立されている多くのケースについて耳にすることとなりました。結論では、この事象を特段に扱っています。結論が加盟国に対し要請しているのは、協同組合が労働法に従わずに設立・管理されることのないよう、もしくは偽装的な雇用関係をもつことが慣行とならないよう保障する政策を推進することであります。この条項は、異存もなく採択され、それはこの問題に取り組むための委員会における幅広い支持を証するものです。 人的資源開発は、現代の世界における経済的パフォーマンスと社会的進歩の両面において決定的になりつつあります。この結論では人的資源開発の構成要素を見極め、そのような国の政策への付託を狭義というよりむしろ広義で述べています。この文書は、専門的・職業的な技術、起業家的・経営者的な態度、そして一般経済的・社会政策的な技術のための政策を発展させるよう、加盟国に要請します。これらの技術は、協同組合の労働者・組合員・マネージャーの間で育成されるべきであります。加えて、この文書は、幅広い社会とすべての適切なレベルの国内の教育・訓練システムの中で、協同組合の原則と実践を教育し訓練することを求めます。 グローバリゼーションが我々の経済的・政治的風景を一変させたため、社会は意思決定における透明性や公開性により大きな重点を置くようになり、参加と「説明責任(accountability)」そして清廉さについても同様であります。これらの概念は、私的セクター、公的セクターそして社会的組織に適用される「コーポレート・ガバナンス」という言葉に反映しています。この文書は、協同組合内部のコーポレート・ガバナンスのベスト・プラクティスを普及する政策を加盟国に要請します。 この結論は、協同組合の成長を奨励しサポートするために労働組合と使用者組織が大きな役割を果たしうると認識しています。多くの特別措置が策定され、労働組合は協同組合運動と強固な関係を結び、相互の支援と援助を期待しています。 最後に、世界では経済的な国境が消滅しつつあり、結論にはこの現実が反映されています。これらの結論は、より大きな国際的協同と協同組合コンセプトのグローバル化を相応に求めます。 我々は、これらの結論を支持しました。なぜなら協同組合の規模とその基礎となる価値の両面の理由でグローバルエコノミーにとって重要であると信じているからです。協同組合は推定で世界中で約1億人の労働者を雇用しているとされています。これは無視できない数量であり、多国籍企業が世界的に雇用している8,600万人さえ上回っています。 19世紀に発展した協同組合は、倫理的価値つまり、財およびサービスの生産と消費は人間の価値および人間の連帯と両立するという信念に基づいた、経済活動のあるべき姿への直接的な反応であるのです。我々の見方では、これらの価値は、かつてよりむしろ今日のグローバル化した世界において、より重要であり、よりタイムリーで、そしてより意味のあるものなのです。 原語はフランス語:Mr. PLISZKIEWICZ(ポーランド、政府アドバイザー、協同組合促進に関する委員会議長)――ポーランドを代表しまして、協同組合促進に関する委員会の議長を勤めさせていただいたことを非常に光栄に思います。これは、ポーランドが協同組合の分野で長い伝統と豊富な経験を持つ国であるという事実を反映させようという意思であると理解いたしました。 協同組合は、ポーランドにおける他のすべての企業や機関と同様、この10年以上にわたり、社会的、経済的、政治的領域で起こった深刻な変化に関連した多くの問題に直面してきました。協同組合は、すべての市場経済国によく知られている日常的な困難の解決に積極的に関与しています。 私は、この委員会の討議の主題が、ILO加盟国の多くが直面している、巨大な雇用分野の解決を願う人々にとっての極めて重要な課題であると確信しております。先進国および途上国の双方にとって、協同組合が雇用創出の有効な手段であるのは当を得ています。協同組合が有用なもの足りうるのは、経済的手法によって協同組合に提供される機会を受け止め、利益を得る手段が個人に与えられる場合であります。 ご存知のように、協同組合は、人々が共通の経済的・社会的目的を追求するため、その労力をプールしたいと願う場合に、頼ることができる非常に効果的な組織体であります。 世界的に認められた価値と原則に基づいて、協同組合は、多様な形態で、多様に異なるレベルにおいて存在します。協同組合は、すべての社会経済セクターにおいて活動し、社会における多くの異なるグループを包含しています。 消費協同組合を形成することにより、小規模企業は、それぞれが独自に活動するよりも有利な方法で、資源をプールし財とサービスを獲得することができます。販売協同組合として力を合わせることで、小規模企業は、自由市場における競争に立ち向かうのに十分なだけの経済の規模を達成し交渉力得ることができるのです。協同組合を結成することにより、地方の小規模起業家たちが、単独では余裕がなくて手の出せない高価な設備を購入するため、共同出資することが可能になることもあります。協同組合は、主婦たちが、より満足できる方法によりニーズを満たすための、例えば、消費、住宅、貯蓄、または信用の協同組合をつくるために、共同出資することも可能にしています。この委員会が提出している結論において認識されているように、協同組合は、周縁化された、もしくは不利な立場に置かれているグループのニーズを満たすために、彼ら自身に所有されるものです。 この委員会は、国際協同組合同盟による定義とILOによって提出された規準に示される要件を一括し、「協同組合」の用語に適当な定義を与えました。我々は、この定義が、加盟国が協同組合の能力促進のための努力をするのに、極めて有用であると考えています。その上、委員会での討議は、政策的・法制的環境の非常な重要性を提示し、それらの政策とその実施の基礎に置くべき明確なガイドラインを提供しました。 討議はまた、適切な支援サービスを供給する必要を強調し、サービスの提供の範囲は協同組合組織の実情に依存していることを示しました。 私は、この委員会の討議が、極めて申し分ないマナーと、対話と合意の精神において行われたことを皆様にご報告できることを、大変喜ばしく思います。私は、この報告と勧告案が我々の討議の高い質を証することに触れ、またその成果が建設的で前向きのものであることを確信しております。これらの討議は、協同組合の促進によって、労働、失業、社会的排除といった問題を解決する、有用で継続的な指針を加盟国に与える一連の勧告の実現の吉兆をなすものです。 我々の討議における非常に申し分ない方法は、プロ意識と我々の討議を通じたすべての当事者によって示された協同の精神を証明しています。私は、どのような肩書きにあろうとこの委員会の討議の成功に貢献したすべての方々に、心からの感謝を捧げたいと思います。特に深い感謝を使用者グループの副議長であるMr. Tanと労働者グループの副議長であるMr. Patelに申し上げたいと思います。彼らは、この委員会の作業から良いテンポで総会のプログラムまで適切に導き、立派なレベルの議論を維持する上で、多大な援助を提供して下さいました。私は、討議中、困難にさしかかると特に現れてきた、彼らのこの主題に対する深い知識と模範的な人間性に強い印象を受けました。 私は、本日ご列席の各国政府代表の皆様方にも心よりの感謝を申し上げます。皆様は私の委員会議長の職務に対し惜しみのない支援と援助して下さいました。 起草委員会のすべての委員、特に、政府を代表してフランスのMs. Wolas、使用者グループを代表してMs. Moorhead、労働者グループを代表してMr. Patelに感謝を申し上げます。 トリニダード・トバゴのMs. Supersadにも大きな感謝を。我々は、この委員会の委員の意見や提起を反映し、次回の討議に間違いなく有用である報告書を迅速に採択することができました。 準備された極めて有用で高い専門性を持つ文書と、委員会の討議を通じた専門家の支援に対し、Mr. Henriqueと彼のチームの全員にも感謝を述べます。事務局の方々のすばらしい協力と、翻訳者と通訳者の援助にも感謝いたします。 この委員会の報告者と2名の副議長がすでに皆様方に我々の討議の経過と委員会によって採択された文書についてご報告いたしました。皆様に協同組合促進に関する委員会が提出した文書の採択をお願い申し上げます。 委員長――以上で協同組合促進に関する委員会の総括議論はこれで終了いたしました。 原語はフランス語:Mr. ATTIGBE(ベニン、労働者側アドバイザー)――協同組合促進に関する委員会の討議に感謝を表す前に、委員長が我々の委員会の討議をまとめた手腕への賞賛を再度申し上げたいと思います。 この委員会の討議をリードした議長団に対して、そして委員会の委員の皆様に対して満足の意を表し、討議を性格付けた規律および理解と寛容の精神に感謝申し上げます。 協同組合は我々が今日、経済の「第三」セクターもしくは「社会的経済(economice sociale)」と呼ぶものの一部であります。このことこそが、採択されるべき文書が協同組合にアドバンテージを与え、その促進に対し多大な貢献をしなければならないと、委員会が見なしていた理由です。 我々の考えでは、協同組合は、労働者の権利が尊重されない組織であってはなりません。むしろ労働倫理が優越するモデルであるべきなのです。 我々の社会の恵まれていない人々や周縁化された人々の訓練と包容(inclusion)に特別な関心を払わなければなりません。幸いなことに、このようなアプローチは、委員会のすべての委員に常に受け入れられました。以上の理由で、皆様方のご賛同の上、委員会の報告書をご採択いただけるようお願い申し上げます。 Mr. AMPIAH(ガーナ、使用者側代表)――協同組合促進に関する委員会のアフリカの使用者側委員を代表して、私の意見を皆様方にお聞きいただくことを非常に嬉しく思います。 この委員会の報告書は、1998年第189号中小企業における仕事おこし勧告の後を受けるものであり、国際労働機構と本総会が、世界全体およびアフリカの開発途上経済における多くの失業者のための雇用創出の必要性に高い優先順位を置いていることをはっきりと示しています。私はこの戦略が、社会的・経済的な排除からこのような失業者たちを救い出すことができるものと信じております。 この委員会における社会的パートナーが争点を議論する際の相互尊重と成熟の精神は、報告書と結論案を各委員が作成するのを手助けしました。それらは時代の試練に耐え、協同組合を育成・発展・継続させ、そして期待された企業としての役割を協同組合が果たしうるに違いありません。 この報告書は、白熱した議論と、何十年も前に1966年第127号(開発途上国)協同組合勧告を採択して以来、協同組合がくぐり抜けてきた困難と失敗の経験の成果です。その当時の協同組合のための保護主義的な考え方と、多くのケースにおける国家の直接的干渉と管理は、競争力を通じてのみ企業の存在が保証される今日の世界においては、多くの協同組合の経営能力の無力化を招きました。 この持続力や実行力の必要性こそが、使用者グループが、常に協同組合を含むすべての企業に互角の土俵を要求する理由でした。企業の歴史は、かつて税率や補助金その他を通じて保護政策を謳歌していた多くの企業が、貿易の自由化の開始に当たって、競争に必要な内部力量を高めることができなかったという事実を我々に教えています。この歴史的な経験は、今日にも依然重要なものです。 協同組合が生き残りその社会経済的役割を果たす事を可能にするため、その発展の疎外条件のほとんどは、報告書と結論案に盛り込まれました。私は、協同組合が国内外の市場の圧力に果敢に立ち向かうことを可能とし、また積極的に立ち向かっていくために、この主題の次の段階の討論では、協同組合に対するあらゆる保護主義的傾向が取り除かれることを願っています。 この報告書と結論案は、加盟国に対し、協同組合を直接に干渉することもあり管理することもあるというよりむしろ促進するための新しい役割を与えるという点で、格別に腐心されています。私は、国際協同組合同盟が協同組合の七原則を定義したことに感謝を申し上げたいと思います。使用者と労働者の役割もその文書に明確に説明されています。 我々サハラ以南のアフリカにとって、この報告書と結論案が決着するのを待つ余裕はありません。今にもこの報告書を実行し始めなければならないのです。 我々は、社会的パートナーである政府側、使用者側、労働者側の皆様方に対して、この報告書と結論案を実行し始めるという決意とお約束をして帰国の途につかねばなりません。我々の国民は待ってはくれないのです。多くの失業者にとっての希望の羅針盤として、この報告書を採択しなければ、彼らを落胆させることになるでしょう。 アフリカの委員団を代表して、我々の議長であるMr. Pliszkiewicz(ポーランド、政府側委員)と二人の副議長であるMr. Tan(フィリピン、使用者側委員)とMr. Patel(南アフリカ、労働者側委員)、そして委員会のすべての委員を称えたいと思います。また、同様にILOとIOEに対してもすばらしい支援を感謝いたします。 Mr. ERIXON(スウェーデン、使用者側アドバイザー)――協同組合促進に関する委員会が立ち向かった任務は、まさにその名が示す通りのものでした。しかし、委員会の作業の結果として、結論が、新勧告にふさわしい視点として、定められた目的から迷走しているということが明らかになりました。 これらの結論案と来年の作業に関する私の関心を皆様にお話ししたいと思います。 第一に、この結論案は、社会政策や協同組合内部の労働基準を強調する方向に転換しました。それは、協同組合が国内法規としてふさわしい社会政策と労働基準、そして加盟国によって正しく批准された国際文書にすでに包摂されている、または包摂されるべきであるという理由によるものです。この押し付けは、新しい勧告案を不当に扱いにくく、効果的でなく、混乱した文書を作るのを助長したのみでありましょう。したがって、このことは、協同組合の促進に有害なものとなるのではないでしょうか。 第二に、委員会進行の初期の段階、および多くの加盟国がら寄せられた回答を見ると、全般的に、そして私の見方では不幸にも、協同組合に対して社会的な責任を押し付ける方向に流されていたことがわかります。確かに、社会的な問題に協同組合が取り組んで悪いということはありません。しかし、それは、協同組合自身による自由な選択と、その協同組合協同組合設立の際に定められた目的と一致する場合に行われるべきであります。 協同組合を社会問題の範囲での「万能薬」足りうると見なす傾向は、再度私の見方を述べさせていただくと、協同組合の促進という我々の作業に定められた目的にとっては逆効果であります。協同組合の促進、これこそが我々の焦点であるべきで、他の領域からの副産物が焦点であるべきではないのです。 第三に、結論案は、数多くの事項において、自由に協同組合を優遇するよう各国政府にゆだねています。これらの問題に関して、幾人かの政府側および労働者側委員から出された見解は、経済の現実への根本的誤解から生じているように感じられます。協同組合が時に「非営利(no-profit)」と分類されることが、誤解を与えるのです。それは協同組合が、経済活動の結果として剰余や付加価値を生み出さない、「利潤」−皆さんがお望みであれば−を生まないということを言っているわけではありません。もし、利潤を生み出さなかったら、協同組合の全ての経済活動は無益であり何の効果も生まないでしょう。 このように、協同組合と市場の役割に関する限り、すべての経済主体にとって互角の土俵(a level playing field)が維持されていることが不可欠なのです。その上、協同組合自身にとっても、市場に関連した国の優遇政策は、効率性、生産性そして全般的な競争の促進において善というよりむしろ害をなすでしょう。この点で、この結論案は多くの点で期待はずれのものとなっております。 最後に、しかし特に強調すると、この新勧告案は、グローバル化した経済における地域の協同組合の役割という課題に取り組むよう提案しています。私は皆様方に、世界の「グローバル化」に付随する感覚的なそして現実的な価値に注意を喚起していただきたいと思います。 「グローバリゼーション」は、世界の社会的・経済的な災いすべての受け皿(catch-all)として、「資本主義」という言葉の後継者であるように思われます。私はこの文脈におけるグローバリゼーションの概念が、いわば自由市場経済や自由世界貿易と一致するものとして扱われていくことを、心より願います。さもないと、仮に委員会の作業が成功であるとしても、この総会で大勢を占めるべき必要なコンセンサスを促進するのにほとんど貢献しないでしょう。これらの理由により、新勧告は前述の過剰さと逸脱を除去すべきであり、そうであれば我々は勧告を支持することができるでしょう。 原語はスペイン語:Mr. DE ARBELOA(ベネズエラ、雇用者側アドバイザー兼副代表)――ラテンアメリカの使用者側委員を代表して、そしてウルグアイの使用者側代表のMs. Iglesiasとともに、まず初めに、協同組合促進に関する委員会の複雑で困難な作業の中で多大な努力をされた我々の代表発言者であるMr. TanとMr. Muiaを祝福したいと思います。我々は、各国の性格およびニーズに応じて、協同組合が労働の世界で重要な役割を演じることを知っており、それゆえ協同組合は勧告によって促進されるのみであるべきであると信じております。 このような勧告は、シンプルで、柔軟で、現実的であるべきであり、ILOの正しい基本政策と一致するべきであります。したがって世界のどこでも適用性を確保しつつ、しかしそれでも一般的に受け入れられている協同組合運動の文脈内での国内的実践および週間に基づいたものであるべきであります。この勧告は、我々に利用可能な政策および法制の分野での一般的で明確なガイドラインを示すべきであります。ただし、協同組合の促進に現実には深く関わらない論点にむやみに細かく立ち入るべきではないのです。我々はそれゆえ、委員会の一連の討議の間、協同組合の組合員と使用者の身分の間に明確な識別が示されることなしに、労働者の権利が絶え間なく参照されたことについて憂慮しています。私は、すべてのラテンアメリカ諸国の使用者側委員が国際使用者組織(International Organization of Employers)ともども、企業および生産的な仕事なしには使用者の権利は存在せず、存在しえないという事実を強調したいと思います。 そのため、我々は、協同組合の発展が、その特性をもつ適用と規制を国内の法および慣行により管轄されるままにしておくべきである(ママ)という事実を強調しなければなりません。そしてそのことが構造的・普遍的に受け入れられている協同組合の促進を達成しするのです。そのため、新勧告の文書は、他のタイプの企業組織と比較して差別的待遇を意味するどんな手段による自治も伴わずに、協同組合の自治性と民主的特質を強調すべきことが重要なのです。我々ラテンアメリカの使用者側委員は、来年には、経済的ニーズと社会的ニーズの公平なバランスを確立しつつ、私が簡潔に要約した点を含み、かつ国内的・国際的な状況を考慮に入れた勧告を採択することを確信しております。 Ms. ANDREW(カナダ、使用者側アドバイザー)――協同組合促進に関する委員会の報告書の第一次討議に関する今回の総会に発言する機会をいただき感謝いたします。 使用者側委員は、この文書において労働の基準と労働者の権利の問題が極端に突出していることを憂慮しております。協同組合の促進に焦点を当てようと意図した文書において、これは勧告の積極的な関与を否定することとなるでしょう。使用者側は、報告書の中で言及されているディーセント・ワークの概念が定義されていないことに当惑しました。仮にこれが訂正されたとしても、将来的にILO加盟国にこの用語を適用する際の翻訳は、問題が多いように思います。 使用者側委員は、委員会が多くの協同組合が小規模で、厳しい状況の中で闘っており、社会的な動機を持つ組織であるという仮定に基づいた、協同組合経営についての不正確な理解の下で作業したものと信じております。しかし、特別の支援や援助を受けるに値しない大きな商業的協同組合が存在するのであれば、我々は報告書を通じて繰り返し取り上げられる、この形態の組織への特別な財政的および排他的な支援をするというテーマに反対します。使用者側は、政府が納税者の税金を営利企業に曲用するのを防ぐため、支援が他の形態の組織にとって該当する「同等または比較しうる条件」で割り当てられるべきであることを明確にするような、言葉をしつこく求め続けていくでしょう。 関連する点として、使用者側は、協同組合の促進に関するいかなる措置も、1998年第189号中小企業における仕事おこし勧告の重要性と併用していかなければならないという見解を持っています。ほとんどの国の経済において中小企業は仕事おこしの第一の主体であるので、中小企業の可能性を損なうような協同組合への政策は殆ど意味をなさないのです。 協同組合の促進に関する報告書は、我々三者委員会による第一次討議の入念な作業の結果であります。我々は、その欠点が来年の会合で改善されることを希望かつ信頼しており、そうなるのであれば、使用者側として全面的に支援することが可能であります。 この機会に、すべてのご参加の皆様のご協力を感謝申し上げます。 委員長――それでは報告書、すなわちパラグラフ1-328の討議概略の採択に入ります。ご異議がないようでしたら、報告書は採択されたものと見なします。 (報告書―パラグラフ1-328―は採択されました。) 結論案をパートごとに採択いたします。 (結論案―パラグラフ1-20―は採択されました。) 次期ILO通常総会の議題に「協同組合の促進」という項目を掲げるという決議の採択に移ります。ご異議がないようでしたら、この決議を採択したものと見なします。 (決議は採択されました。) これにより、協同組合促進に関する委員会によって付託された報告書、結論案そして、決議に関する議事を滞りなく終了しました。議長、副議長団、報告者そして委員会のその他の委員の皆様、同様に事務局スタッフの皆様のすばらしい努力に感謝申し上げます。 Updated by HK. Approved by RH. Last update: 21 June 2001. |