日本労協連は20年にわたり法制化実現に向けた運動を進めてきましたが、ここにきて国会における法制定の取り組みが急ピッチで進んでいます。ついに日本でもワーカーズコープの法律「労働者協同組合法(仮称) 」が制定されようとしています。

ワーカーズコープ(労働者協同組合)は協同組合の仲間ですが、日本にはその根拠法がありませんでした。例えば、生活協同組合は消費生活協同組合法に基づいて設立されます。つまり、ワーカーズコープでは、協同組合としての法人格を取得することができないわけです。また、世界各国をみると、ワーカーズコープを規定する法律が整備されており、法律のない日本のほうがむしろ特別な国なのです。

2016年に超党派の「協同組合振興研究議員連盟」が法制定を第一課題に位置づけました。翌2017年には「与党協同労働の法制化に関するワーキングチーム」が設置され、日本労協連も参加して意見を述べ、ついに2018年12月に「法案骨子」が確定し、 その後、与党政策責任者会議で了承され、超党派議連でも確認されました。まもなく法案ができあがり国会に提出され、新しい協同組合の法律が制定されることでしょう。

これまでは、任意団体として、または企業組合や NPOなどの法人格を取得してワーカーズコープの運営がおこなわれてきたわけですが、法律が制定されると何が変わるのでしょうか?実は、これまではいろいろと不都合がありました。NPO法人には出資ができないので、ワーカーズコープの場合は、別組織に出資をして、そこから資金を借りることで事業を行ってきました。企業組合は営利法人であり、必ずしも私たちのように公益性の高い事業を行う団体に適したものではありません。労働者協同組合法ができることによって、協同労働の事業にピッタリくる法人格を得ることができます。

それ以外の側面として、法律ができることで、ワーカーズコープが社会に正しく認識されることになります。これまでは自治体や地域などにワーカーズコープを理解してもらうのにずいぶんと苦労してきましたが、法制化によって社会的な関心も高まり、様々な場面で
紹介されることが期待できます。

要件を満たせば誰もが自分たちのワーカーズコープを設立できる時代がはじまります。法制化時代を迎え、全ての市民が協同労働という働き方を手にすることで、働くことに関する人びとの価値観も変化していくのではないでしょうか。